こんなお悩みはございませんか?
「出席日数が足りないと高校に進学できないのでは…」
|
そのようなことでお困りではありませんか?
生徒様の将来のことを考えると、高校には行ってほしい…。
しかし不登校でも高校受験ができるのか、気になりますよね。
もちろん応援してあげたいけど、何をしてあげればよいかわからないなど、生徒様への関わり方は悩みの種になりますよね。
今回は不登校の生徒様の高校受験に焦点を当てて、不登校の生徒様が高校受験をする際に気をつけたいこと、不登校の生徒様の具体的な勉強法、高校受験を目指す不登校の生徒様にしてはいけない声かけと適切な対応方法について解説していきます。
目次
・①調査書とは何か?
・②内申点
・③出欠日数
・④調査書はどの程度合否に関係するのか
2.志望校の選び方・考え方
・①高校の種類
・②志望校の選び方
・③志望校の考え方
3.不登校で高校受験をすることの大変さ、保護者様がよく抱えるお悩み
・①不登校の生徒様にとっての高校受験
・②保護者様がよく抱えるお悩み
4.生徒様にしてはいけない声かけ・対応
・①プレッシャーを与える声かけ
・②不安を煽る声かけ
5.おすすめの勉強法とサポートの仕方
・①ご家庭で指導してもらう勉強法
・②中学校を出席扱いにできる勉強法
・③保護者様のサポート【生活面】
・④保護者様のサポート【学習面】
・⑤保護者様のサポート【精神面】
まとめ
1.不登校でも高校受験はできるのか。考慮すべき点について
結論からお伝えすると、不登校でも高校受験は可能です。
ただし、高校受験をする上では考慮すべき点があります。
それは「調査書」です。調査書は高校入試の合否判定の資料の1つになることがあります。
ここでは、調査書とは何か、どのようなことを考慮すべきかについて解説していきます。
①調査書とは何か?
調査書は内申書と呼ばれることもありますが、どちらも同じものを指しています。
調査書とは、中学校の成績や学校生活をまとめたものです。
中学校から高校へ渡す資料で、項目がいくつかありますが、高校受験でより大事になる項目について解説していきます。
②内申点
各教科の成績を得点化した項目のことを「内申点」といいます。
内申点の計算の仕方は都道府県によって大きく異なります。
中には3年生の成績のみを内申点として扱う都道府県もあります。
お住まいの都道府県はどうなのか、中学校の先生に相談してみると良いでしょう。
③出欠日数
調査書では欠席の日数とその理由が記載されます。
記載する期間は都道府県によって異なり、3年生の欠席日数のみ記載するところもあります。
高校受験では、欠席日数が一定を超えると、高校側がその生徒を合格させるかどうかについて、審議する対象になることがあります。
④調査書はどの程度合否に関係するのか
調査書の提出が求められるかどうかは高校によって異なります。
必ずではありませんが、公立高校の受験では提出することが多いです。
提出する必要がある高校の場合、調査書は合否に大きく関係してきます。
なお、不登校の生徒様の場合、高校受験出願時に「不登校枠」と呼ばれる措置を利用することも可能です。
これは“欠席に関する記録は見ない”、“欠席理由を考慮する”などの特別な配慮がなされるというものです。
2.志望校の選び方・考え方
高校受験を目指そうとした時に志望校選びが難しいですよね。
志望校を決めるうえで大事にしたいことは生徒様が通いやすいかどうかといった相性を確認することです。生徒様が「ここで学びたい」という思いになる高校を見つけていきたいものです。
そのため、志望校を選ぶ際は、事前に気になる高校の情報を集め、実際に見学や説明会に参加することをおすすめします。
ここでは高校の選択肢について解説し、生徒様にあわせた選び方、考え方を解説していきます。
①高校の種類
高校には
・全日制高校
|
などがあります。
(1)全日制高校
全日制高校とは、毎日登校し、朝から夕方まで授業を受ける高校です。
不登校の経験がある生徒を積極的にサポートする高校もあります(東京都では「エンカレッジスクール」)。
(2)定時制高校
定時制高校とは、毎日特定の時間帯に短時間授業を受ける高校です。
全日制よりも短時間なため負担が少ないです。
