中学受験の併願校選びで悩んでいませんか?
この記事では、併願校を選ぶときのポイントや戦略について解説します。
親子の話し合いのコツを知り併願校選びに役立ててくださいね。
目次
2. 併願校を選ぶ際のポイント
・①第1志望校から第3志望校までに合格できるようにする
・②同じ学校を複数回受験すると優遇制度が使える学校もある
3. 首都圏で中学受験を行う際の併願戦略について
・①1月に千葉県・埼玉県にある腕試し校を受験する
・②2月1日や2日に東京都・神奈川県の午後入試を受験する
・③2月2日までに1校だけでも合格をつかめるよう併願パターンを考える
4. 併願校の検討はいつ頃から開始するべきか
5. 併願校について、子どもとはどのように話し合うのがベストか
・①いつから話し合いを始めるべきか
・②子どもの意向をどう引き出すか
・③子どもの意向と親の意向をどうすり合わせるか
6. 併願校選び、及び親の対応のNG例・失敗談3選
・①併願校がチャレンジ校ばかりになる
・②併願校が安全校ばかりになる
・③塾の先生に薦められるまま併願パターンを採用してしまう
7. 併願校選びに関するよくある質問3選
・①子どもから、併願校の意思がなかなか出てこない場合、どうするべきか
・②共学と男子校・女子校は併願できるか
・③私立中学校と公立中高一貫校は併願できるか
最後に
1. 併願校は何校程度選ぶのが一般的か
併願校は7校程度選ぶのが一般的です。
中学受験は「7校出願、5校受験、3校合格」するとちょうど良いので「七五三」と覚えてください。
併願校はレベル別で「チャレンジ校」「実力相応校」「安全(滑り止め)校」に分かれています。
1月に受験できる「腕試し校」も加えて併願校を検討します。
おすすめの内訳は以下です。
・第1志望校 : 1校
・チャレンジ校 : 1校
・実力相応校 : 1〜2校
・安全校 : 1〜2校
・腕試し校 : 1〜2校
第1志望校がチャレンジ校と同レベルなら実力相応校と安全校を多めに設定し、第1志望校が実力相応校ならチャレンジ校を2校にしても良いでしょう。
併願校は同じ日に2校出願しても良いので、7校出願した場合、実際に受験するのは5校程度です。
その中から3校合格できれば生徒様が自分で進学先を選べるため、前向きな気持ちで通学できるでしょう。
2. 併願校を選ぶ際のポイント
併願校を選ぶ際は、合格に近づくためのポイントを押さえましょう。
①第1志望校から第3志望校までに合格できるようにする
第1志望校から第3志望校のうち、どれか1校は合格を狙えるレベルの学校を選んでください。
中学受験で第1志望校に合格できる子どもは、その学校を受験した子どもの3人に1人と言われています。
第1~第3志望校で不合格が続いてしまうと生徒様の心が折れてしまうので、慎重に決めましょう。
第2志望校や第3志望校に進学しても納得できるよう、心の準備を進められると良いですね。
併願校は第1志望校と雰囲気が似ている学校の中から探します。
受験日程や試験の難易度は一旦気にせず幅広い偏差値の中から選びましょう。
生徒様の可能性を信じてチャレンジ校をたくさん受験させたいかもしれませんが、不合格だった場合の生徒様の気持ちを考えるとあまりおすすめできません。
生徒様が必ず合格できる偏差値(-10~15)の安全校を受験しておくと、「合格した」という経験を積めるので生徒様の自己肯定感がアップするでしょう。
②同じ学校を複数回受験すると優遇制度が使える学校もある
中学受験には、同じ学校を複数回受験した生徒様の合格率が上がる優遇制度があります。
2回目の試験の点数を少し加点してもらえたり、1回目と2回目で各教科の点数が高い方を合計点に反映するいいとこどりの方式であったり、学校によって対応が異なります。
生徒様の点数が合格点のボーダーラインにわずかに届かなかった場合に複数回受験していれば繰り上げ合格としてくれる学校もあります。
