1. 安田学園中学校とは?
安田財閥が創立した東京保善商業学校が前身。2014年に共学化しました。
以前は総合コースと先進コースと2コースありましたが、2023年より先進コースのみとなりました。
安田学園中学校の特色として、学校完結型の学習環境があります。自ら考える時間を設けることで、「なぜ」を習慣化。
例えば、定期テストや到達度テストの結果から、生徒様自らで弱点克服に向けた学習計画を作成、実施していきます。こうした自学自習の習慣付けにより、東京大学など難関大学の合格実績へと繋げています。
2. 安田学園中学校の入試傾向
安田学園中学校の入試概要は以下の通りです。
項目 | 内容 |
対象入試 |
・第1回~第5回入試 |
選択科目 |
・算数・国語・理科・社会の4科目 |
試験時間・配点 |
【4科目入試】 ・算数:50分(100点) 【適性検査】 |
安田学園中学校の入試問題は、読解力・記述力が問われる問題が多く出題されます。
国語・理科・社会それぞれ、文章や設問が長く、論理的思考力も必要な試験です。
また、記述問題が多いですから、論理的な文章が書けるように練習をする必要もあります。
差がつきやすい算数は、問題レベルは基本~標準ですが、正確性とスピードが要求されます。
ここからは、教科別に詳しく解説します。
①算数
例年、大問4題の出題です。大問1番が計算問題と小問集合、大問2番以降が単元別の問題です。
項目 |
出題傾向 |
大問構成 |
<大問1>計算問題・小問集合(10題ほどの問題数) <大問2以降>単元別問題 |
解答形式 |
・一部、解法や式を書く問題あり |
頻出単元 |
・数の問題・速さ・図形・割合 ・基本~標準的な問題が中心 |
数の問題
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・規則性・場合の数・約数・倍数が頻出 ・ 場合の数は図形と絡む出題が多い |
速さ |
・旅人算、水量グラフ、点の移動が頻出 |
図形 |
・平面図形・立体図形の両方が出題 |
割合 |
・食塩水、損益算が頻出 |
②国語
例年、大問3題の出題で、大問1番が漢字の読み書き問題、大問2.3番が文章題の出題となっています。この傾向は回数によりません。
項目 |
出題傾向 |
大問構成 |
<大問1>漢字の読み書き <大問2・3>文章題(物語文・説明文 各1題) |
出題内容 |
語彙・接続詞・表現技法・抜き出し・正誤選択・記述問題など、満遍なく出題 |
記述問題 |
・字数の多い(50〜90字程度)問題が複数出題 ・棒線部近くだけでなく、本文全体の理解を問う問題もある ・日頃から要旨をまとめる練習が必要 |
差がつく問題 |
・近年は「内容に合っている/いないものを選ぶ問題」が出題 |
③理科
例年、大問3題の出題です。回数でならすと物理・化学・生物・地学が比較的満遍なく出題されていますが、大問3題であるが故に、回毎に出題されない分野が存在します。
分野 |
出題傾向 |
物理 |
・一部に計算問題あり |
化学 |
・実験問題が中心 |
生物・地学 |
・実験・観察問題が中心 |
全体として記述問題が多く、現象理解や時事的な事項について深めておく必要があるでしょう。
➃社会
例年、大問3題の出題で、地理・歴史・公民が満遍なく出題されています。
分野 |
出題傾向 |
地理 |
・地図帳を使った学習が重要 |
歴史 |
・史料や写真などの資料問題が出題 |
公民 |
・基本的な用語・制度に関する知識を問う問題が中心 |
記述問題 |
・資料や文章をもとに自分の考えを書く問題 |
⑤適性検査
例年、適性検査はⅠ〜Ⅲまであり、Ⅰは国語の問題、Ⅱは理科を題材にした算数との複合問題、Ⅲは算数の思考力問題です。
分野 |
出題傾向 |
Ⅰ(国語) |
・長文読解(物語文または説明文)が1題出題 |
Ⅱ(理科×算数) |
・理科の題材をベースに、算数的な思考を合わせた問題 |
Ⅲ(算数) |
・じっくりと考えて答えを出す思考力問題が出題 |
⑥問題の形式等が似ている学校は?
