こんなお悩みはございませんか?
「学校に行っていない我が子が大学受験をしたいと言っているが、不登校でも大学受験はできるのか?」
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そんなお悩みはありませんか?
高校生の大学進学率は60%を越え、大学進学はメジャーな進路選択となりました。
大卒と高卒では職業の選択肢、生涯年収に大きな開きがあるため、保護者様としても、不登校の生徒様を大学に通わせてあげたいという気持ちが強いのではないでしょうか?
そこで今回は不登校生徒の大学受験事情について紹介するとともに、
学校選びのポイントや保護者様がよく抱える悩み、不登校生徒様にしてはいけない対応と保護者様にできるサポート方法などについて解説していきます。
▼不登校についての詳細、及び関連ページは以下をご覧ください
「【心理師解説】不登校とは?タイプ別の原因・特徴・適切な対応方法について解説」
目次
・①不登校でも問題なく大学受験に挑戦できる
・②不登校生徒の大学進学率
・③不登校生徒が大学受験をする方法
2.大学受験する際の学校選びのポイント
・①生徒様が行きたいと思える学校かどうか
・②サポート体制がしっかりしているかどうか
・③就職に関してサポートが受けられるかどうか
3.保護者様が抱えてしまう悩み
・①受験勉強をしなくなってしまったらどうすればいいのか
・②もしも不合格になったらなんて声を掛けたらいいのか
4. 大学受験をする不登校生徒様にしてはいけない声掛けと対応
・①プレッシャーをかけすぎる
・②勉強について口を出しすぎる
・③他の子と比較する
5. 大学受験する際のおすすめの勉強方法と保護者様にできるサポート
・①「誰かと勉強する」環境作り
・②大学受験に関する手続きとスケジュールの管理
・③メンタルケア
6.まとめ
1.不登校でも大学受験はできるのか
はじめに、「不登校の生徒様が大学受験に挑戦できるのか」「不登校の生徒様の大学進学率はどのくらいなのか」「どのように大学受験をすればよいのか」について解説していきます。
①不登校でも問題なく大学受験に挑戦できる
結論から申し上げますと、不登校であっても大学受験に挑戦することができます。
たしかに学習面や推薦、AO入試で不利になる場合もありますが、「不登校だったから大学にはいけない」ということはありません。
大学側も1人でも多くの学生を確保するため、不登校をはじめとした困難さを抱えた学生に対してのサポート体制や単位取得・就職などへのきめ細やかな支援体制を充実させている学校もあり、入学後も安心して通学することができます。
②不登校生徒の大学進学率
文部科学省が中学や高校で不登校だった生徒のその後の進路を調査(注2)した結果、大学や短大、高等専門学校へ進学した割合約20%程度としています。
高い割合というわけではありませんが、不登校の生徒様が大学へ進学することは決して珍しいことではありません。
また、不登校高校生の進学率は年々増加していることもわかっています。
これは通信制高校の数と認知度が増加したこと、大学が学生支援体制を強化してきているためであると考えられます。
③不登校生徒が大学受験をする方法
最後に、不登校生徒様がどのように大学受験を行えばよいのかについて解説していきます。
生徒様が高校を卒業できる場合は一般的な方法で受験することができますので問題ありませんが、高校を卒業できない場合や中退してしまった場合は、再度高校へ入学する、または高等学校卒業程度認定試験を受けることが必要です。
高校へ再入学する際には通信制高校など、生徒様に負担がかからない学校環境を選択していけるといいでしょう。
また、高等学校卒業程度認定試験については年2回実施されており、過去問についても文部科学省のホームページに記載されています。
試験内容についてもマークシートで基礎的な問題のみのため難易度は高くはありませんが、早めに動き始め、しっかりと対策をしていく必要があります。
2.大学受験する際の学校選びのポイント
旺文社教育情報センター(注2)によると、2023年には全国に793校の大学があるとされています。
これだけ大学が多いとどこの大学を受験すればよいのか迷ってしまいますよね。
そこで不登校の生徒様が大学受験を行う際にどのように学校を選んでいけばよいのかについて、3つのポイントに絞って解説していきます。
①生徒様が行きたいと思える学校かどうか
一番大切なのは生徒様自身が「通いたい」「学びたい」と思っている学校であるかという点です。
