1.私立高校で留年する人はどれくらいいるのか(令和5年度版)

留年者数(全体) 留年者数(私立高校) 留年率(私立高校)
8,990人 645人 0.06%

(参考:文部科学省調査結果

対象が不登校者に限られていますが、本調査から、留年する確率はかなり低くとも、私立学校で留年する生徒様は一定数いることがわかります。出席日数・テストの成績が基準を上回らなかった場合は、留年する恐れがあることを理解しておきましょう。

2.私立高校の留年の基準

高校は単位制であり、進級・卒業をするためには一定以上の単位を取得する必要があります。各学年で必要な単位を取得できれば進級・卒業することができ、足りなければ留年となります。

私立高校では、主に「①成績」と「②出席日数」を基準に進級・留年を判断します。

①成績

赤点(平均点の半分以下)を取り続ける

単位を取得するには、各科目の定期テストで赤点をとらないことが条件です。赤点の基準は学校により異なりますが、一般的には平均点の半分以下とされています。ただし、定期テストで赤点をとってすぐに留年が決定してしまうのではなく、「同じ科目で赤点を繰り返す」、「追試でも赤点をとる」、「補習授業に出席しない」などをしてしまうと、留年の可能性が極めて高くなります。
また、学校によっては成績が定期テストのみで決まるのではなく、課題の提出状況や授業態度などでも判断されるため、普段の生活態度にも注意が必要です。

②出席日数

授業日数の3分の1以上欠席する

単位を取得するためには、学校が定める基準以上の出席日数があることが条件です。学校によって出席日数の基準が異なるため、生徒手帳などで確認しておく必要がありますが、一般的には3分の1以上の欠席で留年とされています。
特に注意が必要なのが、出席日数は「高校に登校した日数」ではなく、「各教科の授業に出席した日数」で計算している点です。そのため、登校した日が基準を満たしていても、同じ科目で欠席を繰り返していると、出席日数が足りずに留年になる可能性があるため、自分で出席状況はしっかり把握しておきましょう。
また、遅刻についても「遅刻○回で欠席1回」「○分遅刻で欠席1回」と出席日数に影響するため、遅刻しないよう心がけましょう。

3.私立高校の留年の救済措置

私立高校では、留年する生徒を出さないために、様々な救済措置を設けています。

救済措置①:追試を受ける

定期テストで赤点をとってしまった場合、追試を受けることで留年を回避することができます。
一般的には出題範囲は定期テストと変わりませんが、追試のほうが問題が簡単になっていることが多いです。定期テストの問題を再度確認し、しっかり対策をして追試に臨みましょう。追試でも赤点をとってしまうと留年が確定しますが、学校によっては再追試やレポート課題などで進級・卒業を認めるケースもあるため、諦めずに学校の先生に相談してみましょう。

救済措置②:補習授業を受ける

出席日数が不足していたり、定期テストの成績が悪かった場合、補習授業を受けることで留年を回避することができます。
補習授業は欠席日数やテストの成績を補うものなので、生徒様によって授業日数は異なります。補習授業に出席しなかったり日数が足りなかったりすると、単位の取得を認められず、留年が決定してしまいます。そのため、部活などで忙しい場合でも、補習授業を最優先に受けましょう。

救済措置③:課題レポートを提出する

追試でも赤点をとってしまったり、補習授業を受けることが難しかったりする場合、課題レポートを提出することで単位の取得が認められ、留年を回避できるケースもあります。
課題レポートは最終手段として提案されることが多く、提出しなければ留年が決定してしまうため、必ず締切までに提出するようにしましょう。

4.私立高校で留年が決まった後の選択肢

留年が決定してしまった場合、その後の進路について考える必要があります。どのような選択肢があるでしょうか。

進路①:現在の高校に継続して在籍する

現在の高校に継続して在籍すれば、転校・編入に必要な試験や手続きが不要である点などのメリットがあります。しかし、学費が余分に掛かる、一学年下の後輩が同級生になることで、学校生活にやりにくさを感じるなどのデメリットも多くあります。また、同じカリキュラムをもう一度行うだけでは、留年を繰り返す可能性も考えられます。
現在通っている高校に継続して在籍することを検討する場合は、メリット・デメリットを吟味しながら、生徒様にとって最善の選択なのかを、よく考える必要があります。