優遇制度がある学校を併願校に選ぶ戦略もおすすめです。
3. 首都圏で中学受験を行う際の併願戦略について
首都圏で中学受験に挑む場合、併願パターンを増やす方法があります。
早めに合格をつかむために以下の併願戦略を検討してみてください。
①1月に千葉県・埼玉県にある腕試し校を受験する
中学受験は一般的に2月1日が受験初日ですが、1月中に受験可能な学校が千葉県と埼玉県にあります。
早めに合格できると生徒様の気持ちが安定し2月1日以降の受験で非常に有利です。
生徒様に入学の意思がなくても、試験会場の雰囲気に慣れるために1月の受験を経験すると良いでしょう。
例をあげると、埼玉県の栄東中学校は2025年1月10日、千葉県の渋谷教育学園幕張中学校は例年1月20日頃が入試の初日となります。
1月に受験できる学校のことを腕試し校と呼びます。
腕試し校の受験は、以下にあてはまる生徒様におすすめです。
・受験本番の緊張感に慣れたい
・体力がなく受験日程を分散させたい
・2月1日に第1志望校を受験する前に合格を掴んで勢いに乗りたい
腕試し校を受験する場合、受験日程が1月に早まるため学習スケジュールの調整が必要です。
生徒様の苦手分野を克服できるよう、基本問題の復習と過去問の復習どちらを優先するか、保護者様が決めてあげましょう。
また、試験当日のコンディションを万全にするため、体調管理も忘れないようにしてください。
②2月1日や2日に東京都・神奈川県の午後入試を受験する
約20年前に中学受験の午後入試が導入され、併願パターンが増えました。
東京都・神奈川県の学校では2月1日や2日に午前入試・午後入試の2校受験できるため、早めに合格を勝ち取れます。
午後入試は2教科または1教科で受験でき、試験時間が短いです。
その日の夜にWEBで合否を確認できるため、翌日以降の併願スケジュールの修正も可能です。
午前入試と午後入試の移動距離が短くなるよう、受験校を事前に確認しましょう。
午後入試の学校近くの飲食店は受験生で混雑するため、どこでお昼休憩をとるのか検討も必要です。
なお、午後受験は合格者数が少なく、生徒様も体力・気力を消耗するため、合格を狙う自信がなければ無理して受験しなくて良いかもしれません。
③2月2日までに1校だけでも合格をつかめるよう併願パターンを考える
1月の腕試し校も含め、2月2日までに1校だけでも合格できるようにしましょう。
2月3日以降は倍率が高くなり生徒様のモチベーション維持も難しくなるためです。
2月1日の合否はその日の夜にWEBで確認できます。
もし不合格だったら2月2日の受験校のレベルを下げることを推奨します。
併願校を臨機応変に修正するため、2月2日以降は願書を2校以上出しておきましょう。
試験直前までWEB出願を受け付けている学校もありますよ。
どんな結果になっても最後まで悔いが残らないよう、併願校はチャレンジ校から安全校まで用意しておくと慌てずに試験に挑めるでしょう。
今までの模試の結果を見て生徒様が実力を出し切れるか不安であれば、2月1日はハードルの低い学校から入試を始めると良いですね。
初日に緊張してケアレスミスを起こしてしまう生徒様もいらっしゃいますが、2月1日に合格できたら次の日はステップアップしてレベルの高い学校に挑戦できるでしょう。
もし併願スケジュールで困っていたら、塾の先生や家庭教師の先生に相談すると2月2日までに合格できる併願プランを組んでくれるかもしれません。
4. 併願校の検討はいつ頃から開始するべきか
(1)併願校の検討開始時期
第一志望校は、小学校5年生の春ごろから検討を開始し、小学6年生の1学期頃に決定させるのが一般的です。
併願校の検討は、第一志望校が決定してから開始しましょう。
保護者様の中では小学校5年生の時期に志望校の候補を10校ほど選んでおきましょう。
