1.なぜ小5からの中学受験対策では「遅い」と言われるのか
一般的に中学受験に向けた対策を小5からスタートさせるのは「遅い」と言われる理由を、3つに絞ってご紹介します。中学受験生を小学5年生から始めようか検討している方はぜひ確認してみてください。
理由①:学習範囲が膨大で時間が足りないから
中学受験では、小学校の範囲を超えた広い知識と応用力が求められます。そのため、小3頃から少しずつ学習を始めるのが一般的です。
小5から対策を始めた場合、膨大な内容を短期間で詰め込む必要があり、他の受験生に追いつくのが大変です。
理由②:塾のカリキュラムについていくのが難しいから
多くの進学塾では小3から対策を始めるスケジュールを前提に授業が進んでおり、小5からの入塾だと基礎を飛ばして応用から入ることになります。その結果、授業の理解が難しく、学習の負担が増えてしまいます。
また、模試の範囲に追いつくまでにも時間がかかるため、努力していてもなかなか結果が出ないことに悩んで、精神的に落ち込んでしまうケースもあります。
理由③:志望校対策にかけられる時間が短い
小5から受験対策を始めると、基礎学習に時間を取られ、志望校に特化した対策をする時間が足りなくなりがちです。その結果、得点力が伸びにくく、早く始めた人に比べて不利になりやすい面があります。
2. 小5からでも間に合う!中学受験対策の学習スケジュール
小5からの受験対策には確かに難しさもありますが、実際に受験に挑み合格した中学受験生もたくさんいます。小5からの受験勉強を始める場合には、基礎から応用、志望校対策までを計画的に取り組んでいくことが重要です。
ここでは、小5から中学受験対策を始める場合の学習スケジュールを紹介していきます。ぜひ学習計画の目安として役立ててください。
小5の受験勉強スケジュール
受験合格を目指すための小5の受験勉強スケジュールを時期ごとに紹介していきます。
【小5】4~6月:基礎固め
目的 |
小4までの基礎内容を改めて確認し、受験勉強に向けた土台を築く |
内容 |
算数:四則計算や小数・分数の理解を固めましょう。 国語:語彙力や漢字の読み書きを強化を目指します。 |
勉強時間 |
平日1~2時間、休日3時間程度 |
まずは基礎固めから進めていきましょう。受験勉強の本格的なスタートを切る時期であるため、無理なく進めることが大切です。この時期に学習習慣が身につけられるかどうかがその後の学習に大きく影響してきます。
【小5】7~8月:基礎問題の定着と応用の導入
目的 |
学習してきた基礎問題の反復演習で知識を定着させ、応用力への土台を作る |
内容 |
算数:図形や文章題、割合の問題など6月までの内容を活かした1ランク上の問題に取り組みましょう。 国語:読解問題を通して内容把握力を磨いていきます。 理科・社会:基本的な知識を身につけるため、教材の基本問題を中心に幅広く取り組みましょう。 |
勉強時間 |
平日2~3時間、休日および夏休み期間中4~5時間程度 |
夏休みに入るので通常より長い勉強時間を確保したい時期です。学力を一気に伸ばすチャンスなので、集中して取り組みましょう。この時期に基礎固めの完成を目指すので、計画的に学習に取り組むことが大切です。
【小5】9~12月:応用問題への挑戦
目的 |
基礎知識を応用し、応用問題や難易度の高い問題に対応できる力を養う |
内容 |
算数:中学受験特有の応用問題や思考力が必要な問題にチャレンジしていきます。 国語:記述力を高めるため、文章の要約や説明をする力を養いましょう。 理科・社会:暗記だけでなく、理解を伴った応用問題に慣れていけるよう応用問題の演習に取り組みます。 |
勉強時間 |
平日2~3時間、休日および夏休み期間中4~5時間程度 |
秋以降は模試や過去問に取り組む機会を増やしていきましょう。現時点での実力を客観的に見極め、弱点を補強することが重要です。模試での反省点を日々の学習に活かすことで、成績アップにつなげていきましょう。
【小5】1~3月:総復習と次学年への準備
目的 |