進路②:通信制高校に転校する

留年が決定して高校を中退した後、通信制高校へ転校する生徒様も多いです。
通信制高校は、通信教育で単位を取得できる高等学校課程で、学校から送られてくる教材を利用して自宅で学習し、レポート提出やテストの点数で成績が決まります。卒業の要件を満たすと高校卒業資格が与えられ、最終学歴も高校卒業となります。オンライン授業の出席や決まった回数の登校(スクーリング)が必要ですが、毎日通学する必要がないため、出席日数の不足が理由で留年した生徒様には最適な選択肢と言えましょう。

進路③:定時制高校に転校する

定時制高校は、夜間や昼間の決められた時間に通学して学習する高等学校課程のことです。全日制高校より1日あたりの授業数が少なく、通学する時間含め、自分のペースで学習できるため、高校を留年した生徒様でも編入・転入しやすい学校です。前の学校で取得した単位は引き継ぐことができ、卒業に必要な単位を取得できれば高校卒業資格が与えられ、最終学歴も高校卒業となります。
留年が決定した後も、学生らしい生活を送りたいと考えている生徒様や、日中は働きながら学校へ通いたい生徒様には最適な選択肢かもしれません。

進路④:全日制高校へ転校する

他の全日制高校へ転校するという選択肢もあります。ただし、現在通っている高校と同様に毎日学校へ通学し、授業に出席してテストを受ける必要があります。留年を経験した生徒様が、再度全日制高校へ転校することは、ハードルが高いかもしれません。
ただ高校卒業資格が欲しいと考えている場合は、通信制高校や定時制高校へ転校することをおすすめします。

進路⑤:高卒認定試験を受ける

高卒認定試験(高等学校卒業程度認定試験)は、さまざまな理由があり高校を卒業していない生徒様のために、高校卒業と同等以上の学力があると国が認定するための試験です。毎年8月と11月の2回試験が実施され、全8〜10科目の試験を合格することで、高校卒業資格が必要な大学や専門学校の受験資格を得ることができます。ただし、高卒認定試験に合格しても学歴は高校卒業にはならず、大学や専門学校を卒業しなければ、最終学歴は中卒のままとなります。
また、高卒認定試験は履歴書にも書くことができるため、就職の面でも高卒と同等に扱う企業や団体もあります。高校中退後の進路について決まっていない場合は、とりあえず高卒認定試験の合格を目指すのも良いでしょう。

進路⑥:就職する

留年が決定した後、高校を中退し就職する選択肢もあります。ただし、最終学歴が中卒での就職は求人数も少なく、労働条件が理想を下回る場合が多いです。そのため、家業を継ぐなどの場合を除いて、通信制高校や定時制高校に通って高校を卒業する、高卒認定試験を受けることをおすすめします。
また、経済的に学校に通うのが難しい場合は、働きながら学習することも可能です。

5.私立高校で留年してしまう生徒様の特徴

留年してしまう理由は生徒様によって様々ですが、公立高校で留年してしまう生徒様には、次のような特徴があります。

 

①部活動に専念している

②趣味に没頭している

③素行が悪い

④体調が悪い

 

①部活動に専念している

私立高校に通う生徒様の中には、部活動の強さで高校を選ぶ生徒様も多いです。しかし、部活動の成績だけでは進級・卒業するのは難しく、勉強面でも頑張らなければなりません。
過度に部活動に専念し過ぎて勉強を疎かにしていると、成績不振で留年する可能性があるため、注意が必要です。

②趣味に没頭している

趣味に没頭してしまうと、学校よりも趣味を優先してしまい、留年してしまうケースがあります。高校生になると行動範囲も広がるため、ゲームや音楽活動など趣味の分野が楽しくなり、没頭する生徒様もいるでしょう。
しかし、趣味に没頭し過ぎてしまうと、学校に行くのが億劫になり、成績を落としてしまうなど、留年してしまう可能性が高くなるため注意が必要です。