時間帯は夜間だけでなく、日中に授業を実施する高校もあります。
不登校の経験がある生徒を積極的にサポートする高校もあります(東京都では「チャレンジスクール」)。
(3)通信制高校
通信制高校とは、毎日登校が必要なく、高校から送られてきた教材等を用いて自宅で学習し、課題のレポート提出を主とする高校です。
月に数回程度だけスクーリングと呼ばれる登校機会があるだけなので、登校に不安のある生徒様にとっては負担が少ないと考えられます。
②志望校の選び方
不登校の生徒様が志望校を選ぶ際、生徒様の状況に応じながら、3つの点を確認していただくと良いでしょう。
(1)調査書を重視するかどうか
定時制高校、通信制高校では調査書は重視されません。
全日制高校の場合、私立高校の中には調査書を重視せず、入試の得点のみで合否を判断する高校もあります。
(2)中学3年生の時の分だけが調査書として選考資料になるかどうか
1・2年生の分が調査書に影響しない場合、3年生の時に出席日数を確保し内申点を上げることで調査書を重視する高校の受験にも対応可能です。
(3)全学年の分が調査書に記載されるが、3年生の分がより重視されるかどうか
この場合も、3年生の時の出席日数を確保し内申点を上げることで挽回できる可能性が考えられます。
なお、出席日数を確保し内申点を上げるということは無理して教室に行くということではありません。
出席日数を増やす方法は、別室登校、フリースクールへの登校、適応指導教室への登校、オンライン教材を用いた自宅学習があげられます。中学校の先生と相談できると良いでしょう。
③志望校の考え方
生徒様の状況や考えにあわせて志望校を選んでいけると良いでしょう。
登校に不安がある場合は通信制をご検討頂けると良いかもしれません。
登校に少し不安はあるものの、皆と一緒に勉強したい場合は定時制をご検討頂けると良いでしょう。
生徒様の中には全日制にこだわりたい方もいるかもしれません。
その場合、調査書を重視しない全日制高校を検討するか、公立高校であれば「不登校枠」を利用することも1つの方法です。
これは不登校の生徒様のために枠を設ける制度ではなく、“欠席に関する記録は見ない”、“欠席理由を考慮する”などの配慮をする制度です。
どの高校にもあるわけではないため、お住まいの地域で実施しているかどうか中学校の先生に確認してみてください。
3.不登校で高校受験をすることの大変さ、保護者様がよく抱えるお悩み
不登校の生徒様は様々な不安を抱えており、そのような中で先のことを考えて行動していくことはとても大変なことです。
また、その生徒様の保護者様もまた様々な悩みを抱えることが多いでしょう。
ここでは不登校の生徒様が高校受験をすることの大変さと、保護者様がよく抱える悩みについて解説していきます。
①不登校の生徒様にとっての高校受験
不登校の生徒様が高校受験をするうえで、大変な点は何といっても「勉強」です。
中学校の授業への参加が難しいため、どうしても勉強についていきにくくなります。
勉強をしなくてはいけないことは生徒様自身が一番よくわかっていながらも、実際に勉強を始めるということは“わからない自分”と向き合うことになり、生徒様にとって気持ち的に苦しい体験になりかねないのです。
不登校の生徒様は先の見通しが持ちにくい状況にあるため、高校受験も含めた将来に対する漠然とした不安をより抱きやすく、その不安な思いと直面する可能性のある勉強は心理的に回避したくなることがあるのです。
学校では周囲に同じ境遇の同級生が多くいたり、わからない問題があっても確認できる先生がいることで、不安やわからなさを軽減する機会が得やすいのに対し、不登校の生徒様はなかなかその機会が得にくいため、不登校の生徒様にとって“勉強する”ということは学習の大変さに加え、気持ちの面でも大変なものなのです。
②保護者様がよく抱えるお悩み
よく不登校の生徒様がいる保護者様から「高校には進学できるのでしょうか」、「今は勉強をするようにと声をかけない方が良いのでしょうか」、「今後どうなっていくのでしょうか」などのご相談をお受けすることがあります。
とある調査(注1)によると、中学生の母親の78%が「子どもの進路や将来について不安が大きかった」と回答しています。
