こんなお悩みはございませんか?
「進学校に進学した我が子が不登校になり、どうしたらいいかわからない」
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そんなお悩みはありませんか。
受験を乗り越え、やっとの思いで入学した高校に行けないのは、生徒様はもちろんのこと、保護者様にとっても辛く、不安なことでしょう。
そこで今回は進学校に入学した生徒様が不登校になってしまう原因と、してはいけない対応、していただきたい対応などについて解説していきますので、是非参考にしてください。
▼不登校についての詳細、及び関連ページは以下をご覧ください
「【心理師解説】不登校とは?タイプ別の原因・特徴・適切な対応方法について解説」
目次
・①高校生の不登校者数
・②進学校における不登校者数
2. 進学校の高校生が不登校になる原因
・①受験勉強による疲弊
・②「レベルの高い大学に進学しなくては」というプレッシャー
・③燃え尽き症候群
3. 進学校における不登校の特徴
・①学校復帰が難しい
・②息抜きの時間がとりにくい
・③自尊感情が低下しやすい
4. 保護者様がよく抱える悩み
・①大学に進学できるのか
・②このまま引きこもりになってしまうのではないか
5. 進学校で不登校の生徒様にしてはいけない対応
・①勉強を強制する
・②偏差値にこだわる
・③将来の不安をあおる
6. 生徒様にしてあげたい対応
・①「べき思考」から解放してあげる
・②勉強に集中できる環境を整える
・③教室以外での勉強の場を提案する
まとめ
1. 進学校における不登校の割合
はじめに高校生全体と進学校にどれぐらい不登校生徒が存在しているのかについて説明していきます。
①高校生の不登校者数
文部科学省の調査結果(注1)によると、高校生の不登校者数は2022年時点で約6万いることが分かっています。
割合としては全体の2%で、1学年に2名程度不登校の状態にあるということになります。
高校生の不登校は中途退学という選択肢があるため、数字上では小中学生よりも不登校者数が少なくなるという特徴があります。
毎年4万人程度が中途退学しているというデータもありますので、そのことを考えると、「不登校で悩んでいる高校生」はもっと多いのかもしれません。
▼高校生の不登校の詳細は以下ページをご覧ください
②進学校における不登校者数
次に進学校における不登校についてですが、残念ながら進学校を対象とした調査が行われていないため、正確な数はわかっていません。
しかし、「勉強についていけず不登校になった」と回答している生徒もいるため、進学校においても一定数不登校者が存在しています。
またこれから解説する「進学校の高校生が不登校になる原因」を考えると、一般的な高校よりも進学校の方が不登校者数が多くなることも十分考えられます。
2. 進学校の高校生が不登校になる原因
進学校に入学した高校生はどのようなことが原因で不登校になってしまうのでしょうか。
よくある原因3つについて解説していきます。
①受験勉強による疲弊
1つ目は「受験勉強による疲弊」です。
進学校に入学した時点から受験戦争は始まり、レベルの高い授業内容、予習復習を前提とした授業スピード、定期的に行われる模試など、進学校での生活は多忙を極め、生徒様の体力と精神をどんどん削っていきます。
学年が上がるごとに求められることが多くなるだけでなく、受験に対する不安がどんどん強くなり、上手く息抜きを出来ないと受験が終わる前につぶれてしまうでしょう。
また、勉強時間を確保しようとするあまり、食事や睡眠を十分にとろうとしない生徒様もいらっしゃいます。
勉強の効率が下がるだけでなく、うつ病や適応障害といった精神的な病気にも繋がるリスクが高くなります。
日々の生活の中で疲れが取れず、だんだんと勉強に追いつけなくなり、緊張の糸が突然切れてしまうことで「もういいや」と自暴自棄になることで登校意欲がなくなり、不登校につながってしまうケースが多くあるのです。
②「レベルの高い大学に進学しなくては」というプレッシャー
「進学校に入学したからにはよりレベルの高い大学に行きたい」
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という気持ちが強くなってしまうがために、不登校になる場合もあります。
高い向上心をもって勉学に励むことは素晴らしいことです。
保護者様としてもできるだけ上位の大学に進学し、その後の人生を豊かなものにしてもらいたいと願いことは当然のことでしょう。
しかし成績を上げることは際限のない長い道のりですし、勉強すれば必ず成績が上がるというものではありません。
周囲からの応援も時にはプレッシャーとなり生徒様を追いつける一因になりかねません。
このような「いい大学に行かないとダメだ」「みんなが応援してくれているから失敗は出来ない」という思いに反して「上がらない成績」「思うように進まない勉強」という事実が生徒様を苦しめ、不登校へ陥ってしまうのです。
③燃え尽き症候群
また燃え尽き症候群になり、不登校になってしまう場合もあります。
厚生労働省(注2)によると
を燃え尽き症候群(バーンアウト)と呼びます。
もちろん勉強にも燃え尽き症候群が生じることもあります。
目標の偏差値を達成したり、模試で志望校の合格圏内に入るなど、目標を達成したことで、張りつめいてた緊張の糸が切れてしまい、勉強のモチベーションが下がってしまいます。
また高校受験を乗り越えたことで燃え尽き症候群になり、そこに環境の変化によるストレスが加わることで、進学校に入学したばかりの1年生が不登校になるケースもあります。
