1. 東京電気大学中学校とは?
1907年に前身が設立された伝統校。名前の通り、理系に力を入れており、とくに実験教室やコンピュータ教室、科学展示室など、専門の教室が数多く設置されています。
物理の授業では実験用具を手作りで作成する機会もあり、貴重な経験を積むことができます。内部進学率は約2割で、多くの生徒様が難関私立大学へと進学します。
全部の部活動について活動休止日を設けることで、再試や補習を入れやすくしており、学業の適切なフォロー体制を敷いています。6年間のシラバスがHPに公表されており、学習の見通しが立ちやすいのも生徒様思いと言えるでしょう。
2. 東京電気大学中学校の入試傾向について
各試験の科目と試験時間、配点は以下の通りです。
科目 | 試験時間・配点 | |
第1回 |
算数・国語・理科・社会 もしくは算数・国語 |
算数/50分/100点 国語/50分/100点 理科・社会合わせて50分/各60点 |
第2回 |
算数・国語のどちらか1科目 |
算数/60分/100点 国語/60分/100点 |
第3回 |
算数・国語・理科・社会
もしくは算数・国語 |
算数/50分/100点 国語/50分/100点 理科・社会合わせて50分/各60点 |
第4回 |
算数・国語・理科・社会の4科目から2科目選択 |
2科目合わせて70分/各100点 |
入試問題は、全体的に基本~標準的な問題です。その中でも算数については、立体切断などの応用論点が出題されていますので、注意して下さい。算数で点数が取れると、優位に進められると思われます。
①算数
例年、大問5題の出題で、全体の出題傾向は以下の通りです。
・大問1番が計算問題、大問2番が小問集合、大問3番以降が単元別の問題となっている。 ・図形・速さ・数の問題が出題されることが多い ・全体的に基本的な問題が多めで、標準的な問題までで構成されている。 ・大問によっては解法を書く欄があるため、採点官に伝わるように式・やり方を書けるようにしておく。 |
出題傾向の高い、数の問題・速さ・図形の出題傾向について確認してみましょう。
【図形】 ・平面図形・立体図形どちらも出題されるが、立体図形の方がよく出題されている。 ・平面図形では相似・面積が、立体図形では切断・体積・構成が頻出。
【速さ】 ・旅人算・点の移動・水量・特殊算など、幅広く出題されている。 ・グラフを伴う問題も出題されているため、問題集でよく慣れておく。
【数の問題】 ・場合の数・規則性・約束記号・約数・倍数が頻出。 |
2024年度第1回の大問3番では、数の問題として規則性に関する会話問題が出題されました。会話形式の問題は今まであまり見ない形式でしたので、驚かれた生徒様も多かったと思われます。
このような形式の問題についても対応できるように、他の過去問などで練習しておくと良いでしょう。問題自体は基本的なものでしたから、焦らずに対処できるようにして下さい。
②国語
例年、大問6題の出題で、大問1.2番が文章題、大問3番が語彙、大問4番が作文、大問5.6番が漢字の読み書きが出題されています。この傾向は回数によりません。
出題傾向の詳細は、以下の通りです。
・文章題は物語文・説明文各々1題ずつの出題。 ・語彙・接続詞・表現技法・抜き出し・正誤選択・記述問題など、満遍なく出題される。 ・記述問題は比較的短めで、棒線部近くで解答できるものが多い。 |
そのほか、特徴的な問題は作文問題です。2024年度第一回では、「一番好きな場所はどこですか?」という題材で、100字以内で生徒様自身の考えを書く問題でした。日頃から、日記を書いて、自分の考えや気持ちを、正しい文章で書けるように練習しておきましょう。
その他注意点としては、俳句の問題が出題される可能性があり、季節を答える問題が時折出題されています。
「わかる国語」(旺文社)などの総合的な文法書で、俳句の季語を確認すると良いでしょう。
③理科
例年、大問3題の出題で、物理・化学・生物・地学が満遍なく出題されています。全体的に基本~標準的な問題です。これは回数によりません。出題傾向を、以下で確認してみましょう。
【大問1番】 ・小問が20題程度出題される小問集合で、知識問題だけでなく、現象理解問題、物理や化学の計算問題、時事問題、歴史上の人物など多岐にわたって出題されている。 ・対策としては、苦手単元を作らずに、基礎をしっかりと固めること。ニュースや新聞、科学のドキュメンタリー番組を見ることもおすすめ。
【大問2・3番】 ・分野別の問題で、物理・化学・生物・地学の4分野から2分野出題される。 ・内容は基本~標準問題のため、基礎をしっかりと固めることを重視して対策する。 |
このほか、記述問題が出題されることもあります。2024年度第一回では、大問に化学と地学が出題され、記述問題も出題されました。
現象理解を問う記述問題も多く見受けられますから、日頃から暗記だけで終わらせないように注意しましょう。
④社会
例年、大問3題の出題で、地理・歴史・公民が満遍なく出題されています。多くが一問一答的な記号選択問題です。
2024年度第一回も、やはり記号選択問題で多くが占められていました。但し、一部漢字指定の問題もありますから、注意して下さい。この傾向は回数によりません。
地理・歴史・公民の出題傾向や対策は、以下の通りです。
【地理】 ・基本的な用語に関する問題が多く出題されている。 ・地図帳や一問一答を軸にした学習が効果的。 ・統計・雨温図も出題されている。 ・世界遺産も頻出のため、しっかりと対策しておく。
【歴史】 ・出来事と時代をしっかりと結びつけて学習する。 ・歴史上の人物と、その政策を紐付けて暗記しておく。 ・写真や絵に関する問題も一部出題されるため、普段から資料集を用いた学習を心掛けておく。
【公民】 ・基本的な内容が出題されているが、なかでも時事問題が頻出。 ・最近の時事を中心に、ここ1.2年程度の内容は知っておくようにする。 |
⑤問題の形式等が似ている学校は?