第一志望校に選ばれなかった9校から併願校を検討すると良いです。
小学6年生の夏休みまでに志望校も併願校も決まっていると、夏休みに過去問を解けたるため、試験対策に時間を使えるというメリットがあります。
夏休みに勉強した結果、成績がアップまたはダウンしても、併願校を見直す時間があります。
併願校を変更した場合は、2学期に学校説明会や文化祭に参加できると良いですね。
(2)併願校の最終決定時期
第一志望校の最終決定は小学6年生の11月までで、併願校の最終決定は小学6年生の12月までにしましょう。
保護者様は急いで願書の出願スケジュールを確認し、忘れずに申請してください。
5. 併願校について、子どもとはどのように話し合うのがベストか
併願校は複数校選ぶため、子どもとの話し合いは難航するかもしれません。
生徒様の意向を引き出しつつ併願校が偏らないよう保護者様が調整する際のコツを解説します。
①いつから話し合いを始めるべきか
併願校についての話し合いは、志望校について検討し始める小学5年生の春ごろから始めましょう。
第二、第三志望校が検討できれば、小学5年生の夏~秋にかけて効率良く学校を見学できます。
また過去問を早めに下調べできれば、志望校と併願校に合わせた学習計画や試験対策に時間を費やせますよ。
小学6年生になると併願校のことまでゆっくり話し合う時間がないかもしれません。
小学5年生のうちに生徒様の生活リズムを整えて、進路について親子で気軽に意見交換できる時間を作れるといいですね。
②子どもの意向をどう引き出すか
志望校を親子で話し合う中で、生徒様の学校選びの基準が明確になってくるはずです。
各学校の長所・短所を生徒様に伝えて併願校を検討してもらいましょう。
その学校に期待していること、不安に感じていることをヒアリングできると良いです。
生徒様ご自身の目標、価値観に基づいて併願校を決めるのが理想です。
将来の夢も聞けたら志望校・併願校選びの参考になるでしょう。
学校見学に行くと、印象が一気に変わり併願校が第一志望校に変わることもあります。
また、まれに入試1ヶ月前に志望校が変わることもあるそうです。
いずれにしても、生徒様の意向を尊重し、ご自身で志望校と併願校を決めることが大切です。
③子どもの意向と親の意向をどうすり合わせるか
生徒様は志望校が不合格になるとは思っていないため、併願校の受験を嫌がる可能性があります。
併願校について前向きに検討してもらうため、志望校と併願校の似ているところを生徒様に伝えてみてください。
「〇〇が魅力的な学校だよ」と併願校の長所を具体的に教えてあげましょう。
併願校が生徒様にマッチしていることを保護者様から伝えられたら、生徒様も「この学校で頑張りたい」と思えるはずです。
生徒様が希望する併願校に偏差値が高い学校が多い場合は注意が必要です。
最低でも1校は合格できるよう、生徒様の希望通りに受験できない可能性があることを早めに伝えましょう。
子どもの意向と親の意向がどうしても合わない場合、初心に帰って「なぜ中学受験をするのか」思い出してください。
中学に入学した後の生徒様が勉強や部活動に取り組む姿を想像しながら、親子でじっくり話し合いましょう。
家庭の方針を固めて学校選びの基準が明確になれば、併願校選びを進められるはずです。
保護者様と生徒様で希望する学校が異なる場合は、親1校、子1校ずつ併願校を選ぶ方法もあります。
妥協点を探りながら家族の絆を深められると良いですね。
6. 併願校選び、及び親の対応のNG例・失敗談3選
併願校選びでよくある失敗例を3点紹介します。
生徒様に当てはまっていたら保護者様のサポートで軌道修正してあげましょう。
①併願校がチャレンジ校ばかりになる
併願校がチャレンジ校ばかりだと全て不合格になるリスクがあります。