「なんとなく選んだ」「周りの人が決めた」学校では勉強に対するモチベーションも保ちにくく、入学したあともドロップアウトする可能性が高くなります。
忙しい受験勉強の合間に
「どうしてこの学校の学部がいいのか?」
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をしっかりと分析する必要があります。
入学後の生活を想像することで勉強に対するモチベーションアップにも繫がるため、是非親子で話し合ってみてください。
②サポート体制がしっかりしているかどうか
サポート体制の有無も重要なポイントです。
不登校になってしまった原因にもよりますが、大学でも途中で通えなくなってしまったり、退学したりする可能性は決して低くはありません。
そのため通学できなくなってしまった、もしくは通学できなくなりそうな学生に対してどのようなサポートを行ってくれるのかをしっかりと確認する必要があります。
どのような支援があるかは大学によりますが、多くの場合「カウンセリングルーム」や「学生相談室」が設けられており、心理師によるカウンセリングや学校生活についての悩みを打ち明けられる場所として活用することができます。
また新型コロナウイルスの影響もあり、リモート授業が普及したため、自宅にいながら授業を受けることができる等の配慮を受けることができる可能性があります。
生徒様自身に調べてもらうのが一番いいのですが、そこまで手が回っていなさそうなら保護者様の方で確認しておくとよいでしょう。
③就職に関してサポートが受けられるかどうか
大学選びの際には「就職率」や「就職支援」についても確認しておく必要があります。
大学卒業後の進路が決まっていなかったり、引きこもりになってしまっていては生徒様はもちろん、保護者様も困ってしまいますよね。
そうならないためにも
「卒業生はどんなところに就職しているのか」
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などについてもチェックするとともに、
キャリア支援課や学生相談室など、就職活動についてバックアップしてくれる場所はあるのか、またどんな支援を行ってくれるのかについても確認しておくと、就職活動をスムーズに進めることができます。
3.保護者様が抱えてしまう悩み
次に大学受験を考えている不登校生徒様の保護者様がどのような悩みをもっているのか、またその悩みを解決するためにはどうすればよいのかについて紹介していきます。
①受験勉強をしなくなってしまったらどうすればいいのか
不登校の生徒様が大学を受験するのはとても大変なことです。
勉強が中学生レベルで止まっている場合は、基礎からじっくり時間を書けて学習していく必要がありますし、勉強する習慣がない場合は、まずは机に向かうことに慣れていかなければなりません。
学力が追い付いていないため、模試を受けても合格判定は変わらず、やる気が削がれてしまうことも珍しくありませんし、途中で勉強を投げ出し自堕落な生活を送ってしまう方をたくさん見てきました。
そんなときには
「好きなことを見つける」
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の2点を集中的に行ってもらいました。
嫌いな勉強に向き合うのはとても辛いことですので、まずは得意な教科や好きな分野を見つけてあげて、そこにどんどん他の科目を巻き込むことで、勉強に対する意欲を高めていきます。
好きなゲームやアニメ、マンガから勉強に繋げていくという方法もあります。
また、
「この大学に通ったらどんな生活をしたいか」
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について話題に取り上げ、
大学生活を具体的にイメージしてもらうことで、受験勉強のモチベーションを取り戻してもらうことも効果的でした。
②もしも不合格になったらなんて声を掛けたらいいのか
受験には不合格がつきものであり、倍率の高い大学ならば不合格者の方が多いかもしれません。
最後まで受験勉強を頑張ってきた生徒様も不合格になってしまうかもしれません。
そんな時に生徒様になんと声をかけてあげればよいのでしょうか。
生徒様のタイプにもよりますが、基本的にはそっとしておいた方がよいでしょう。
生徒様は不合格という現実を時間をかけて受け入れていきます。
もちろん自暴自棄になって自傷行為をしようとしたり、自ら命を絶とうとするような行動をしたりする際にはすぐに止めるべきですが、