問題の形式が似ている学校は、以下の通りです。
全体的な傾向:順天中学校 算数の会話形式の問題:獨協中学校 |
全体的な傾向としては、順天中学校に似ていると思われます。算数の会話形式の問題は、獨協中学校が参考になるでしょう。
3. 東京電気大学中学校を受ける際の併願パターンは?
①1月受験校
埼玉平成中学校 東京農業大学第三高等学校附属中学校 西武台新座中学校 |
1月は練習として、埼玉平成中学校・東京農業大学第三高等学校附属中学校・西武台新座中学校が挙げられます。
しっかりと合格を手にすることで、精神的に落ち着けると思われます。
②2月1日
午前:東京電機大学中学校(1次) 午後:東京電機大学中学校(2次) |
午前・午後共に、東京電機大学中学校で決まりです。
③2月2日
午前:東京電機大学中学校(3次)・駒込中学校(3次) |
午前は東京電機大学中学校(3次)で決まりです。東京電機大学中学校に合格されていれば、駒込中学校(3次)が良いでしょう。午後は宝仙学園中学校(2次)か八雲学園中学校(3次)が良いでしょう。
ただし、1日に午前・午後受験されると思いますから、生徒様の疲労を考慮して、午前・午後どちらかの受験を回避しても良いかと思います。
④2月3日
午前:日本大学第二中学校(2次)・東海大学附属高輪台中学校(2次) |
午前は、東京電機大学中学校に合格されていれば、日本大学第二中学校(2次)にチャレンジしてみると良いでしょう。
合格されていなければ、抑え校として、東海大学附属高輪台中学校(2次)が宜しいかと思います。
午後は、桜美林中学校(3次)かサレジアン国際学園中学校(5次)が良いでしょう。
⑤2月4日
午前:駒込中学校(5次)・文教大学付属中学校(5次) 午後:東京電機大学中学校(4次)・目黒日本大学中学校(4次) |
午前は東京電機大学中学校に合格されていれば、駒込中学校(5次)が、そうでなければ文教大学付属中学校(5次)で抑えると良いでしょう。
午後は東京電機大学中学校(4次)の最後の入試です。合格されていれば、目黒日本大学中学校(4次)にチャレンジしてみましょう。
4. 東京電気大学中学校の受験対策方法
入試問題は、全体として基本〜標準的な問題と言えますが、具体的に何をして行けば良いのでしょうか。
ここからは、具体的な受験対策方法についてお話ししていきましょう。
①時期別・教科別対策内容
(1)小学4年生
【算数】 ・塾のカリキュラムに沿って対策する。 ・塾に通われてない生徒様は「予習シリーズ」に沿って進めていくと良い。 ・小問集合を含めると満遍なく出題されるため、苦手単元を作らないことが大切。 ・計算力が必要な問題も多々出題されるため、速く、正確に計算ができるように毎日トレーニングする。
【国語】 ・カリキュラム・予習シリーズをもとに対策する。 ・文章が難しいと感じる場合は、少し簡単な文章から確実に読めるようにする。文章を読んでから、要旨を50字程度で書いていくのが、将来の東京電機大学中学校対策にはおすすめ。 ・表現技法や俳句について、今の時期から学習しておくと良い。「わかる国語」(旺文社)などの総合的な文法書を1冊用意して学習する。 ・作文対策として日頃から日記を書き、保護者様が添削をされると良い。
【理科】 ・生物・地学を中心とした暗記単元が始まるため、今のうちにしっかりと暗記する。 ・身の回りの現象理解が必要な問題も出題されるため、例えば、何故洗濯物は乾くのか?など身近な内容について、親子で一緒に考察する。
【社会】 ・地理分野が本格的に始まるため、地図帳片手に場所を調べながら学習する。 ・漢字指定の問題が出題されるため、地名など漢字で書けるようにしておく。 ・統計・雨温図など資料にも目を通すようにしておく。 |
(2)小学5年生
【算数】 ・引き続きカリキュラム通りに対策するが、小学4年生の内容及び小学5年生で習う内容も適宜復習する。
【国語】 ・国語は、物語文・説明文共に、客観的に読む訓練。生徒様自身の意見ではなく筆者の意見を読み取れるよう、要旨を80字程度で書く練習する。
