1984年開校、2024年に現校名に変更された明治大学附属八王子中学校。内部進学率は約9割と、高い割合で明治大学へと進学されます。
入試問題は、基本~標準的な問題ですが、算数を中心に応用論点も出題されています。そんな明治大学付属八王子中学校の入試問題について、これまで300人以上の生徒様を指導してきた私が、徹底解説致します!
目次
2. 明治大学付属八王子中学校の入試傾向について
・①算数
・②国語
・③理科
・④社会
・⑤四科総合問題
・⑥問題の形式等が似ている学校は?
3. 明治大学付属八王子中学校を受ける際の併願パターンは?
・①1月
・②2月1日
・③2月2日
・④2月3日
・⑤2月4日
4. 明治大学付属八王子中学校の受験対策方法
・①時期別・教科別対策内容
・②明治大学付属八王子中学校の過去問対策方法
・③保護者様にできるサポート内容
1. 明治大学付属八王子中学校とは?
1984年に明治大学付属中野八王子中学校として開校。2024年に現校名に変更されました。内部進学率は約9割と、高い割合で明治大学へと進学されます。一定の成績を収めれば、内部進学枠を持ちながら、国公立大学への受験が可能です。
高大連携行事が盛んで、明治大学各学部の説明会、公開授業への参加、大学キャンパスの見学会など、正に系属校ならでの魅力に溢れています。
2. 明治大学付属八王子中学校の入試傾向について
A入試の第一回・第二回の試験科目は、算数・国語・理科・社会の四科目です。試験時間は各々50分・50分・30分・30分、配点は100点・100点・50点・50点となっています。B入試の試験科目は、四科総合問題です。試験時間は60分、配点は120点です。
入試問題は、基本~標準的な問題で構成されています。しかし、算数では立体切断など応用論点も出題されていますし、差がつきやすい科目です。
図形・速さ・数の問題を中心にしっかりとした対策が必要です。国語は、抜き出し問題が多数出題されます。記述問題と考え方は似ていますので、記述対策を行うことで対応出来てくるでしょう。
①算数
例年、大問5題の形式で、大問1番は計算問題、大問2番は基本的な小問集合、大問3番が基本〜標準的な小問集合、大問4.5番が単元別の問題となっています。先ずは全体的に標準的な問題までを確実に解ける様にしていく必要があります。この形式は回数によりません。
単元別の問題では、図形・速さ・数の問題がよく出題されています。
図形は、平面図形・立体図形どちらも出題されますが、立体図形の比率が高めです。切断や回転体といった応用論点が問われています。
速さの問題は、旅人算・水量グラフ・通過算の特殊算など、幅広く問われています。グラフと共に出題される事が多いですから、グラフの読み取りを十分に行うようにして下さい。
2024年度A方式第一回も、同様の傾向の問題が出題されました。頭だけで考えていこうとする生徒様には対処が難しかったと思います。しっかりとグラフから状況を読み取り、手を動かして整理する癖付けをしてください。
数の問題は場合の数・約数・倍数が頻出です。具体的に書き出して、状況を整理していく事が大切でしょう。文章が長い問題もありますので、いい加減に読まずに、よく理解してから問題に取り掛かりましょう。
②国語
例年、大問2~3問の出題で、第一回・第二回共通です。大問2問で出題される事が多く、物語文・説明文が各々1題ずつ出題されています。文章は長めのことが多いですから、毎日の読書は欠かせません。
設問としては漢字・語彙・接続詞・抜き出し・記号選択問題が出題されています。記述問題はほぼ出題されることはありません。尚、大問3題の場合は、漢字問題が大問3番で出題されるだけで、大きく内容は変わりません。
文章題では、とにかく抜き出し問題が多い事が特徴です。抜き出し問題が解けるかどうかで、かなり差がつくと思われます。しかし、抜き出し問題と言えども、記述問題の代わりに抜き出し問題になった形式が多いですから、記述問題を解く要領で答えていくとうまく正答できます。
ですから、記述式問題に強くなる事が必要だとお考え下さい。傍線部近くだけでなく、本文全体から考える問題も出題されています。尚、解答用紙を見ますと抜き出し文字数が少ないように見えますが、実際にはそうではありません。
例えば、2024年度A方式第一回大問1番問9では、21文字の抜き出しを見つけ、最初の五文字だけ答える問題でした。ですので、やはり記述式の要領で考えていくことが大切でしょう。
③理科
例年、大問5〜7題の出題で、物理・化学・生物・地学が満遍なく出題されています。一つひとつの問題は短いですが、計算問題・考察問題・知識問題がバランス良く出題されています。第一回・第二回で形式に変わりはありません。