それ以外の場合はそっとしてあげて、タイミングを見て食事に誘ったり、気分転換できるような外出を提案するなど、気持ちを切り替える機会を作ってあげてください。
また、生徒様が不合格になった際にはなかなか次の動きが取れないものです。
別の大学を受験するのか、浪人するのか、短大や専門学校に通うのか…。
決断しなければならないタイムリミットはどんどん近づいてきます。
そのためもしも生徒様が不合格になった際には保護者様である程度のパターンを用意して置き、生徒様が落ち着いてから進路を選択していけるとよいでしょう。
焦って決断をせかしてしまうと冷静な判断ができず、不本意な進路決定になってしまうだけでなく、保護者様との関係悪化にも繋がりかねませんので、注意が必要です。
4. 大学受験をする不登校生徒様にしてはいけない声掛けと対応
受験生の不登校生徒様にとって保護者様は最も頼りにしている存在です。
保護者様としても生徒様に頑張ってもらいたい、志望校に合格してもらいたいと強く願っており、生徒様のためならどんな協力も惜しまないと考えているのではないでしょうか。
しかし、保護者様の気持ちが強すぎると生徒様に対してマイナスに働いてしまう場合があることをご存じでしょうか。
そこでどのような対応が生徒様のやる気を削いでしまうのか、どんな声掛けが生徒様を苦しめてしまうのかについて解説していきます。
①プレッシャーをかけすぎる
「そんな学習量で合格できるのか」「不合格にならないように必死に勉強しろ」。
生徒様に悔いの残る受験をしてほしくない、受験を失敗で終わらせたくない、そんな保護者様の思いからこのように発破をかけたくなりますよね。
ほどよいプレッシャーや適度な緊張感が勉強などのパフォーマンスにプラスに働くことは否定しません。
生徒様によってはよい影響を与えるかもしれません。
しかしストレス耐性の低い、もしくは社会経験不足からストレスへの対処方法が未獲得の生徒様に対してプレッシャーをかけすぎてしまうと
「将来への不安が強すぎて勉強に集中できなくなる」、「保護者様に監視されているように感じて、不信感を覚える」など、マイナスに働くケースが少なくありません。
生徒様はどのような性格なのか、保護者様とどれほどの信頼関係を築けているのかをよく吟味してから声掛けを行っていけるとよいでしょう。
②勉強について口を出しすぎる
また、心配のあまり勉強についてついつい口を挟みたくなりますよね。
特に保護者様自身が勉強が得意だったり、効率的なやり方で受験勉強を乗り越えた経験があったりすると、生徒様のやり方にモヤモヤしてしまい、
「そんなやり方じゃ合格できないよ」「もっと効率的にやらないと」と言いたくなってしまうのは無理もありません。
しかし保護者様のやり方がかならずしも生徒様に合っているとは限りませんし、保護者様が受験生だったころと現代ではいろいろと変わっていることもあります。
まずは生徒様のやり方を尊重し、認めてあげると同時に、
「自分はこのやり方でうまくいったんだけど、どうかな?」
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とあくまで取り入れるかどうかは生徒様の判断に任せてあげると、生徒様としても強制感がなく、今までとは違った勉強方法や効率的な学習方法を知ることができるでしょう。
③他の子と比較する
志望校のレベル、合格率、偏差値など、受験では色々な場面で他者と比較されます。
特に不登校の生徒様の場合は学習に遅れがある場合が多いため、劣等感や不全感を感じやすいです。
いろいろな場面で比較されているにも関わらず、保護者様からも「○○君は××大学のA判定とれたって」「××ちゃんは1日10時間も勉強しているみたいよ」と言われてしまっては、
さらにやる気をなくし、受験勉強に対するモチベーションが低下してしまいます。
そのため比較するなら他者とではなく、「かつての生徒様」と比べてあげてください。
ゲームでしたらレベルが上がったり能力値が増えたりと成長を感じやすいのですが、現実世界ではそのようなものはないため、
「学力は上がっているのかな?」「勉強している意味はあるのかな?」と不安になってしまいます。
そこで過去の模試や問題集の正誤を参考に
「前と比べてこんなにできるようになっているね」
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と伝えてあげることで
自身の成果を知ることができ、モチベーションアップにつながります。