保護者様は不登校の生徒様の高校進学を含めた将来に関して不安な思いを抱えやすいのです。
また、その不安な思いを抱えた中、“どのように関わったら良いのか”、“どのような声掛けをした方が良いのか”などといった生徒様への関わり方についてよく悩まれています。
4.生徒様にしてはいけない声かけ・対応
高校受験をするにあたり、どのような声かけをしたら良いか、日々悩ましいものと思います。
ここでは高校受験をする際の生徒様へのNGな声かけをご紹介し、声かけの仕方について解説していきます。
①プレッシャーを与える声かけ
「もっと頑張れ」、「早く勉強始めなさい」、「何で勉強しないの?ねえ、何で?」 このようなプレッシャーを与える声掛けはNGです。
どれも生徒様の将来を思っての言葉だと思いますが、不登校の生徒様にとってはプレッシャーを与えられることで追い込まれてしまい、勉強どころではなくなってしまう恐れがあります。
保護者様の応援が生徒様にとってプレッシャーではなく、生徒様の力になれたら良いですね。
そのためまずは
「お母さんたちは味方だからね」
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などと生徒様の味方であることを伝えてあげられると良いでしょう。
そして、「もっと頑張れ」の言葉を飲み込み、
「よく頑張っていたね、頑張っていること知っているよ」
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などと頑張りを労う言葉をかけることを意識してみてください。
②不安を煽る声かけ
「A君も学校に行けていないけど、とっくに学校の勉強に追いついたってよ」、「学校の授業ではみんなもっと先をやっているよ」、「勉強しないと志望校落ちちゃうよ」
このような生徒様の不安を煽ることになる声掛けはNGです。
どれも生徒様をやる気にさせようとしている言葉だと思いますが、生徒様にとっては保護者様の意図したメッセージとは異なり、“自分を認めてもらえていない”、“今の自分を受け入れてもらえていない”などの受け取り方をする恐れがあります。
生徒様への声かけは他人との比較をするのではなく、
「ここまで頑張ってきたね、3ヶ月前は解けなかった問題が解けるようになったね」
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などと生徒様の成長に目を向け、生徒様の頑張りを認めてあげる言葉をかけてあげましょう。
なお、生徒様の過去と比較して「昨日はあんなに頑張っていたのに今日全然やれていないじゃん」などと責める声かけをすることはないよう注意しましょう。
また、不安は煽るのではなく「何かあったらいつでも話してね」などと話を聞いていただければと思います。
5.おすすめの勉強法とサポートの仕方
最後に不登校の生徒様が高校受験をする際にどのように勉強したら良いかについて、ご家庭で指導を受けられる方法と、中学校を出席扱いにできる方法に分けて、おすすめの勉強法を解説いたします。
また、保護者様がどのようなサポートをしたら良いかについても解説していきます。
①ご家庭で指導してもらう勉強法
はじめにご家庭で指導してもらう勉強法についてです。
「オンライン型個別指導」
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の2つが挙げられます。
(1)オンライン型個別指導
オンライン型個別指導にはオンライン対応の個別指導塾とオンライン型家庭教師があります。
この勉強法は直接先生とやりとりできるため、わからないことがあった時にすぐに質問することができます。
また、家から出る必要もありませんので、不登校の生徒様にとって負担が少ないことが特徴です。
(2)家庭教師
家庭教師は家まで先生に来てもらい、直接勉強を教えてもらう勉強法です。
オンラインと比べて、他人の目をより意識することになると考えられます。
そのため、モチベーションを維持しやすい傾向にあります。
また、家から出る必要もありませんので、こちらも不登校の生徒様にとって負担が少ないものと考えられます。
対人コミュニケーションの機会が少ない生徒様にとっては勉強以外にも対面での社会スキルを学ぶ場としての機能を持たせることができます。
