1. かえつ有明中学校とは?
1903年に前身の学校が設立。その後、嘉悦女子学校となり2006年に現行名、共学化。
生徒様の4人に1人が帰国子女で、留学生も多く、国際的な環境で学べる点が特徴的です。日常的に英語を話す同年代の生徒様がいらっしゃることは視野を大きく広げ、多様な価値観を生み出すでしょう。
留学制度も充実しており、1年間の長期に亘る留学も経験可能です。魅力的な点は1年留学しても留年せずに進級できる事です。安心して留学できる環境が整っています。将来、国際的に活躍したい生徒様にはおすすめできる学校となっています。
大学受験では、東京大学・医学部などにも合格しており、難関大学の合格実績が伸びてきています。
帰国子女の生徒様がいらっしゃることもありますが、海外大学へと進学される生徒様も多数いらっしゃいます。海外大学への進学サポートも充実しています。
2. かえつ有明中学校の入試傾向
かえつ有明中学校の入試概要は以下の通りです。
項目 | 内容 |
対象入試 |
・第1回一般入試 |
選択科目 |
・算数・国語・理科・社会(4科目)または算数・国語(2科目) |
試験時間・配点 |
・算数:50分(100点) |
判定方法 |
<特待入試>
・4科目受験 → 特待合格・一般合格の可能性あり <一般入試> |
対策のポイント |
・算数で最も差がつきやすいため、算数中心の対策が必要 |
その他の入試形態 |
・思考力特待入試 ※詳細は学校HPをご確認ください |
ここからは、教科別に詳しく解説します。
①算数
例年、大問6題の出題で、大問1番が計算問題、大問2番が小問集合、大問3番以降が単元別の問題となっています。回数により、傾向に変化はありません。
項目 |
出題傾向 |
大問構成 |
<大問1>計算問題 <大問2>小問集合 <大問3以降>単元別問題 |
解答形式 |
・一部、解法や式を書く問題あり ・式ややり方を丁寧に書く練習が必要 |
頻出単元 |
図形・速さ・場合の数・割合 |
図形
|
・平面図形・空間図形ともに出題 ・図形の移動、角度、展開図、回転体、立体の切断が頻出 ・2024年度第1回では、図形の移動が出題(標準レベル) |
速さ |
・旅人算、水量、点の移動が頻出 |
場合の数 |
図形と組み合わせた出題が多い |
割合 |
・食塩水・損益算が頻出 |
②国語
例年、大問2題の出題で、説明文・物語文が1題ずつ出題されています。文章量が多いのが特徴で、特に物語文の読解量が多い傾向にあります。日頃から読書をして、速く、正確に読む練習が欠かせません。
この傾向は回数により変化ありません。
項目 |
出題傾向 |
出題内容 |
漢字・語彙・接続詞・抜き出し・正誤選択・記述問題など、総合的な出題構成 設問はオーソドックスだが、文章の要旨把握が最重要 |
記述問題 |
・要旨に関する記述が中心 ・曖昧な答えでも部分点が与えられることがある ・日頃から要旨をまとめる練習が必要 |
正誤選択問題 |
・〇か×かの2択 |
③理科
大問2題〜4題とブレがあり、問題内容もまちまちです。
項目 |
内容 |
出題例 |
<2024年度第1回> ・物理:浮力の計算問題 <2023年度第1回> |
出題内容の特徴 |
・身近な現象をテーマにした問題が多い |
対策のポイント |
・日常の疑問を放置せず、調べる・観察する・実験する習慣を持つ |
計算問題対策 |
・どの単元からも標準的な計算問題が出題 |
➃社会
例年、大問2題の出題で、地理・歴史・公民・時事問題が満遍なく出題されています。理科同様、出題形式はまちまちで、幅広く出題されるのが特徴です。
項目 |
内容 |
出題内容の特徴 |
・一問一答形式の知識問題が出題 |
出題例 |
<2024年度第1回 大問1> |
対策のポイント①(学習姿勢) |
・ニュース・新聞・ドキュメンタリー番組などを活用して、幅広い教養を身につける |
対策のポイント②(教材活用) |
・テキスト以外にも、一次資料(地図帳・地形図・資料集など)を活用する |
⑤問題の形式等が似ている学校は?