ちなみに周囲と比較するのは「相対評価」、自身の現在と過去で比較するのは「絶対評価」と呼ばれ、絶対評価をうまく使うことで生徒様にプラスに働く場面が多いので覚えておくといいでしょう。
5. 大学受験をする際のおすすめの勉強方法と保護者様にできるサポート
最後に大学受験に挑戦する不登校生徒様におすすめの勉強方法と保護者様にできるサポートの方法について紹介していきます。
①「誰かと勉強する」環境作り
学校に通っている場合はクラスメイトと受験について話したり、一緒に勉強したりすることでお互いに励まし合いながら勉強することができますが、
不登校の生徒様の場合は自宅学習が基本になってしまいます。
予備校や塾に通っている生徒様もいらっしゃると思いますが、学校に行っていないという引け目から勉強仲間を作ることができず、結果1人で勉強している生徒様はたくさんいます。
そのため保護者様に一緒に勉強をしてもらうことをおすすめしています。
勉強内容はできれば生徒様と一緒のものがよいですが、資格勉強でも構いません。
保護者様も一緒に勉強をすることで「勉強する雰囲気」を作り出すことができますし、「勉強しなさい」よりも「一緒に勉強しよう」と話した方が生徒様に受け入れてもらいやすいです。
また保護者様の意識も生徒様から資格勉強に移っていくので、生徒様に対して過干渉になることを防止することもできます。
②大学受験に関する手続きとスケジュールの管理
受験生の生徒様は受験勉強に意識が向いてしまい、どうしても大学関係の事務関係や入試前後のスケジュールにまで気が回りません。
また、不合格になった際の動きについても考えている余裕がないため、ある程度保護者様で管理してあげるとよいでしょう。
スケジュール管理や受験料の払い込みなど、保護者様は時間的・金銭的な負担がかかります。
そうするとついつい「ここまでしてるんだからしっかり勉強してほしい」「タダで受験できるわけじゃないのに」と考えてしまいますが、
それらを伝えたところで生徒様の反感を買うだけですので、ぐっとこらえてください。
特に不登校の生徒様で「大学こそはちゃんと行くんだ」「大学で巻き返すぞ」と大学受験を大きな節目として考えている方は多くいらっしゃいます。
受験までの数か月が生徒様の人生を大きく変えるかもしれません。
是非寛大な心でサポートしてあげてください。
③メンタルケア
メンタルケアも保護者様ができる重要なサポートの1つです。
不登校の生徒様はストレスを溜め込みやすいです。
ずっと頑張り続けてしまうといずれ息切れしてしまい、適応障害やうつ病を発症して受験どころではなくなってしまう可能性もあります。
そのため時には勉強から離れ、リフレッシュする時間を作ってあげてください。
買い物に行ったり映画を見たり、生徒様の好きなことを目一杯させてあげてください。
大学受験は人生のゴールではありません。
無理をしすぎず、時には休息がとれるように保護者様に気にかけていただくことで生徒様は最後まで走り抜けることができるのです。
6.まとめ
今回は不登校生徒様の大学受験について、「大学受験についての概要と大学選びのポイント」「保護者様が抱えてしまいがちな悩みと生徒様にしてはいけない声掛けと対応」
そして「おすすめの勉強方法と保護者様にできるサポート方法」について解説しました。
不登校の生徒様にとっての大学受験は、確かに不利になる部分はあります。
しかし大学を吟味し、環境を整えてあげたり、適切なサポートを受けたりすることができれば、不可能ということは決してありません。
受験は人生の岐路です。
家族全員で協力して悔いのない受験にできるよう、サポートしてあげてください。
▼当会では、不登校の生徒様に対応した家庭教師をご紹介しています。ぜひ併せてご覧ください。
【参照】
注1)「不登校に関する実態調査」平成18年度不登校生徒に関する追跡調査報告書 第3部 分析編(3) ・ 第4部 ケース分析
https://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/detail/__icsFiles/afieldfile/2014/08/04/1349956_05.pdf (参照2024-05-25)
注2)旺文社 教育情報センター(2023) 日本の大学数2023年度は793校
https://eic.obunsha.co.jp/file/educational_info/2023/0817.pd f (参照2024-05-25)
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