問題が難しめにはなりますが、広尾学園小石川中学校の問題は比較的似ている傾向にあります。問題のレベル的には成城学園中学校の問題も参考になるでしょう。
3. 安田学園中学校を受ける際の併願パターンは?
安田学園中学校を受験する際のおすすめ併願パターンをご紹介します。
①1月受験校
・埼玉栄中学校・獨協埼玉中学校・西武学園文理中学校
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1月は、練習として、埼玉栄中学校・獨協埼玉中学校・西武学園文理中学校が挙げられます。
しっかりと合格を手にすることで、精神的に落ち着けると思われます。
②2月1日
午前:安田学園中学校(1次)
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午前・午後共に安田学園中学校で決まりです。
③2月2日
午前:安田学園中学校(3次)・帝京大学中学校(2次)
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午前・午後共に安田学園中学校で決まりです。
1日で合格されていれば、帝京大学中学校(2次)を受けるのが良いでしょう。
④2月3日
午前:安田学園中学校(5次)・法政大学中学校(2次)
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午前は、安田学園中学校(5次)で決まりです。既に安田学園中学校に合格されていれば、法政大学中学校(2次)がおすすめです。
午後は安田学園中学校に合格されていれば、開智日本橋学園中学校(3次)に挑戦しましょう。
そうでなければ、抑える意味で桜美林中学校(3次)が良いでしょう。
但し、これまでの疲労を考慮した上で、受験されるかどうかお考え下さい。
⑤2月4日
午前:東洋大学京北中学校(4次)・頴明館中学校(4次)
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午前は抑え校が合格していなければ、東洋大学京北中学校(4次)や頴明館中学校(4次)が良いでしょう。
午後も抑え校としてドルトン東京学園中等部(3次)や東京電機大学中学校(4次)が良いと思われます。
4.安田学園中学校の受験対策方法
安田学園中学校の入試対策は多岐に亘ります。これから詳しくお話していきましょう。
①時期別・教科別対策内容
(1)小学4年生
算数 |
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国語 |
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理科 |
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社会 |
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(2)小学5年生
算数 |
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国語 |
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理科 |
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社会 |
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(3)小学6年生(4月~6月)
算数 |
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国語 |
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理科 |
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社会 |
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(4)小学6年生(7月~8月)
算数 |
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国語 |
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理科 |
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社会 |
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(5)小学6年生(9月~11月)
算数 |
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国語 |
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理科 |
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社会 |
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(6)小学6年生(12月~1月)
算数 |
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国語 |
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理科 |
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社会 |