1年間で学んだ内容を総復習し、次年度の受験勉強に備える |
内容 |
小5の学習内容を再確認し、苦手分野を重点的に復習していきます。模試や試験の解き直しを徹底的に行い、今後の課題や対策をしっかりと考えていきましょう。 特に算数や国語の苦手な単元は、この時期に強化を図り次年度の学習の土台を固めます。 |
勉強時間 |
平日2~3時間、休日4~5時間程度 |
春休みに入る前に、小6の受験対策に備えて学習習慣を整えることが大切です。実力をしっかり固めて進級を迎えられるようにしましょう。
小6の受験勉強スケジュール
小5に続いて、受験合格を目指すための小6の受験勉強スケジュールを時期ごとに紹介していきます。
【小6】4~6月:本格的な受験勉強の開始
目的 |
基礎学力を改めて固め、応用問題に対応できる実力をつける |
内容 |
算数:難易度の高い応用問題を解き始めましょう。 国語:記述問題を重点的に強化していきます。 理科・社会:受験頻出テーマに集中し、基礎知識を徹底的に固めましょう。 |
勉強時間 |
平日3~4時間、休日5~6時間程度 |
小6からは学習量がさらに増えます。体調管理に気をつけ、心身のバランスが取れた学習を心がけることが大切です。また、この時期から志望校の出題傾向も頭に入れながら、日々の勉強に取り組むとより効果的に学習を進められます。
【小6】7~8月:志望校に合わせた対策と弱点克服
目的 |
志望校対策とともに模試などを活用して苦手単元を克服する |
内容 |
算数:志望校の出題傾向に合わせた問題を解き、理解を深めましょう。 国語:記述対策を強化します。 理科・社会:苦手分野の総復習を行います。 |
勉強時間 |
平日3~4時間、休日および長期休暇期間中5~6時間程度 |
夏休みはまとまった時間を確保できるため、苦手分野にじっくり取り組むチャンス。模試を積極的に受け、現時点での弱点を見極めて補強するのがおすすめです。学習時間とリフレッシュの時間を上手に組み合わせ、集中力と心身の健康を持続させましょう。
【小6】9~11月:過去問演習と志望校対策
目的 |
志望校の出題形式に慣れ、本番を想定した実践力を養う |
内容 |
各科目で志望校の過去問演習を中心に行い、出題傾向に慣れながら正答率と解答スピードを高めていきましょう。苦手な単元については重点的に復習を行い、反復することで実力強化を目指します。 |
勉強時間 |
平日3~4時間、休日5~6時間程度 |
過去問演習を通じて本番の感覚に慣れ、当日の明確な戦略を立てることで「合格点が取れる!」という自信を深める時期です。確実に点数を稼ぎたい問題は、毎回の解答をしっかりと振り返りミスの原因を把握して対策に繋げましょう。
【小6】12月:自信をつける取り組みと体調管理
目的 |
入試への不安を和らげられるよう、自信をつけてメンタルのバランスを整える |
内容 |
苦手分野の復習を軽く行いつつ、得意分野の確認や模試での成功体験を振り返り自信を養いましょう。また、リラックスする時間も大切にして体調管理や生活リズムの安定化にも配慮します。 |
勉強時間 |
平日2~3時間、休日4~5時間程度 |
この時期は、入試が近づくことで不安が強まりやすい時期です。無理な勉強は避けて心身のバランスを保つことを第一にして過ごしましょう。入試直前に気持ちを安定させ、安心して本番に臨むことができるように適度な運動や休息も意識することも大切です。
【小6】1月:入試本番
目的 |
自分を信じて前向きにチャレンジし、志望校合格を目指す |
内容 |
入試日が近づいたら、これまでの復習を軽く行いながら特に不安が残る分野を集中的に確認しましょう。就寝時間や起床時間、食事のタイミングも、できるだけ入試当日の時間に合わせて体調を整えていきましょう。 |
勉強時間 |
勉強は最小限に抑え、体調管理が最優先。 |
入試本番は、今ある実力を最大限発揮する場です。生徒様の合格への自信を確固たるものにすることが大切なので、これまでの努力をしっかりと称えて背中を押してあげてください。