物理・化学では、問題集レベルの標準的な計算問題と理解・知識問題が出題されています。2024年度A方式第一回では、物理で電磁石と音、化学で溶解度の問題が出題されました。(因みに、2024年度第二回では、物理が光、化学で中和)出題頻度に関わらず、必ず広範囲を網羅して頂きますようお願いします。
生物・地学は考察問題が出題されており、理解していないと解けない問題があります。図鑑・理科事典でわからないことは調べる癖付けをしましょう。また、当然ながら知識問題も多く出題されていますから、確実な知識の定着が求められます。
④社会
例年、大問3〜4題が出題されており、地理・歴史・公民・時事問題が出題されています。「すべて」「誤っているもの」「漢字で」といった指定が設問に書かれる事が多いですから注意が必要です。多くが記号選択や単語問題ですが、記述問題が出題される事があります。
単なる暗記だけでなく、理解も必要となります。2024年度第一回では、地方自治体の首長に議決拒否権がある理由について答える記述問題でした。単元問わず、理解が必要となります。第一回・第二回で傾向に違いはありません。
地理では、地図に関する問題が毎年出題されます。しっかりと地図帳で確認しながら学習を進める必要があるでしょう。尚、地理では全般的に出題されていますので、幅広く学習する必要があります。雨温図・統計・地形図など疎かになりやすいですから注意して下さい。
歴史では、標準的な単語暗記が必要です。正確に暗記していないと解けない問題です。また、出来事の並び替え問題もありますから、年号暗記もして下さい。絵や写真の問題もありますので、資料も確認しましょう。
公民は時事問題と合わせて出題される事があります。日本国憲法・国会・選挙・国際関係といった内容が頻出です。事例が出されて日本国憲法の第何条と関連があるか問われる問題もありますので、日本国憲法の内容をしっかりと理解して下さい。
⑤四科総合問題
四科総合問題は、算数・国語・理科・社会の各々に関して問われる融合問題となっています。それぞれの科目を暗記ではなく、現象理解出来ているか、物事を深く考えているか、及び算数の論理的思考力が問われています。どの問題も、文章が長く、与えられている文章や表、資料から生徒様の考える力を問う良問となっています。
2024年度第一回B方式では、大問1番でパソコンのエクセルをイメージした創作問題が出題されました。文章が長く、指示も多い問題でしたから、情報整理と論理的思考力が問われる問題となっていました。公立中学一貫校入試の適性検査試験が参考になります。
⑥問題の形式等が似ている学校は?
全体的な傾向としては、明治大学付属中野中学校に似ていると思われます。
3. 明治大学付属八王子中学校を受ける際の併願パターンは?
①1月
埼玉栄中学校・獨協埼玉中学校・西武学園文理中学校 |
1月は、練習として、埼玉栄中学校・獨協埼玉中学校・西武学園文理中学校が挙げられます。
しっかりと合格を手にすることで、精神的に落ち着けると思われます。
②2月1日
午前:明治大学付属八王子中学校(A方式・1次) 午後:安田学園中学校(2次)・東洋大学京北中学校(2次) |
午前は明治大学付属八王子中学校(A方式・1次)で決まりです。
午後は安田学園中学校(2次)が良いでしょう。もしくは、抑え校として、東洋大学京北中学校(2次)もおすすめです。
③2月2日
午前:帝京大学中学校(2次)・安田学園中学校(3次) 午後:穎明館中学校(3次)・三田国際学園中学校(ISC・IC 3次) |
午前は、帝京大学中学校(2次)か、抑え校として安田学園中学校(3次)が良いでしょう。
午後は、抑え校として、穎明館中学校(3次)が良いと思われますが、1日で合格されていれば、三田国際学園中学校(ISC・IC 3次)にチャレンジしてみましょう。
但し、1日に午前・午後受験されると思いますから、生徒様の疲労を考慮して、
午前・午後どちらかの受験を回避しても良いかと思います。
④2月3日
午前:明治大学付属八王子中学校(A方式・2次)・法政大学中学校(2次) |
午前は、明治大学付属八王子中学校(A方式・2次)で決まりです。既に明治大学付属八王子中学校に合格されていれば、法政大学中学校(2次)がおすすめです。
午後は明治大学付属八王子中学校に合格されていれば、開智日本橋学園中学校(3次)に挑戦しましょう。
そうでなければ、淑徳中学校(スーパー特進・2次)、もしくはしっかりと抑える意味で、桜美林中学校(3次)が良いでしょう。
⑤2月4日
午前:東洋大学京北中学校(4次)・穎明館中学校(4次) |
午前は抑え校が合格していなければ、東洋大学京北中学校(4次)や穎明館中学校(4次)が良いでしょう。