3. 進学校における不登校の特徴
次に進学校における不登校の特徴について解説していきます。
進学校でない高校や小・中学校とはどのような違いがあるのでしょうか。
①学校復帰が難しい
進学校の授業スピードは早く、学校によっては2年生の夏休みまでに高校の範囲を終わらせてしまうところもあります。
不登校からなんとか復帰できたとしても、休んでいる間に授業がどんどん進んでしまっていて、授業についていけなくなることは珍しくありません。
もちろん学校側のサポートを受けて補習や個別授業を受けたとしても、休んでしまった間の遅れを取り戻すのは難しく、再度不登校になってしまったり、退学を余儀なくされてしまいます。
②息抜きの時間がとりにくい
すでに解説したとおり、進学校の生徒様は忙しい日常を送っています。
なかには塾や習い事をしている生徒様もいらっしゃいますので、さらに生活のゆとりがなくなってしまいます。
学校のない土日でゆっくり休もうとしても、予習復習に時間をとられたり、模試が入っていたりとなかなか休むことができません。
また、何の予定もない日でも勉強が頭をちらつき、「みんな今も勉強しているかも」と心配になり、結局休むことができずに終わってしまうこともあります。
よく受験はフルマラソンだと例えられます。
最初から頑張りすぎてしまうと終盤でペースダウンしてしまいますし、最悪の場合、ゴールまでたどり着けません。
一定のペースで時折休みながら、長く勉強をしていくことが重要ですが、生徒様は視野が狭まり目先の勉強や模試に意識が向きがちなので、保護者様が長期的な視点を持ち、上手く休ませてあげられるといいですね。
③自尊感情が低下しやすい
また、進学校の不登校の原因として「自尊感情の低下」も挙げられます。
自尊感情とは心理学用語で「自分を尊重し、自分には存在する価値がある」と感じる感情のことを指します。
同級生たちも必死に勉強しているので、目に見えて成績が上がるということがないため、「こんなに勉強しても報われない」と思いがちです。
また、できた部分、伸びた部分よりもできない部分、間違えてしまった問題にばかり意識が向いてしまうため、「自分はなんてダメなんだ」「どうしてできないんだ」とマイナス方面にばかり考えてしまいやすいです。
4. 保護者様がよく抱える悩み
次に進学校で不登校になってしまった生徒様の保護者様がどういった悩みを抱えるのかについて解説していきます。
①大学に進学できるのか
なんといっても生徒様の今後、それも大学受験に影響がないかどうかを心配される保護者様が多くいらっしゃいます。
結論から申し上げますと、不登校は受験に不利に働いてしまいます。
学習面はもちろんのこと、推薦入試にも悪影響を及ぼしますし、何より「自分はどうせうまくいかない」と生徒様自身が思ってしまうことで勉強が進まず、さらに受験に不利になるというスパイラルに陥ってしまいます。
この場合は大学のレベルを落とすことや国立志望なら入試科目を絞れる私立大学への変更を視野に入れていく必要があります。
数か月しっかり休養し、浪人生として再スタートする方法もありますので、生徒様とよく話し合い決めていけるといいでしょう。
まだ不登校になっていない段階なら、不登校になりうる要因を潰していきながらライフバランスを見直し、最後まで走り抜けるようペース配分を調節していくことが大切です。
▼高校生の不登校の詳細は以下ページをご覧ください
②このまま引きこもりになってしまうのではないか
厚生労働省(注3)によると引きこもりになった時期で15歳~19歳と回答したのは全体の30.6%であり、20歳~24歳と回答した34.7%に次いで2番目に大きな割合となっています。
引きこもりの原因として不登校が挙げられているため、高校生の不登校者が引きこもりになってしまう可能性は確かに高いと言えます。
しかしながら、不登校になれば必ず引きこもりになるとは限りませんし、家族関係が良好なら引きこもりを予防することができます。
また、「引きこもり地域支援センター」や「ひきこもりサポート事業」など、もし生徒様が引きこもりになったとしてもサポートしてくれる団体は多くあるため、上手く支援を受けることができれば引きこもりの状態から脱することができます。
5. 進学校で不登校の生徒様にしてはいけない対応
最後に進学校の不登校の生徒様に対しての対応について解説していきます。
はじめにしてはいけない対応について解説していきますので是非参考にしてください。
①勉強を強制する
「勉強を強制する」ことはもっともしてはいけないことの1つです。
生徒様としても勉強をしなければいけないことはよく理解しています。
それでも心と体がついていかず、勉強が手につかない状態にあります。
そんな時に保護者様が「学校に行ってないんだから自分でやらなきゃダメ!」「はやく勉強しなさい」と口をすっぱく言ったところで、反感を買うだけで机に向かうことはないでしょう。
そのため、いかに「勉強しなさい」と言わずに勉強をしてもらうかが大切です。
例えば、人間は行動を禁止されるとその行動をしたくなるというカリギュラ効果を利用して「勉強しないでいい」と伝え、勉強を促してみたり、
人間の今している行動を続けたいという心理であるツァイガルニク効果を利用して、「5分間だけ自習したらもうやめていいよ」と伝え、5分後も自発的な勉強を促したりと、
上手く心理学を用いると生徒様も自主的に学習を進めることができるでしょう。
②偏差値にこだわる
レベルの高い大学に行くことが人生のゴールではありません。
その大学で何を学びたいのか、どんな大学生活を送りたいのかを具体的にイメージすることが大切です。