全体的な傾向としては、芝国際中学校と似ています。参考にすると良いでしょう。
3. かえつ有明中学校を受ける際の併願パターンは?
かえつ有明中学校を受験する際のおすすめ併願パターンをご紹介します。
①1月受験校
・埼玉栄中学校・獨協埼玉中学校・西武学園文理中学校
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1月は、練習として、埼玉栄中学校・獨協埼玉中学校・西武学園文理中学校が挙げられます。
しっかりと合格を手にすることで、精神的に落ち着けると思われます。
②2月1日
午前:かえつ有明中学校(一般・1次)
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午前・午後共に、かえつ有明中学校で決まりです。
③2月2日
午前:帝京大学中学校(2次)・安田学園中学校(3次)・駒込中学校(3次)
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午前は、かえつ有明中学校に特待合格していれば、帝京大学中学校(2次)が良いでしょう。
そうでなければ、安田学園中学校(3次)か、抑え校として駒込中学校(3次)が良いでしょう。
午後は、かえつ有明中学校(特待・2次)で決まりかと思いますが、1日で特待合格されていれば、芝国際中学校(3次)にチャレンジしてみましょう。
但し、1日に午前・午後受験されると思いますから、生徒様の疲労を考慮して、午前・午後どちらかの受験を回避しても良いかと思います。
④2月3日
午前:法政大学中学校(2次)・安田学園中学校(5次)・日本大学第二中学校(2次)
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午前は、かえつ有明中学校に特待合格していれば法政大学中学校(2次)が良いでしょう。
そうでなければ、安田学園中学校(5次)や抑え校として日本大学第二中学校(2次)が宜しいかと思います。
午後は、かえつ有明中学校(特待・3次)か芝国際中学校(4次)を受験されると良いでしょう。
⑤2月4日
午前:東洋大学京北中学校(4次)・駒込中学校(5次)
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午前は特待合格していなければ、東洋大学京北中学校(4次)や、抑え校として駒込中学校(5次)が良いでしょう。
午後はドルトン東京学園中等部(3次)が良いと思われます。
4.かえつ有明中学校の受験対策方法
算数では、図形・速さ・場合の数・割合が頻出です。これらの単元に力を注ぎましょう。
国語は読書と要約練習が効果的です。日々の継続が大切です。
理科・社会は根本的な理解が必要です。疑問に思うことを調べたり、資料を確認することが大事です。
以下、詳しくご説明していきましょう。
①時期別・教科別対策内容
(1)小学4年生
算数 |
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国語 |
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理科 |
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社会 |
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(2)小学5年生
算数 |
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国語 |
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理科 |
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社会 |
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(3)小学6年生(4月~6月)
算数 |
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国語 |
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理科 |
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社会 |
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(4)小学6年生(7月~8月)
算数 |
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国語 |
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理科 |
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社会 |
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(5)小学6年生(9月~11月)
算数 |
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国語 |
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理科 |
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社会 |
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(6)小学6年生(12月~1月)
算数 |
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国語 |