午後も抑え校としてドルトン東京学園中等部(3次)・東京電機大学中学校(4次)が良いと思われます。2月5日には、明治大学付属八王子中学校(B方式)があります。最後の日程となりますので、頑張りましょう。
4. 明治大学付属八王子中学校の受験対策方法
ここからは具体的な受験対策方法について説明します。
①時期別・教科別対策内容
(1)小学4年生
算数 |
算数は、塾のカリキュラムに沿って行っていきましょう。 また、計算力も必須です。明治大学付属八王子中学校では、必ず計算問題が出題されます。 |
国語 |
国語も、カリキュラム・予習シリーズをもとに行いますが、文章が難しいと感じる場合は、少し簡単な文章から確実に読めるようにして下さい。 |
理科 |
理科は、生物・地学を中心とした暗記単元が始まりますから、今のうちにしっかりと暗記しましょう。 |
社会 |
社会は、地理分野が本格的に始まりますので、地図帳片手に場所を調べながら学習しましょう。 |
(2)小学5年生
算数 |
算数は、引き続き、カリキュラム通りに行って頂きたいですが、小学四年生の内容、及び小学五年生で習う内容も適宜復習するようにして下さい。 |
国語 |
国語は、物語文・説明文共に、客観的に読む訓練です。 |
理科 |
理科は、物理・化学の計算問題が始まります。標準的な問題は解けるようにして行きましょう。 |
社会 |
社会は、歴史が始まります。全体的な流れを理解しながら、暗記して下さい。年号暗記も忘れずに行って下さい。 |
(3)小学6年生(4月〜6月)
算数 |
算数は、前学年までの復習をしっかりしながら、全体的なレベルを上げていく時期です。 |
国語 |
国語は、標準的な文章で、設問の解き方を確認して下さい。 |
理科 |
理科は、引き続き、身の回りの事柄への理解を深めつつ、計算問題の力をつけて行きましょう。 |
社会 |
社会は、公民が始まります。国会・日本国憲法・選挙・国際関係については特に重要ですから、しっかり理解して下さい。 |
(4)小学6年生(7月〜8月)
算数 |
算数は、過去問を3〜5回分解いていきましょう。また、苦手単元があれば、夏休み中に克服していきましょう。 秋以降は、過去問など演習に時間を取られますので、まとまった時間が取れる最後のチャンスです。 |
国語 |
国語も、過去問を3回分は解いて、形式に慣れましょう。抜き出し問題対策が最も重要です。 |
理科 |
理科も、過去問を3〜5回分解きましょう。理解不足の所は、基本に戻って理解をしていきましょう。 |
社会 |
社会も、過去問を3回分しましょう。過去問を通して弱点を見つけ、補強して行きましょう。 |
(5)小学6年生(9月~11月)
算数 |
算数は、過去問中心になりますが、特に解き直しに力を入れて下さい。 |
国語 |
国語は、過去問を中心に進めますが、漢字・語彙の強化も忘れずに行って下さい。 |
理科 |
理科も、やはり過去問を中心に行っていきます。 |
社会 |
社会も、過去問は解きますが、それと同時に、全般的な復習も忘れずに行って下さい。 |
(6)小学6年生(12月~1月)
算数 |
算数は、過去問の解き直し、図形・速さ・数の問題を含めた全般的な定着を行いましょう。 |
国語 |
国語は、時間配分・設問形式を忘れないために、1週間~2週間に1度は過去問に触れましょう。 |
理科 |
理科は、今まで習ってきた内容や、過去問の内容で、理解しきれていない所は無いか、確認して下さい。 |
社会 |
社会は、全般的な復習をしつつ、地理・歴史で出てきた場所の確認を行いましょう。 |
②明治大学付属八王子中学校の過去問対策方法
(1)過去問の効果的な使い方
算数・理科の計算問題は比較的似た傾向の問題が出題されますので、なるべく遡って行い、解き直しもしっかり行って下さい。
国語・社会については、形式に慣れれば良いと思われますが、苦労する点も多いかと思います。
得意な生徒様は少なめで良いですが、そうではない生徒様は10回分以上解くと良いでしょう。
(2)いつから解き始めればよいか
算数と国語については、夏休み前から解き始めると良いでしょう。この2科目は配点が高い科目で、特に算数は差がつきます。早めに解き始めた方が良いでしょう。
一方、理科と社会は夏休みに入ってから始めれば良いと考えます。あまり早く始めても、試験範囲の学習が終わっていない場合もありますので、焦らず夏休みに集中して行っていきましょう。
(3)何年分を何周解けばよいか
算数 |
算数は、図形・速さ・数の問題といった、よく出る単元がありますし、素早く正確に解く練習も必要です。 |
国語 |