常にプレッシャーを感じながら受験勉強して入試本番を迎えることになるため、過度のストレスが溜まってしまいます。
難関校対策に偏重し、基礎学力の定着がおろそかになるかもしれません。
試験直前にチャレンジ校から安全校に変更すると子どもは不安を感じるので、なるべく早めにチャレンジ校を1校だけに減らしましょう。
チャレンジ校に合格しても、入学後に学力差を強く感じ、学校生活に適応できない可能性があります。
生徒様の精神力・適応力が心配なら保護者様がフォローしてあげましょう。
②併願校が安全校ばかりになる
併願校が安全校ばかりだと学力向上のチャンスを逃してしまいます。
試験問題が簡単だと学習意欲の維持が難しくなるのです。
中学受験に挑戦する良い機会なので、生徒様の潜在能力を発揮できるよう適切なレベルの学校を目指しましょう。
安全校に合格した後は、生徒様ご自身が実力を過小評価しないよう、将来の目標を高く設定しましょう。
周りが生徒様に期待を寄せれば、生徒様の自己評価の低下を防げますよ。
③塾の先生に薦められるまま併願パターンを採用してしまう
塾の先生に薦められた併願校を深く考えずにそのまま採用するのはおすすめできません。
学校見学しないまま併願校に入学すると生徒様はギャップを感じてしまいます。
受験勉強で忙しいとは思いますが、1度は学校見学しておきましょう。
見学してみてイメージと違っていたら他の併願校を探しても特に問題ありません。
保護者様と生徒様が併願校を選ぶ際のポイントを見直すきっかけになるかもしれませんよ。
7. 併願校選びに関するよくある質問3選
併願校選びに関するよくある質問を3点解説します。
併願校のタイプが違う場合についても説明します。
①子どもから、併願校の意思がなかなか出てこない場合、どうするべきか
生徒様が併願校について考える余裕がない場合は、保護者様が代わりに情報収集し、各学校の特徴をまとめたリストを作成しましょう。
入試情報、通学時間、共学または別学、設備など、生徒様が興味を持ちそうなポイントを簡潔にまとめます。
チャートや表など視覚的な資料を用いると効果的です。
受験勉強の合間に生徒様が休憩しているタイミングで、併願校リストを見せて意思を引き出しましょう。
リストアップした併願校は全て素晴らしい学校で、どの学校に入学しても楽しい中学校生活を送れるはず、と生徒様に伝えられると良いですね。
②共学と男子校・女子校は併願できるか
共学と男子校・女子校は併願できますが、入試問題の出題傾向が少し異なります。
志願者の層や学校の方針が違うためです。男子校は理系科目、女子校は文系科目の難易度が高い傾向にあります。
一方で、共学校はさまざまなタイプの問題をバランス良く出題します。
併願する場合はそれぞれ過去問を解き出題傾向を把握しておきましょう。
最近は算数が難化している女子校もあります。
学校側が求める生徒像の変化により暗記力より思考力が問われる問題が増えているため、過去問と同様の問題が出るとは限りません。
日々のニュースを見て親子で内容を確認し、世の中で起きている出来事に興味を持つことで思考力を鍛えられると良いですね。
③私立中学校と公立中高一貫校は併願できるか
私立中学校と公立中高一貫校は併願できますが、試験内容が大きく異なるため入念な準備が必要です。
公立小中一貫校は4教科入試ではなく適性検査及び作文を実施します。
適性検査は読解力が問われる記述式の問題が多いです。
私立中学より学費が安く倍率が非常に高いため、合格を目指すならしっかり対策を練りましょう。
最後に
中学受験の併願校選びにおけるポイントや戦略、親子の話し合いのコツについて解説しました。
志望校と併願校がスムーズに決まれば受験勉強に専念できます。
生徒様にとって魅力的な学校が見つかると良いですね。
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