【理科】 ・物理・化学などの計算問題が始まる時期。計算問題はよく出題されるため、基本~標準的な問題は解けるようにしていく。 ・物理については光・電気といった「現象理解」が必要な単元も出題されているため、計算問題以外も対応できるようにする。
【社会】 ・歴史が始まる時期のため、全体的な流れを理解しながら、暗記を行う。 ・主な出来事が何時代なのか、判断できるまで反復する。 ・歴史は難しい漢字が多いが、しっかり書けるようにする。 ・資料集で写真・絵についても確認しておく。 ・時事対策として、この時期からニュース・新聞を見聞きしておくと良い。 |
(3)小学6年生(4月〜6月)
【算数】 ・前学年までの復習をしっかりしながら、全体的なレベルを上げていく時期。数の問題・速さ・図形に不安がある場合は、この時期に克服するようにする。 ・過去問にも、一度取り掛かってみる。
【国語】 ・標準的な文章で、設問の解き方を確認する。 ・記述問題は根拠をしっかりと辿るようにする。
【理科】 ・引き続き、身の回りの事柄への理解を深めつつ、計算問題の力をつけていく。
【社会】 ・公民が始まるため、幅広く基本的な内容を定着させる。 |
(4)小学6年生(7月〜8月)
【算数】 ・秋以降は過去問など演習に時間を取られるため、まとまった時間が取れる最後の時期となる。 ・過去問を3〜5回分解く。 ・苦手単元があれば、夏休み中に克服しておく。
【国語】 ・過去問を3回分は解いて、形式に慣れるようにする。 ・記述問題は根拠をおさえつつ、記述する際には主語を書くことを意識すると良い。 ・俳句は季語を覚えておくと良い。 ・作文対策を継続的に行う。
【理科】 ・過去問を3〜5回分解く。 ・理解不足のところは、基本に戻って理解する。 ・知識問題はこの夏休みに定着させる。
【社会】 ・過去問を3回分行うことで弱点を見つけ、補強する。 ・知識の暗記をしっかりと行う。 |
(5)小学6年生(9月~11月)
【算数】 ・過去問中心、とくに解き直しに力を入れる。
【国語】 ・過去問を中心に進め、漢字・語彙・表現技法・俳句の強化も忘れずに行う。
【理科】 ・過去問を中心に対策し、過去問で出てきた内容の暗記だけでなく、きちんと理解ができているかを保護者様で確認すると良い。
【社会】 ・過去問と同時に、全般的な復習も忘れずに行う。 ・大手塾が出版している「重大ニュース」を読み、更に時事問題を強化していく。 |
(6)小学6年生(12月~1月)
【算数】 ・過去問の解き直し、数の問題・速さ・図形を含めた全般的な定着を行う。
【国語】 ・時間配分・設問形式を忘れないため、1週間~2週間に1度は過去問に触れる。
【理科】 ・今まで習ってきた内容や、過去問の内容で、理解しきれていないところはないか、確認する。
【社会】 ・全般的な復習をしつつ、地理では地図・統計・雨温図を中心に確認する。 ・歴史は出来事と時代の確認、公民は基本的な知識を再度確認すると良い。 ・時事問題については、できるだけ多くの内容理解に努めるようにする。 |
②東京電機大学中学校の過去問対策方法
(1)過去問の効果的な使い方
【算数・理科】 計算問題は比較的似た傾向の問題が出題されるため、なるべく遡って行い、解き直しもしっかり行う。
【国語・社会】 国語・社会はそれぞれ記述問題が多く、苦労する点も多いと思われる。形式に慣れることが大切。 |
(2)いつから解き始めればよいか
【算数・国語】…夏休み前から
【理科・社会】…夏休みに入ってから あまり早く始めても、試験範囲の学習が終わっていない場合もあるため、焦らず夏休みに集中して行う。 |
(3)何年分を何周解けばよいか
【算数】 数の問題・速さ・図形といった頻出単元があり、素早く正確に解く練習が必要。そのため最低10回分、できれば20回分解いておく。
【国語】 記述・作文が得意な生徒様は5~10回分程度、苦手な生徒様は10回分以上解いて慣れる必要がある。 2周解き直しができれば良い。
【理科】 過去問を解くことで、理解しきれていない箇所を発見し、周辺事項を理解し直すようにする。計算問題については練習が必要なため、最低10回分、できれば20回分解くと良い。
【社会】 社会はそれほど特殊な形式ではないため、5~10回分解けば良い。 |
③保護者様にできるサポート内容
