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1. 中学生に留年はあるのか?
結論から言うと、公立中学校では基本的に留年はありません。
正確には「制度としては存在するものの、実際に適用されるケースはきわめて少ない」というのが現状です。これは、義務教育の目的が単なる学力習得だけではないことに関係しています。
文部科学省は義務教育の目的を「人間力を備えた市民となる基礎を育むこと」と定めています。つまり、社会で生きていくために必要な学び方や、人との関わり方を身につけることが大切とされているのです。
そのため、特定の教科が苦手だからといって進級を止められることはありません。ただし、私立中学校では成績や出席日数の不足により留年するケースがあります。
①中学生の原級留置(留年)に関する法律上のきまり
「中学生に留年はあるのか?」という疑問に答えるうえで、まず押さえておきたいのが「学校教育法施行規則」です。
この規則の第57条には、次のように定められています。
「小学校において、各学年の課程の修了または卒業を認めるに当たっては、児童の平素の成績を評価して、これを定めなければならない。」
さらに、第79条では「第57条の規定は中学校にも準用する」と明記されています。
つまり、小学校と同じように中学校でも平素の成績をもとに進級や卒業を認定する仕組みが存在しているのです。この仕組みを根拠として、制度上は中学生も留年(原級留置)になる可能性があるといえます。
ただし、実際の運用は各自治体が定める「小・中学校管理規則」に基づいて行われており、いずれの自治体でもほぼ同じ内容を規定しています。そして実務上は、義務教育の理念である「年齢主義」の考え方が優先されるため、学業不振だけを理由に留年させるケースは極めて少ないのが現状です。
②実際に中学生が留年するケース
制度上、中学生が留年(原級留置)する仕組みは存在します。しかし、実際に適用されるのはごくまれであり、特に「成績が悪いから進級できない」という理由で留年になることは、ほとんどありません。
それでも、例外的に留年となる中学生はいます。代表的なのは次のようなケースです。
・不登校や病気療養で長期間欠席した場合
公立中学校では、出席日数が極端に不足したときに、学校側から「このまま進級しますか?それとも同じ学年でもう一度やり直しますか?」と保護者様に相談されることがあります。強制的に留年させられるわけではなく、あくまで本人や家庭の意向を確認する形です。
・私立中学校で成績や出席日数が基準を満たさない場合
私立中学校は学校ごとに進級や卒業の基準を設けているため、成績不振や出席不足によって留年が決定されることがあります。この場合は公立よりも厳格で、学校側の判断が強く働きます。
このように、留年は制度上可能であり、実際に同じ学年に再度在籍する事例もときどき見られますが、その多くは「長期欠席」や「私立の進級基準未達」といった特殊なケースに限られます。
2. 公立中学校で留年はあるのか?
公立中学校では、学校が生徒様を一方的に留年させることは基本的にありません。
ただし、病気や不登校などで長期間欠席が続いた場合には、学校側から「このまま進級しますか? それとも同じ学年でもう一度やり直しますか?」と相談されることがあります。
もっとも、どの学校でも必ず行われるものではなく、ごくまれなケースに限られます。では、なぜ公立中学校ではほとんどの生徒様がそのまま進級・卒業できるのでしょうか。
その理由は、日本の義務教育が「年齢主義」という仕組みを採用しているからです。
①日本の義務教育は「年齢主義」
日本の義務教育は「年齢主義」という考え方を採用しています。これは、文部科学省の説明によると「義務教育は、一定の年齢に達すれば修了と認める仕組み」であり、高校のように単位を修得して進級・卒業を認める「修得主義」とは異なります。
この仕組みにより、公立中学校では成績や学力の不足を理由に留年させることはなく、原則としてすべての生徒様が進級・卒業できるようになっています。
②不登校でも留年はするのか?
不登校の生徒数は年々増加しており、文部科学省の調査では2023年度に小中学生あわせて約34万人にのぼりました。しかし、それでも多くの生徒様はそのまま進級・卒業しています。これは「年齢主義」の仕組みに基づくためです。
一方で、出席が極端に不足している場合には、学校から「もう一度同じ学年をやり直しますか」と提案されることがあります。ただし、強制ではなく、学校ごとに対応が異なるため、必ず行われるわけではありません。
③勉強でついていけない子はどうなるのか
勉強についていけないからといって、公立中学校で留年になることはありません。「留年してやり直した方がいいのでは?」と考える保護者様もいるかもしれませんが、そうした仕組みは存在しません。
そのため、学習面で遅れてしまった場合は、家庭での学習や塾・家庭教師など外部のサポートを利用して補う必要があります。
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3. 私立中学校で留年はあるのか?