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②安田学園中学校の過去問対策
(1)過去問の効果的な使い方
算数は比較的似た傾向の問題が出題されますので、なるべく遡って行い、解き直しもしっかり行って下さい。
国語・理科・社会については、形式に慣れれば良いと思われますが、それぞれ記述問題が多く、苦労する点も多いかと思います。
記述問題が得意な生徒様は少なめで良いですが、そうではない生徒様は10回分は解くと良いでしょう。
(2)いつから解き始めればよいか
教科 |
時期 |
理由 |
算数・国語 |
夏休み前から | 配点が高く、差がつきやすいため |
理科・社会 |
夏休みに入ってから | 試験範囲の学習が終わっていない場合がある |
(3)何年分を何周解けばよいか
教科 |
目標回数 |
解き直し | ポイント |
算数 |
10回~20回 | 3~4周 | 図形・数の問題・速さ・割合といった、よく出題される単元があるため、時間を測って素早く解く練習をする |
国語 |
5回~10回 | 2周 | 要旨把握の問題や記述問題に慣れる |
理科 |
5回~10回 | 3~4周 | 理解不足を把握し、周辺事項も含めて見直す |
社会 |
5~10回 | 2周 | 資料の読み取りや記述問題に慣れる |
③保護者様にできるサポート
(1)成績が下降してきたら…
基本〜標準的な問題ができなくなっている可能性が高いです。
塾などで難しい問題ばかり行なっていると、基本的な所が疎かになり、土台が崩れていきます。
すると、成績が下降して行きます。ですので、保護者様には、是非基本的な問題、例えば小学4年生・5年生の単元に立ち戻って、再度復習をされる事をおすすめします。
生徒様にも「少し前の単元に戻ってやってみようか。」とお声掛けし、「ゆっくり基本からやり直してみよう。」と生徒様を責めずに、ご対応して下さい。
また、試験の結果に一喜一憂せず、長い目で生徒様を見てあげて下さい。
尚、復習というのは、間違えた問題をできるまで解き直しを行うことを言います。できるまで行うことがポイントです。また、一度解けたとしても、また暫く経ってから解き直すことも必要ですので、保護者様でしっかりと管理して頂くと良いでしょう。
(2)計算力対策
安田学園中学校は、計算力が鍵を握ります。計算問題は必ず出題されていますし、数の問題を中心として計算力が必要な問題が出題されています。
毎日10問程度、四則演算の計算問題を解くと良いでしょう。
計算間違いが多い生徒様の場合、まずはゆっくりと正確に行う練習をしましょう。
正確さが身についてから、スピードの順番でお願いします。
(3)理科の対策
安田学園中学校の理科は、これまでご説明している通り、理解を問う問題が出題されております。
保護者様としましては、身近な事柄について、生徒様と会話をし、一緒に調べて理解を促すようにして頂けると宜しいかと思います。
例えば、
「洗濯物を干すと乾くのは何故だろうね?」
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など、身近にあるものをしっかりと調べることは、理科の対策にとても重要です。
是非、生徒様とご一緒に取り組んでみて下さい。
(4)時事問題・日常生活対策
時事問題や日常生活の問題こそ、保護者様の出番です。今、ニュースや新聞で見聞きする内容は、保護者様にとっては常識的な事でも、生徒様には実感がわかない・わからないことも多いと思われます。
ニュースや新聞で出てきた内容を生徒様と会話するようにして下さい。
例えば、
「今円安が進んでいるってニュースで言っていたけど、どういうことかわかる?」 「物の値段がどんどん上がっているのは何故なんだろうね。」
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と言った質問から、生徒様と一緒に会話をし、一緒に調べることは重要です。
是非、取り組んで頂ければと思います。
(5)ケアレスミス対策
計算間違い・見間違い・勘違いなど全てケアレスミスと言われます。
しかし、そのミスは放っておいて直るのでしょうか。また、優秀な生徒様は何故ケアレスミスが少ないのでしょうか。
まず、計算間違いからお話しましょう。
計算間違いを無くすには、まず(2)でお話したように、ゆっくり、正確に計算を行うことから始めます。
そして、頭で計算(暗算)せずに、筆算をしっかりしましょう。計算は大きく行いましょう。また、計算の都度、確認をすると良いと思います。
次に、見間違い・勘違いについてです。
文章の数字や人物には丸をつけるなど、目立つようにしましょう。また、何を答えるべきなのか、設問で聞かれていることにも印をつけます。
答えを出したら、もう一度問題文を確認し、生徒様自身の解答も、もう一度確認です。
このように、徹底することで、今までのミスが格段に減ると思われます。保護者様も、是非、生徒様の横でチェックして頂けると良いかと思います。
まとめ:安田学園中学校の受験対策をはじめよう!
安田学園中学校は、自学自習の習慣付けによる学校完結型の学習環境が特徴で、東京大学などの難関大学の合格実績へと、うまく結びついている学校です。
入試問題は、読解力・記述力が必要な問題が多い傾向にあります。それと同時に、資料の読み込みなど、論理的思考力も試されていますから、しっかりと文章を読んで、情報整理する力も必要です。算数では、スピードと正確性が必要でもありますから、数の問題・速さ・図形・割合を中心に対策を行って下さい。
【参考文献】
・安田学園中学校ホームページ
・安田学園中学校2025年度版10年間過去問声の教育社
・広尾学園小石川中学校2025年度版10年間過去問声の教育社
・成城学園中学校2025年度版10年間過去問声の教育社