(1)成績が下降してきたら…
生徒様の成績が下降してきたときは、基本〜標準的な問題ができなくなっている可能性が高いです。塾などで難しい問題ばかり行なっていると、基本的なところが疎かになり、土台が崩れて成績が下降する原因となるためです。
そのような場合は、次のような対応をおすすめします。
・小学4年生・5年生の単元などの基本的な問題に立ち戻って、再度復習をするよう生徒様に促す。 ・試験の結果に一喜一憂せず、長い目で生徒様を見守ることを意識する。 |
具体的には、
「少し前の単元に戻ってやってみようか。」
「ゆっくり基本からやり直してみよう。」
などと声をかけ、生徒様を責めずに対応しましょう。
尚、復習とは、間違えた問題をできるまで解き直しを行うことで、できるまで行うことがポイントです。
また、一度解けたとしても、また暫く経ってから解き直すことも必要ですので、保護者様でしっかりと管理して頂くと良いでしょう。
(2)計算力対策
東京電機大学中学校では計算問題は必ず出題されており、計算力が鍵を握ります。そのため毎日10問程度、四則演算の計算問題を解くと良いでしょう。計算間違いが多い生徒様の場合、まずはゆっくりと正確に行う練習をしましょう。正確さが身についてから、スピードの順番でお願いします。
(3)理科の対策
東京電機大学中学校の理科は、これまでご説明している通り、理解を問う問題が出題されております。
保護者様としましては、身近な事柄について、生徒様と会話をし、一緒に調べて理解を促すようにして頂けると宜しいかと思います。
例えば、以下のような身近にあるものをしっかりと調べることは、理科の対策にとても重要です。
「洗濯物を干すと乾くのは何故だろうね?」 |
(4)時事問題対策
時事問題こそ、保護者様の出番です。今、ニュースや新聞で見聞きする内容は、保護者様にとっては常識的なことでも、生徒様には実感がわかない・わからないことも多いと思われます。ニュースや新聞で出てきた内容を生徒様と会話するようにして下さい。
例えば、次のような質問をきっかけに、生徒様と時事問題について一緒に調べることは重要です。
「今円安が進んでいるってニュースで言っていたけど、どういうことかわかる?」 |
(5)ケアレスミス対策
計算間違い・見間違い・勘違いなど全てケアレスミスと言われます。しかし、そのミスは放っておいて直るのでしょうか。また、優秀な生徒様は何故ケアレスミスが少ないのでしょうか。ケアレスミスの対策法について、お伝えします。
まず、計算間違いの対策のポイントは、次の通りです。
・ゆっくり、正確に計算を行う。 ・頭で計算(暗算)せずに、しっかりと筆算する。 ・計算は大きく行い、計算の都度、確認をする。 |
次に、見間違い・勘違いへの対策を確認してみましょう。
・文章の数字や人物には丸をつけるなど、目立つようにする。 ・何を答えるべきなのか、設問で聞かれていることにも印をつける。 ・答えを出したら、もう一度問題文を確認し、生徒様自身の解答も、もう一度確認する。 |
このように徹底することで、今までのミスが格段に減ると思われます。保護者様も、是非、生徒様の横でチェックして頂けると良いかと思います。
まとめ
理系科目に力を入れている東京電機大学中学校。学業のフォロー体制がしっかりとしており、きめ細かな対応に定評があります。
入試問題は、全体的に基本~標準的な問題です。最も差がつきやすい算数は、数の問題・速さ・図形が頻出で、立体切断などの応用論点も出題されています。ただし、あくまでも問題のレベルは標準的なレベルまでですから、しっかりと基礎を固めることが大切です。
国語では、記述問題だけでなく、100字程度の作文問題が出題されます。採点官に自分の考えが伝わるように、論理的な文章を書く練習をして下さい。日記や新聞記事の感想を書くと良いでしょう。
【参考文献】
東京電機大学中学校
東京電機大学中学校2025年度版10年間過去問声の教育社
順天中学校2025年度版10年間過去問声の教育社
獨協中学校2025年度版10年間過去問声の教育社
他の学校の入試傾向・受験対策
中学受験対策をご検討なら
東大家庭教師友の会をもっと知る
お問合せ・体験授業はこちら