3. 小5から中学受験対策を始める場合の塾の選び方
小5からの中学受験対策を始めるなら、どの塾に通うのかはとても重要です。生徒様に合う塾を見つけ、最適な環境で学びを進められるようにしましょう。
①指導形式を見極める
塾の指導形式には「集団指導」と「個別指導」があります。
集団指導は競争心が育ちやすく、周りと切磋琢磨できる環境。一方で、進度に合わせづらく苦手克服が難しい場合もあります。
個別指導は自分のペースで学べますが、刺激が少なく、講師の質に差が出ることも。生徒様の性格に合った形式を選びましょう。
②講師の質と相性が重要
経験豊富で中学受験に強い講師は、的確な指導で理解を深めてくれます。ただし「教えるのが上手」だけでなく、「生徒様と相性が良いか」も大切。体験授業で雰囲気や教え方を確認しましょう。
③気軽に相談できるサポート体制があるか
小5からのスタートは不安も多く、細やかな学習・進路相談が心の支えになります。生徒様・保護者様ともに相談しやすい塾を選ぶことで、安心して受験に向かえます。
4. 小5から中学受験対策を始める場合の志望校の選び方
小5から中学受験をスタートする場合、志望校選びの時間は限られています。だからこそ、早めに方向性を定め、効率よく学校を絞り込むことが重要です。ここでは、志望校を決める際に押さえておきたい3つのポイントをわかりやすく解説します。
①学校の雰囲気と子どもの相性を確認する
学校ごとに教育方針や校風は異なります。見学や説明会などを活用し、生徒様自身が「ここで学びたい」と思える雰囲気かどうかを確認しましょう。
②教育内容の充実度
授業の進度や重視している分野(理系、英語、グローバル教育など)は学校によって違います。生徒様の興味や性格に合った学びができるかどうかがポイントです。
③合格可能性も考慮する
小5スタートは準備期間が短いため、実力と志望校の偏差値が合っているかを冷静に判断する必要があります。模試や塾のアドバイスをもとに、現実的な志望校選びを心がけましょう。
5. 小5から中学受験対策を始める場合のおすすめ勉強法
小5から中学受験対策を始めるなら、限られた時間の中で効率よく成績を伸ばすための工夫が必要です。ここからは、志望校合格に向けて生徒様と保護者様それぞれにできることを解説していきます。すぐに取り入れられることばかりですので、ぜひ実践してみてください。
生徒様が行うべきこと
・基礎の定着が最優先
小5からの受験勉強では、戻り学習の時間が限られているため、一つひとつを丁寧に理解することが重要です。
・間違いの記録と分析
解けなかった問題をメモして、何が原因だったかを分析する習慣をつけることで、効率的に弱点を克服できます。
・応用力は基礎から生まれる
基礎を着実に固めることで、徐々に応用問題にも対応できるようになります。焦らず、コツコツ取り組むことが大切です。
保護者様の効果的なサポート
・学習状況をさりげなく確認
「今日は何を学んだの?」など、会話の中で学習内容を聞き出し、アウトプットさせることで生徒様が理解を深めるきっかけを作りましょう。
・具体的にほめて自信を育てる
結果だけでなく「できるようになった部分」に注目して褒めることで、生徒様のやる気と自信がアップします。
・前向きな声掛けで支える
成績が伸び悩んでいるときも、落ち込まず前向きに取り組めるよう、家庭での励ましや安心感のあるサポートが大切です。
まとめ:小5からの中学受験対策でも合格できる!
小5からの中学受験対策では、計画的な学習と、家庭でのサポートが志望校合格の重要なカギとなります。小5からの受験は難易度の高いことですが、その分受験を通じて大きな成長を遂げられるチャンスです。
合格が勝ち取れるよう、生徒様のモチベーションを維持しながら効率的に学習できる環境を整えていきましょう。
▼当会では、中学受験に対応した家庭教師をご紹介しています。ぜひ併せてご覧ください。
お問合せ・体験授業はこちら
あわせて読みたい|【東大卒元家庭教師監修】中学受験のいろはシリーズ
東大家庭教師友の会をもっと知る