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1. 私立中学における不登校の現状
不登校、もしくは不登校になりかけているお子様への対応方法を紹介する前に、私立中学生における不登校事情について、文部科学省が行った調査結果(注1)をもとに解説していきます。
①私立中学の不登校者数と割合
全国の私立中学生25万人の中で、不登校――つまり
『何らかの心理的、情緒的、身体的あるいは社会的要因・背景により、登校しないあるいはしたくともできない状況にあるために年間30日以上欠席した者のうち、病気や経済的な理由による者を除いたもの』
は、7255人とされています。
これは全私立中学生の2.9%にあたります。つまり、私立中学生の100人に3人が不登校ということになります。
学校にもよりますが、だいたい学年あたり100~200人程度が在籍しているため、1学年に3~6人、1クラスに1人いるかいないかといった割合になります。そう考えると、不登校はけっこう身近なもののように感じませんか?
②私立小学校、公立中学との比較
私立小学生は全国に8万人しかおらず、これは小学生全体の約1%です。不登校児童の人数は590人と少なく、私立小学生全体の0.7%となっています。もともと小学生の不登校数自体が少ないため単純な比較はできませんが、私立小学生であっても中学生になると不登校生徒数が急増することが分かります。
また、公立中学は全国に約300万人おり、不登校も約18万5千人、割合にして6.3%となっています。公立中学は様々な環境で暮らしているお子様が集まるため、私立中学よりも不登校生徒数が高くなっています。
そういった意味では、私立中学の方が不登校のリスクが低いと言えるでしょう。
2. 私立中学で不登校が起こる4つの原因
次に私立中学に通う生徒が不登校になってしまう原因について、特に多く挙げられる4つを中心に解説していきます。
①無気力・不安
不登校になってしまう理由の中で一番大きなものが「無気力・不安」で、不登校生徒の42%が「無気力・不安」のために不登校になったと回答しています。
とある研究(注2)によると、中学生は心身が急激に発達するだけでなく、学習内容が難しくなり、友人関係も複雑になるといった環境的な変化も経験する時期とされています。私立中学であればなおさら、授業スピードも速く、周囲のレベルも高いため、常に大きなプレッシャーにさらされることになるでしょう。
さらに、クラス活動や部活への参加など、集団の中で生きるために自分の思いを時には我慢する「社会化」と、周囲がどうであれ自分らしく生きるという「個人化」の正反対の発達課題を同時にこなすことが求められる時期でもあります。このような環境に身を置くことで、少しずつストレスが溜まり、そのストレスを発散したりうまくかわしたりする方法を知らないがために、徐々に無気力・不安になってしまいます。
また、小学生の時には子ども特有の万能感のために「自分は何でもできる」「必ず良い結果になる」と感じていたことが、中学生になり現実的に物事を見ることができるようになった結果、「自分にはできないことがある」「努力しても必ず報われるわけではない」といった壁にぶつかることで、自信を無くし、無気力になっていきます。
私立中学は競争社会であり、上には上がいます。そんな中で絶えず向上心を持ち続けることは難しいため、気力を失ってしまうことも珍しいことではないのです。
②学習スピードについていけない
公立中学と異なり、私立中学は一定以上の学力のある生徒しか入学できないため、「わかっていること前提」「予習してあること前提」で授業が進んでいきます。そのため、得意科目ならついていくことができても、苦手科目になると理解が追いつかず、どんどん置いていかれてしまいます。
本人なりに一生懸命やっていても結果が出ず、先生や両親から応援されても逆にそれがプレッシャーとなり、ますます空回りしてしまう。そんな状況が続けば勉強や学校が嫌いになってしまいます。それでも頑張って学校に通いますが、ある時プツンと糸が切れたように学校に行けなくなり、不登校になってしまうのです。
また、その後なんとか学校復帰ができたとしても、当然休んでいた際にも授業は進みますので、またついていけなくなり、再度不登校になってしまうといったケースも少なくありません。
③新しい環境に対するストレス
私立中学は公立中学とは異なった環境や人間関係が構築されているため、不登校についても公立とは違った特徴が存在します。人間は環境の変化に対して強いストレスを感じますし、小学校から中学校に入学したタイミングは特に環境が大きく変わります。
特に公立の小学校から私立の中学校に進学した場合や、転入・編入してきた場合は、周りが知らない人だらけになりますので、上手くなじめずに不登校になってしまう方も少なくありません。