③素行が悪い

「素行が悪い」というと、夜遊びや警察沙汰などの非行行為を思い浮かべる方も多いと思いますが、授業態度が悪い、授業を遅刻・欠席するなどの行為も素行が悪いといえます。このような行動をすると、単位が取得できず留年となる恐れがあります。また、学校の規則に違反するような行動をすると、停学処分になる可能性があります。

指導や処分を受けると、学校での居心地が悪くなり、欠席日数が増えて留年となる可能性があるため、行動を見直し改める必要があります。

④体調が悪い

体調が悪い生徒様は、学校を休みがちになるため、出席日数が基準を満たせず留年となるケースが多いです。全日制高校は単位制のため、体調不良が理由であっても、欠席が続くと留年になる可能性があります。
欠席が続きそうな場合は、休学して体調を整えてから復学することも検討しましょう。また、単位制高校など体の負担になりにくい学校へ転校することもおすすめです。

6.私立高校で留年しないための勉強法

「留年は絶対に避けたいけれど、どのように勉強したら良いかわからない…」

「留年しそうな子どものために、どのようなサポートをすれば良い?」

このように悩んでいる生徒様や保護者様に向けて、生徒様が行うべきこと・保護者様ができることの2つの視点から、私立高校で留年しないための勉強法について解説します。

生徒様が行うべきこと

勉強方法を見直す

留年を回避できたとしても、成績不振で留年しそうになった場合、そのまま問題を放置しておくと、また留年の危機を繰り返す可能性があります。そのため、先を見据えてテスト対策をするなど、勉強法を見直し改善する必要があります。

生徒様ができる主な対策は以下のとおりです。

 

・課題、提出物は締切までに必ず提出する
・遅れを取り戻すより、次の定期テスト対策を優先して勉強する
・英語、数学は復習して、遅れを取り戻す

 

高校を留年しないためには、定期テストで赤点をとらないことが特に重要です。課題・提出物はしっかりと取り組むことでテスト対策になり、また締切までに提出することで、成績に加点される場合もあるため、必ず締切を守って提出しましょう。
また、英語・数学については過去に学習した内容が必要となる問題もあるため、テスト範囲よりも過去の範囲も復習しておく必要があります。

保護者様ができること

焦らず、子どもを見守る

生徒様が高校を留年しそうだと分かり、保護者様が心配や不安に思うのは当然です。しかし「勉強しなさい」「学校へ行きなさい」と、生徒様を叱ることは避けましょう。生徒様の意欲をさらに低下させてしまい、逆効果となります。

保護者様にできることは、生徒様を見守ることです。公立高校では、留年しないための様々な救済措置が設けられています。定期テストで赤点を取ったからと焦らず、生徒様自身が問題を解決する様子を見守ってみてください。

また、生徒様自身では勉強時間を確保するのが難しい、勉強法がわからないという場合は、学習塾に通わせることも検討してみましょう。プロに任せることによって、生徒様に合った勉強法などのアドバイスを貰えるかもしれません。

7. まとめ|私立高校で留年しないためにすべきこと

この記事では、私立高校で留年する条件や救済措置、留年後の進路、留年を回避するための勉強法について解説しました。留年は「成績」と「出席日数」を基準に判断されます。

 

・定期テストで赤点を取らない

・課題提出を忘れない

・授業に真面目に出席する

 

この3点を守れば、高校を留年することはないでしょう。もし定期テストで赤点を取ってしまったとしても、焦らず高校の救済措置に従い、課題をクリアしてください。

残念ながら留年してしまった場合は、通信制高校や定時制高校などへの転校、高卒認定試験に合格して、大学や専門学校へ進学など様々な選択肢があるため、生徒様にとって最善の進路を選択しましょう。
また、留年する生徒様は生活習慣が乱れていたり、勉強時間が少ない傾向にあるため、自身の生活を見直し定期テスト対策を中心に勉強する習慣を身につけましょう。

今回の内容を参考にしていただき、私立高校の留年を回避してください。

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