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理科 |
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社会 |
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②穎明館中学校の過去問対策方法
(1)過去問の効果的な使い方
算数・理科の計算問題は比較的似た傾向の問題が出題されますので、なるべく遡って行い、解き直しもしっかり行って下さい。
国語については、形式に慣れれば良いと思われますので、そこまで遡らなくても良いでしょう。
理科の計算問題以外と社会については、出題のされ方に慣れる必要があります。また、過去問を行うことで、やるべきことが見えてくる部分もありますので、10回程度は遡ると良いでしょう。
(2)いつから解き始めればよいか
教科 |
時期 |
理由 |
算数・国語 |
夏休み前から | 配点が高く、差がつきやすいため |
理科・社会 |
夏休みに入ってから | 試験範囲の学習が終わっていない場合がある |
(3)何年分を何周解けばよいか
教科 |
目標回数 |
解き直し | ポイント |
算数 |
10回~20回 | 3~4周 | 図形・速さ・場合の数・割合といった、よく出題される単元があるため、時間を測って素早く解く練習をする |
国語 |
5回~10回 | 2周 | 形式に慣れる |
理科 |
10回~20回 | 3~4周 | 理解不足を把握し、周辺事項も含めて見直す。化学の計算問題は類題が多いため繰り返し定着させる |
社会 |
10回 | 2周 | 形式に慣れる。間違えた問題から弱点を見つけ、重点的に復習。地理・歴史・公民の知識の整理も行う |
③保護者様にできるサポート
(1)成績が下降してきたら…
基本〜標準的な問題ができなくなっている可能性が高いです。
塾などで難しい問題ばかり行なっていると、基本的な所が疎かになり、土台が崩れていきます。
すると、成績が下降して行きます。ですので、保護者様には、是非基本的な問題、例えば小学4年生・5年生の単元に立ち戻って、再度復習をされる事をおすすめします。
生徒様にも「少し前の単元に戻ってやってみようか。」とお声掛けし、「ゆっくり基本からやり直してみよう。」と生徒様を責めずに、ご対応して下さい。
また、試験の結果に一喜一憂せず、長い目で生徒様を見てあげて下さい。
尚、復習というのは、間違えた問題をできるまで解き直しを行うことを言います。できるまで行うことがポイントです。また、一度解けたとしても、また暫く経ってから解き直すことも必要ですので、保護者様でしっかりと管理して頂くと良いでしょう。
(2)計算力対策
かえつ有明中学校は、計算力が鍵を握ります。計算問題は必ず出題されていますし、数の問題を中心として計算力が必要な問題が出題されています。
毎日10問程度、四則演算の計算問題を解くと良いでしょう。
計算間違いが多い生徒様の場合、まずはゆっくりと正確に行う練習をしましょう。
正確さが身についてから、スピードの順番でお願いします。
(3)理科の対策
かえつ有明中学校の理科は、これまでご説明している通り、理解を問う問題が出題されております。
保護者様としましては、身近な事柄について、生徒様と会話をし、一緒に調べて理解を促すようにして頂けると宜しいかと思います。
例えば、
「洗濯物を干すと乾くのは何故だろうね?」
|
など、身近にあるものをしっかりと調べることは、理科の対策にとても重要です。特に物理の理解には力を入れて下さい。
是非、生徒様とご一緒に取り組んでみて下さい。
(4)時事問題対策
時事問題こそ、保護者様の出番です。今、ニュースや新聞で見聞きする内容は、保護者様にとっては常識的な事でも、生徒様には実感がわかない・わからないことも多いと思われます。
ニュースや新聞で出てきた内容を生徒様と会話するようにして下さい。
例えば、
「今円安が進んでいるってニュースで言っていたけど、どういうことかわかる?」
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と言った質問から、生徒様と一緒に会話をし、一緒に調べることは重要です。
是非、取り組んで頂ければと思います。
(5)ケアレスミス対策
計算間違い・見間違い・勘違いなど全てケアレスミスと言われます。
しかし、そのミスは放っておいて直るのでしょうか。また、優秀な生徒様は何故ケアレスミスが少ないのでしょうか。
まず、計算間違いからお話しましょう。
計算間違いを無くすには、まず(2)でお話したように、ゆっくり、正確に計算を行うことから始めます。
そして、頭で計算(暗算)せずに、筆算をしっかりしましょう。計算は大きく行いましょう。また、計算の都度、確認をすると良いと思います。
次に、見間違い・勘違いについてです。
文章の数字や人物には丸をつけるなど、目立つようにしましょう。また、何を答えるべきなのか、設問で聞かれていることにも印をつけます。
答えを出したら、もう一度問題文を確認し、生徒様自身の解答も、もう一度確認です。
このように、徹底することで、今までのミスが格段に減ると思われます。保護者様も、是非、生徒様の横でチェックして頂けると良いかと思います。
まとめ:かえつ有明中学校の受験対策をはじめよう!
かえつ有明中学校は、国際色豊かな学校です。留学制度が充実している事から、将来国際的な環境に身を置きたい生徒様にはおすすめできる学校です。
入試問題は算数で差がつきやすく、最も力を入れるべき科目です。全体として基本~標準的な問題が多く、頻出単元の図形・速さ・場合の数・割合によく時間をかけて取り組んで下さい。理科・社会は対処が難しい問題が出題されています。根本的な理解を心掛けて取り組みましょう。国語は比較的オーソドックスですから、読解力をつけて要旨把握に努めましょう。
【参考文献】
・かえつ有明中学校ホームページ
・かえつ有明中学校2025年度版10年間過去問声の教育社
・芝国際中学校2025年度版10年間過去問声の教育社