また、学年が上がるにつれて「受験のプレッシャー」や「部活動での責任感」などが重くなり、ますます「理想の自分」と「現実の自分」、「自分のレベル」と「周囲のレベル」の差を感じやすくなり、不適応状態になってしまいます。
④プライドの喪失
私立中学へ進学できたお子様は勉強やスポーツが得意で、公立の小学校では常にトップクラスの成績を収めていたことと思います。しかし私立中学に入学すると、地域の小学校の上位層が集まりますので、「トップだった自分」「できていた自分」が一気に「普通の成績」「スタンダードな自分」になってしまいます。
自分の価値や能力は変化していないにも関わらず、自分自身に対する評価が落ちてしまうのです。
そんな環境で生活していく中で、「自分は自分」「自分のやれることをやろう」と前向きに考えることができればよいのですが、なかには自信が打ち砕かれ、「本当の自分は大したことなかったんだ」と思い込んでしまい、何に対してもやる気が出ず、ズルズルと不登校になってしまう場合もあります。
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3. 私立中学で不登校…。保護者様が抱える悩み
不登校になることで一番葛藤しているのはお子様で間違いないのですが、一番心を痛め、不安に駆られているのは保護者様だと思います。
私立中学に通っているお子様が不登校になった際、保護者様がどのような悩みを抱えるのかについても紹介していきます。
①将来どうなってしまうのだろうか
私立・公立に限らず、「中学生のうちから不登校になってこの先どうしよう」「今後、我が子はどうなってしまうのだろうか」と不安になってしまいますよね。残念ながら私立中学生のみを対象とした調査結果はありませんが、文部科学省の調査(注1)によると不登校中学生の約20%が学校復帰を果たしています。
また、同じく文部科学省における調査(注3)によると、平成18年度に不登校であった生徒が5年度には約80%が就職もしくは進学、または両方をしているというデータもあります。
これらのデータから「不登校になったらおしまい」ということはなく、適切な関わりや専門的な支援を受けることができれば十分社会復帰は可能ということがわかります。
②学費が無駄になってしまう
私立中学における授業料の平均は約144万円とされています。1年生の時には200万円近いお金が必要になる学校もあり、決して軽視できる金額ではありません。保護者様にとっても悩ましく、学費を無駄にしている我が子にイライラすることもあるでしょう。
「いつか学校に行ってくれることを信じて学費を払い続ける」か「ある程度のところで見切りをつけ、別の道を探す」のか悩ましいところですが、不登校は時間が解決してくれるタイプの問題ではなく、きっかけや働きかけがあって初めて先に進むことができます。お子様や学校とよく話し合い、よりベターな選択を早めに行っていく必要があります。
4. 私立中学で不登校のお子様に対して保護者様ができること
「早く学校に復帰してほしい」「元の生活に戻ってほしい」そう願う気持ちが強いあまり、不登校のお子様に強く干渉しようとする保護者様はたくさんいます。お子様を思ってのことなのでしょうが、それが逆効果になることが多々あります。
そこで、不登校のお子様に対して保護者様と周りの大人ができることについて解説していきます。
①まずはお子様の気持ちを受け止める
不登校の保護者様、特に高い授業料を払っている私立学校に通っている保護者様に多いパターンとして、お子様を無理やり学校に行かせようとすることがあります。確かに相手はまだ中学生ですので、力づくに言うことを聞かせることはできるでしょう。
しかし、無理やり学校に行かせようとしても問題解決になっておらず、たいていの場合は失敗してしまいます。
不登校には必ず理由や原因がありますから、その部分を無視して通学させても長続きせず、逆にお子様のストレスを高め追い詰めることになってしまいます。
「どうして学校に行きたくないのか」 |
と、お子様の気持ちをまずは受け止め、よく話し合った上でどうするのかを決めていく必要があります。
②将来の不安をあおらず前向きな声かけを心がける
お子様に学校に行ってほしいがために、「社会で通用しない」「中学ぐらいちゃんと行きなさい」、そんな言葉がけをしてしまう保護者の方がいらっしゃいます。「現実を見てほしい」「悔しさをバネに頑張ってほしい」そんな親の願いも込めての言葉ではありますが、これらも子ども達を追い込むことに繋がってしまいます。
私立中学に入れるぐらいですから、お子様の将来に期待する気持ちはよくわかります。一番の特等席で子どもの成長を見ることができるのは親の特権です。しかしその期待が時に大きなプレッシャーとしてお子様に重くのしかかっているのかもしれません。
学習能力が高く賢いとはいえ中学生、まだまだ子どもです。ストレスへの対処の仕方、処世術、考え方、すべてが未熟です。精神的にやられてしまっている状態では、言葉の裏の意味を読み取り「頑張らなきゃ」と奮起する子よりも、「自分はダメな奴なんだ」「中学もまともにいけない自分なんて価値がないんだ」と真に受けてしまう子の方が圧倒的に多いです。