②中学校を出席扱いにできる勉強法
次に出席扱いにできる勉強法としては
「フリースクール」
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の2つが挙げられます。
(1)フリースクール
フリースクールとは不登校の生徒様向けの民間の教育施設です。
学校の代わりの居場所としても利用されており、学習支援や相談を受け付けています。
また、在籍している中学校と連携できると、フリースクールに通うことで中学校が出席扱いになります。
内申点をあげようとされている生徒様や保護者様は地域のフリースクールの見学から始められるといいですね。
(2)適応指導教室
また、適応指導教室は市町村の教育委員会が設置している不登校の生徒様向けの公的な教育機関です。
公立中学校と連携がしやすく、適応指導教室へ通うことで中学校が出席扱いになります。
フリースクールは利用料金が高額になりやすいという側面もあるため、適応指導教室も調べて、より状況に適している方を選択していきましょう。
③保護者様のサポート【生活面】
生活リズムが安定しない生徒様の場合、生活リズムをつくっていくことが大切です。
決まった時間に起床し、就寝ができると良いでしょう。
そのための工夫の仕方について、「何か協力できることがあったら教えてね」などと声をかけていただき、生徒様の自主性を尊重しながら、保護者様に協力を求められた際は一緒に工夫の仕方を考えてあげられると良いでしょう。
また、バランスの良い食事を用意することも保護者様にできる重要なサポートの1つです。
④保護者様のサポート【学習面】
高校受験を目指すうえでは情報を集めることが大切になります。
志望校や勉強法を考える際、どのような選択肢があるのかを生徒様が知れるよう、生徒様に代わり保護者様が情報を集めてあげられると良いでしょう。
その際、集めた情報は「これとか良いと思うけど、どう?」などと保護者様の願望などから選択肢を提示することがないよう注意しましょう。
大事なことは生徒様が自分で選んで決めるということです。
決めるうえで迷うことがあれば話を聞き、生徒様の考えや気持ちに寄り添い、一緒に整理してあげ、生徒様自身で選ばれる過程を支えてあげられると良いでしょう。
⑤保護者様のサポート【精神面】
受験までの過程はどのような生徒様にとっても多かれ少なかれストレスとなる体験です。
不登校の生徒様にとっては、学校に行けていないことに負い目を感じていたりと精神的な負荷がかかっており、
その中で保護者様から「勉強しなさい」、「高校には進学しとかないとダメよ」などとプレッシャーをかけられると生徒様はより精神的に追い込まれてしまい、状況が悪化する可能性があります。
生徒様を思っての言葉が、時に生徒様を苦しめてしまう恐れがあるのです。
生徒様の精神面をサポートするうえで、まずは保護者様自身のケアをすることが大事になります。
保護者様が十分に息抜きし、精神的に落ち着くことで、生徒様に寄り添い、日頃から生徒様の話に耳を傾け、何かあった時に生徒様が保護者様に話しかけやすい関係性を築いておけると良いでしょう。
まとめ
今回は不登校の生徒様の高校受験に焦点を当てて解説しました。中学校の生徒様が不登校になってしまうと、今後の進路や将来のことで不安になってしまいますよね。
ですが、不登校であっても受験可能な高校はあります。
また、高校受験を目指す不登校の生徒様をサポートしてくれる場所もたくさんあります。
今回の内容を参考にしながら、生徒様の今後の進路について、生徒様に寄り添いながら一緒に考えてあげてください。
▼当会では、不登校の生徒様に対応した家庭教師をご紹介しています。ぜひ併せてご覧ください。
【脚注】
注1)不登校児童生徒の実態把握に関する調査企画分析会議(2021)不登校児童生徒の実態把握に関する調査報告書
https://www.mext.go.jp/content/20211006-mxt_jidou02-000018318_03.pdf
(参照2024-04-11)
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