国語は、それほど特殊な出題形式ではありませんが、抜き出し問題が多いため苦労される生徒様も多くいらっしゃると思います。 |
理科 |
理科は、過去問を解くことで、理解しきれていない箇所を発見し、周辺事項を理解し直すようにしましょう。計算問題については、練習が必要です。そのため、最低10回分、出来れば20回分解くと良いかと思います。 |
社会 |
社会は、国語と同様に、得意な生徒様は5~10回分で良いでしょう。一方、そうではない生徒様は10回分以上解いた方が良いでしょう。 |
③保護者様にできるサポート内容
(1)成績が下降してきたら…
基本〜標準的な問題が出来なくなっている可能性が高いです。塾などで難しい問題ばかり行っていると、基本的な所が疎かになり、土台が崩れていきます。すると、成績が下降して行きます。
ですので、保護者様には、是非基本的な問題、例えば小学四年生・五年生の単元に立ち戻って、再度復習をされる事をおすすめします。
生徒様にも「少し前の単元に戻ってやってみようか。」とお声掛けし、「ゆっくり基本からやり直してみよう。」と生徒様を責めずに、対応して下さい。また、試験の結果に一喜一憂せず、長い目で生徒様を見てあげて下さい。
尚、復習というのは、間違えた問題を出来るまで解き直しを行うことを言います。出来るまで行うことがポイントです。また、一度解けたとしても、また暫く経ってから解き直すことも必要ですので、保護者様でしっかりと管理して頂くと良いでしょう。
(2)計算力対策
明治大学付属八王子中学校は、計算力が鍵を握ります。計算問題は必ず出題されていますし、正確な計算力が欠かせません。毎日10問程度、四則演算の計算問題を解くと良いでしょう。
計算間違いが多い生徒様の場合、まずはゆっくりと正確に行う練習をしましょう。正確さが身についてから、スピードの順番でお願いします。
(3)理科の対策
明治大学付属八王子中学校の理科は、これまで説明している通り、理解を問う問題が出題されております。保護者様としましては、身近な事柄について、生徒様と会話をし、一緒に調べて理解を促すようにして頂けると宜しいかと思います。
例えば、
「洗濯物を干すと乾くのは何故だろうね?」
「シャボン玉の仕組みを一緒に考えてみようか。」
「虫眼鏡はどういう仕組みになっているんだろうね。」
「鏡で全身を映すにはどうしたら良いだろう。」
など、身近にあるものをしっかりと調べることは、理科の対策にとても重要です。
是非、生徒様とご一緒に取り組んでみて下さい。
(4)時事問題対策
時事問題こそ、保護者様の出番です。今、ニュースや新聞で見聞きする内容は、保護者様にとっては常識的な事でも、生徒様には実感がわかない・わからないことも多いと思われます。ニュースや新聞で出てきた内容を生徒様と会話するようにして下さい。
例えば、
「今円安が進んでいるってニュースで言っていたけど、どういうことかわかる?」
「男女の格差社会ってどういう事なんだろうね?」
と言った質問から、生徒様と一緒に会話をして、一緒に調べることは重要です。
是非、取り組んで頂ければと思います。
(5)ケアレスミス対策
計算間違い・見間違い・勘違いなど全てケアレスミスと言われます。しかし、そのミスは放っておいて直るのでしょうか。また、優秀な生徒様は何故ケアレスミスが少ないのでしょうか。
まず、計算間違いからお話しましょう。計算間違いを無くすには、まず(2)でお話したように、ゆっくり、正確に計算を行うことから始めます。そして、頭で計算(暗算)せずに、筆算をしっかりしましょう。計算は大きく行いましょう。また、計算の都度、確認をすると良いと思います。
次に、見間違い・勘違いについてです。文章の数字や人物には丸をつけるなど、目立つようにしましょう。また、何を答えるべきなのか、設問で聞かれていることにも印をつけます。
答えを出したら、もう一度問題文を確認し、生徒様自身の解答も、もう一度確認です。このように、徹底することで、今までのミスが格段に減ると思われます。保護者様も、是非、生徒様の横でチェックして頂けると良いかと思います。
まとめ
入試問題は、基本~標準問題が中心ですが、差がつきやすい算数では、立体切断などの応用論点が出題されています。計算力をしっかりと身に付け、図形・速さ・数の問題を中心に対策をしましょう。国語は、抜き出し問題が多いですが、傍線部の根拠を探す記述問題の要領で解くように意識しましょう。
【参考文献】
・明治大学付属八王子中学校
・明治大学付属八王子中学校2025年度版10年間過去問声の教育社
・明治大学付属中野中学校2025年度版10年間過去問声の教育社
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