将来の不安をあおるよりも、
「少しずつ現状を変えていこう」 |
と前向きに向き合い、一歩踏み出せる言葉がけが大切です。
③学校や専門家と連携し、客観的な視点を取り入れる
冒頭で、私立中学には「100人に3人不登校がいる」とお伝えしました。毎年一定数の不登校の生徒が出てしまうということは裏を返せば、「学校側も毎年不登校の対応をしている」ということになります。学校側は教育のプロですので、何人もの不登校の生徒を学校復帰させたり、社会復帰させたりしてきた実績と不登校に対する知識があります。
ですので、保護者様だけで悩まず学校と密に連絡を取り合い、連携していくことが大切です。またその際には必ずお子様も巻き込むようにしてください。
不登校支援において一番大切なのは「本人の意向も確認すること」です。大人だけで話し合っても本人の意思がなければ解決には至りません。何が嫌なのか、どうしたいのかをしっかりとヒアリングし、実現可能な部分を保護者と学校で協力しながら環境設定していく必要があります。
また、私立中学の良いところの1つに「スクールカウンセラーが常駐している学校が多い」という点が挙げられます。公立の中学の場合は週に1回、もしくは隔週に1回という少ない頻度しかスクールカウンセラーが学校にいないという場合があります。そのためなかなかスクールカウンセラーを捕まえらないというケースも多々見受けられます。
しかし、私立中学の場合は専任のカウンセラーを配置し、いつでも相談が受けられる環境作りを行っている学校が多いです。もちろん学校によっては毎日スクールカウンセラーが出勤していないというところもありますが、多くは少なくとも3日~4日程度出勤しているため、公立と比べ相談しやすくなっています。
「親でもなければ学校の先生でもない、ふとした時に話せる大人」は子ども達にとって貴重な存在です。
子どものよき理解者となるとともに、保護者様に対しては心理学の専門的知識を用いながら、個別の対応方法について助言がもらえます。
④お子様に合った学習の継続方法を一緒に探していく
私立中学は周囲のレベルも高く、高レベルな学習、ハイスピードな進行のために授業についていけず、自信が失われ無気力になったり、自身を過小評価してしまうことで不登校につながると解説しました。この問題を解決するためにはお子様自身とお子様の学習環境を変えていく必要があります。
1つの方法として「塾を利用する」が挙げられます。塾に通い予習復習を行うことで、より理解が深まり、授業についていくことができます。
しかしとあるデータ(注4)によると私立中学生の通塾率は53.9%と高く、すでに塾に通っている場合があります。また部活動や通学などで時間がとられ、そこからまた塾に行ってしまうと負担が大きくなってしまいますよね。
そこでお勧めしたいのが「家庭教師の利用」です。自宅で勉強を見てもらえるので、往復の移動時間を短縮でき、自分のスケジュールに合わせて学習を進めることができます。
オンライン学習の環境が整っていれば、さらにスムーズに進めることができるでしょう。また基本的に1対1ですので、勉強以外にも日常生活の話や困りごとなどを、同級生でもなければ先生でもない、「第3者の大人」目線で聞いてもらえるので、他の人では聞けない「子どもの本音」がポロっと出てくることもあります。
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5.私立中学の不登校はお子様の気持ちを受け止めサポートしていきましょう
ここまで私立中学生の不登校生徒について、調査データから全体像を確認し、不登校の原因や私立中学生不登校の特徴、不登校の私立中学生に対してしてはいけないこと、そして適切な対応方法について解説してきました。
不登校は珍しいものではなく、誰にでも起こりうることです。悲観的に捉えすぎず、子ども、親、学校の3者がコミュニケーションととりながら取り組めば乗り越えることができる問題です。私立中学の不登校支援において、子ども達を追い詰めないように意識しながら、スクールカウンセラーなどの専門職に繋げ、学習環境をお子様に合うようにカスタマイズしてあげることが保護者様にできる1番大切なことです。
今回の内容で1人でも多くの不登校に悩めるお子様と保護者様の一助となれば幸いです。
【脚注】
注1)文部科学省(2023) 令和4年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について
注2)牧郁子(2006) 中学生における無気力感改善要因の検討
注3)文部科学省(2014) 「不登校に関する実態調査」 ~平成18年度不登校生徒に関する追跡調査報告書~
注4)文部科学省(2021) 令和3年度子供の学習費調査
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