公立中学校とは異なり、私立中学校では留年することがあります。私立校は学校法人が建学の精神に基づいて独自に運営しているため、進級や卒業に関する基準もそれぞれの学校で定めることが可能です。
そのため、学校によっては成績や出席状況に応じて厳しく進級を判断するケースがあります。
①留年となる主なケース
私立中学校で留年になるのは、高校と似たような仕組みです。代表的には次の3つが挙げられます。
①学業成績が著しく不振の場合
②出席日数が学校の定める基準を満たさない場合
③素行に問題があり、改善の見込みがない場合
②私立ならではの対応
私立中学校は独自の経営方針に基づいて運営されているため、「入学した生徒様をできるだけ卒業させたい」という方針が基本にあります。そのため、多くの学校では補習や追加課題などでフォローを行い、簡単には留年させないのが一般的です。
しかし、それでも改善が見られないと判断された場合には、留年や公立中学校への転校を勧められるケースがあります。
4. 私立中学校で留年を防ぐための勉強法
中学校で留年を避けるためには、何よりも日々の授業にしっかりとついていくことが大切です。
とくに、私立中学校では公立とは異なる教科書を採用している場合も多く、授業の進度も速いため、小学校まで勉強が得意だった生徒様でも油断すると取り残されてしまうことがあります。
そのため、「予習 → 授業 → 復習」のサイクルを習慣化することが欠かせません。ここからは、私立中学生におすすめの勉強法を紹介します。
①つまずきやすいのは圧倒的に「英語・数学」
公立中学校と比べて、とくに進度の差が大きいのが「英語」と「数学」です。
(1)英語と数学は中学入試に出ない科目
中学受験では「国語・算数・理科・社会」を中心に学ぶため、多くの生徒様にとって英語や数学は中学入学後が本格的なスタートです。
数学では正負の数や文字式など抽象的な内容が増え、算数との違いに戸惑う生徒様も少なくありません。英語についても、未知の単語や文法に不安を抱える生徒様が多いのが実情です。
(2)積み上げ式で理解が欠かせない
英語も数学も、基礎の理解を前提に次の単元が進む「積み上げ式」の教科です。
たとえば、be動詞と一般動詞の区別ができなければ正しく文を作れませんし、正負の数が理解できなければ方程式は解けません。小さなつまずきが後々大きな壁になるため、毎回の授業で理解を定着させることが重要です。
②生徒様が取り組むべき学習習慣
私立中学校での勉強をスムーズに進めるには、次のような習慣を持つと効果的です。
【英語】
・新出単語は授業前に読み方・意味を確認しておく
・教科書の解説ページに軽く目を通し、内容をイメージしておく
【数学】
・例題を授業前に一度解いてみる
・解答の手順をなぞって、自力で同じ手順で解けるか確認しておく
授業前に「なんとなく理解できそう」という状態を作っておくと、授業中に「なぜそうなるのか」を理解しやすくなり、復習での定着もスムーズになります。
③保護者様ができるサポート
中学受験期は保護者様が学習の細部まで関わることが多かったと思いますが、中学生になったら直接教えるのではなく「環境づくり」で支えることが大切です。
①勉強する時間と遊ぶ時間を分ける
②スマートフォンの使い方に関して約束を決めておく
③夜更かしを避けるよう生活リズムをサポートする
④学習内容が難しくなった場合には、私立中のカリキュラムに対応できる塾や家庭教師を探す
特に塾探しは注意が必要です。一般的な個別指導塾では、私立向けの特殊な教科書に十分対応できない場合があります。
保護者様同士のネットワークや口コミを活用し、実際に私立中学校の進度や教材に対応した指導実績のある塾・家庭教師を選ぶことが大切です。
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5. 中学生は基本的に留年しないが私立中学校の場合は注意が必要
ここまで、中学生の留年について解説してきました。公立中学校では「年齢主義」が採用されているため、原則として生徒様が留年になることはありません。
一方、私立中学校では成績や出席状況に基準が設けられており、場合によっては留年を言い渡される可能性があります。そうした事態を避けるためには、日頃から予習・授業・復習を徹底し、授業に真剣に取り組むことが大切です。
また、保護者様の方は生徒様が安心して学習に集中できるように生活リズムや学習環境を整え、必要に応じて塾や家庭教師のサポートを検討してあげましょう。
【参照】
文部科学省「 義務教育に係る諸制度の在り方について(初等中等教育分科会の審議のまとめ) 」
文部科学省「学校教育法施行規則(昭和二十二年文部省令第十一号)施行日: 令和六年四月一日」
文部科学省「(参考)履修主義と修得主義、年齢主義と課程主義」
文部科学省「中央教育審議会初等中等教育分科会(第143回)」
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