そうでないと大学に入ることができたとしてもギャップを感じてしまい、理想的なキャンパスライフを送ることができない可能性があります。
そのため、生徒様も保護者様も偏差値の高さではなく、生徒様が何をしたいのか、生徒様にどんな生活を送ってほしいのかをよく考えたうえで、無理のない大学選びを再度行っていく必要があります。
③将来の不安をあおる
また、生徒様の不安をあおるような言動は絶対にやめてください。
もちろん保護者様としても「危機感を持ってほしい」「どうにかしてあげたい」と生徒様を思っての発言だと思いますが、不登校の生徒様からすると、「責められている」「攻撃されている」と捉えてしまいます。
もちろん「このままで大丈夫」と根拠のない励ましは意味がありませんが、
「大学に行きたいなら通信高校に編入もできる」
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と「不登校だからおしまいということはなく、いくらでも他の選択肢がある」ことを伝え、「これから挽回できる」と生徒様にわかってもらい希望を思ってもらうことが大切です。
6. 生徒様にしてあげたい対応
次に生徒様にしてあげたい対応について解説していきます。今回は3つ解説していきますので、是非試してみてください。
①「べき思考」から解放してあげる
不登校の生徒様は視野が狭くなりやすく、「学校に行くか行かないか」の2択しかないと誤解していることがあります。
そして「学校に行けない」ことを選んでいる自分に嫌悪感を抱き、ますます学校復帰が遠のいてしまうという悪循環に陥ってしまうのです。
そこで保護者様が「学校に行くか行かないか」以外の選択肢、例えば
・通信制高校へ編入する
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などの方法を提案してあげることで、「学校以外の場所が自分にもあるんだ」と気づかせてあげることも重要です。
その際は「学校に行けないなら通信制高校へ行きなさい」と保護者様が進路を決めるのではなく、
「こんな道もあるし、こんな方法もあるよ。自分にあった生き方を一緒に考えていこうね」
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と寄り添いながら決めていけるといいでしょう。
②勉強に集中できる環境を整える
次に「勉強に集中できる環境を整える」ことが挙げられます。
雑音が多かったり、漫画やスマートフォンなどがいつでも手に取れる場所にあると誘惑されてしまい、だらだらと過ごしてしまい、勉強の遅れを招いたり、現実逃避でズルズルと不登校を長引かせてしまうことに繋がります。
物理的に勉強部屋を用意することが難しいなら、塾や家庭教師などを利用し、「勉強に集中する時間」を作り出してあげることも環境調節の1つです。
不登校で人と会うのが気まずいなら家庭教師がおすすめです。
自宅での学習ですので移動時間もなく、勉強以外の相談にも乗りながら上手く生徒様の気分をのせて勉強を促すことができるでしょう。
③教室以外での活動の場を提案する
また、教室以外の活動の場をもたせてあげることも大切です。
・学校の保健室
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など、不登校の生徒の居場所はたくさんあります。
ですが、生徒様がそれらの場所を知る機会があまりないため、受けられるサポートがあることを知らない場合があります。
進学校の生徒様なら
・カウンセラーや指導員に勉強を教わったり
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と、将来に向けて目を向けることにも繋がるため、外部機関を積極的に活用し、生徒様の進路実現をサポートしてくれるつながりを増やしてあげてください。
まとめ
今回は進学校の不登校における現状や原因、保護者様が抱える悩みや生徒様にしてはいけない、してほしい対応について解説しました。
大学受験はその後の人生を大きく変えるといっても過言ではありませんので、進学校の生徒様は人生の岐路に立たされているとも言えます。
そんな生徒様が不登校になってしまうと生徒様はもちろん保護者様もどうしていいか分からず、不安になってしまうことでしょう。
しかし、「不登校になったら一巻の終わり」というわけでもなければ、「もう大学に行けない」というわけでもありません。
生徒様に合った適切な対応をとることで、巻き返したり、生徒様にとって幸せなキャンパスライフを送ることができます。
是非今回の内容を参考にして、生徒様と一緒に少しずつ前へ進んであげてください。
▼当会では、不登校の生徒様に対応した家庭教師をご紹介しています。ぜひ併せてご覧ください。
【脚注】
注1)文部科学省(2023) 令和4年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/1302902.htm (参照2024-03-30)
注2)厚生労働省,心の耳 燃え尽き症候群
https://kokoro.mhlw.go.jp/glossaries/word-1693/ (参照2024-5-10)
注3)厚生労働省 まず知ろう!「ひきこもりNOW」!
https://hikikomori-voice-station.mhlw.go.jp/information/ (参照2024-05-10)
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