画像の問題は1995年の京都大学の入学試験後期日程で文系にのみ出題された、入試の歴史に残る名問題です。この記事では「この問題の何が上手いのか」「いったい本番でどうやって解けばいいのか」という点を深掘りしていきます。そして、入試出題者の心理を読む方法の解説もあるので、ぜひ最後までお読みください。
まずは画像の問題にじっくり当たって解いてみましょう。解けたら以下の解説を読んで合っているか確かめましょう。もちろん、まったく解法の見当がつかない、15分ぐらい考えてみたけどわからないといった場合でも下の解説に進んでかまいません。
目次
なぜこの問題は良問なのか?
初めに断っておくと、この問題は難しい問題というわけではありません。むしろ、難問揃いの整数問題の中でも易しめであるといってもいいでしょう。ですがなんといっても(2)の「あなたの好きな自然数nを一つ決めて」「g(n)の値をこの設問におけるあなたの得点とする」という言葉。とっても魅力的です。
そうなると考えたくなることが一つあります。「どうやってこの問題の得点を最大化しようか……」ということです。もちろん点数は貰えるだけ貰った方がいいですし、ひょっとしたら計算が難しくなるほど点数が増える仕掛けでもあるんじゃないか、と考えたりするのも不思議ではないと思います。しかし本当にそう上手くいくものなのでしょうか……
この問題を解くために
必要な考え方
設問が2つに分かれているため前半の(1)から見ていきます。「すべての自然数nに対して」とありますから、問題の指示通りに数学的帰納法を用いるだけで終わりです。これに関しては2や3を代入して具体的に検証する必要すらないでしょう。
問題は(2)です。もちろん「自分の得点を最大化できる」nを選びたいです。ですがこの段階ではなんの見当もつきません。そこで先ほど解いた(1)を使います。g(n)の定義を見ながら、n=8の場合を考えてみましょう。
上の画像のように、g(8)=g(2)となっていることがわかります。f(n)を直接変形するのは大変なので、一度合同式を用いて考えています。
同様に計算すると、g(n)=g(n+6)となっていることが容易にわかります。実際の答案はnの値を決めてから答案を書き始めるので、g(n)=g(n+6)であることをわざわざ示す必要はありません。そして、これを用いるとnは1,2,3,4,5,6の6通りに絞れることがわかります。
それでは以上の6通りの数の中から、「好きな数字」を選んでいきます。といっても、たった6通りなので全部代入していけば最大のg(n)は得られそうです。しかし、ここに出題者の仕掛けた罠があります。結論から言うと、ここでは6を代入すると点数が最大になります。
というのも、こういう選択肢が数個で、しかもナンバリングがされているタイプの問題は受験者の側が小さい数字から調べてしまいがちです。そこを見越して出題者はたいてい後ろの方に正解を忍ばせています。なので、こうした問題はどうせn=6から調べるのが正解だろう、と思って調べたほうがいいのです。では解答をお見せします。
点数が最大になる解答
解答はこちらになります。
ここからは解答をまとめる際の注意点です。数学的帰納法を用いて解答を書く際は、はっきりと「数学的帰納法により証明する」という文言および、「仮定する」という言葉を書きましょう。大学入試の採点者は数百人分の解答を採点する必要があります。ですから、彼らが一個一個の解答にかける時間は短いと考えるのが自然です。
つまり、採点者に短時間に確実に伝わるような解答が必要になります。そして、数学的帰納法の場合、上に挙げた2つの言葉があるかどうかで採点者は判別をしていると言われています。裏を返せば、この2つの言葉を欠かした解答はすべて0点です。絶対に書き忘れないようにしましょう。
また、関数f(n)の変形にも注意です。f(n)は余りの関数ですが、整数a,bに対して$$f(a)+f(b)=f(a+b)$$は一般的には成り立ちません。例えばa=6,b=1とした場合、左辺は7になる一方右辺は0になります。
そのため、一度f(n)から離れ、合同式や剰余類を利用することによってこの問題を回避することになります。f(n)を直接変形することは避けましょう。
※この部分について外部の方からご指摘を頂いて修正しております。修正を頂いた方に感謝するとともに、以前のバージョンは誤っていたことをお詫び申し上げます。
種明かし・この問題の真の恐ろしさ
以上のようにn=6で解答を作れば点数が最大になり、(2)で18点がもらえます。ならn=6以外で解答を作ったらどうなるの?と思われるかと思います。残っているのはn=1~5の5パターンですので、ここからはそのn=1~5での解答をお見せします。
どうですか?これがこの問題に隠された恐るべき罠です。n=1から順番に調べていってもずっと、「正解しているのに」0点になる答えしか出てきません。この問題設定だからこそできる究極の意地悪といえるでしょう。
そして、nが小さい方から愚直に数え続けていると0点の解答を出し続けたまま時間を浪費し、他の問題に回す時間がなくなるという事故が起きます。(1)の結果を応用せずにn=1から手あたり次第に代入していく、というのが一番最悪です。どこかの段階で「こんなことでは点が取れない!」と気付いてリカバリーする必要があります。
それとそもそも点数が青天井、なんてことなど入試の世界にはほぼありません。一般入試の場合、減点法での採点しかありません。そうした一般的な常識を踏まえ、「これは最大値を求めることに帰着するしかないだろう」と即座に考えることのできる、ある意味でのずる賢さが入試を突破するために必要になることもあるのです。
入試の出題者の心理を読むには?
上のような罠は数学によくある「〇〇の法則の適用条件を満たしていないからこれでは答えにならない」というようなものではなく、明らかに出題者の悪意による罠です。こういう罠は割と異質なものですが、入試の出題者は大抵意地悪です。そうあっさりとは解かせてもらえません。
なのでここからはよく言う「出題者の心理」をどうやって読めばいいのか、ということを話します。それこそ入試の国語がひたすら出題者の考えを探らないといけないゲームであることは皆さんご存知であるとは思いますが、それが出来る人に話を聞いても大抵「勘」と返されてしまいます。
ではその「勘」の本質とはなんなのでしょう?生まれ持った才能でしょうか?いいえ、そんなことは決してありません。基本的に努力の差です。そして、その努力をどのようにするのかということがこうした「出題者の心理」を読む上手さに直結します。
数学において必要なことは「基礎事項をしっかりと知っておく」ことです。そして、例えば「相加平均・相乗平均の関係が使える条件」や「平均値の定理(数学Ⅲ)を適用する前に確認しないといけないこと」など、「ああこういうところに気をつけておかないとな」と思ったところを炙り出しましょう。なぜなら、そのままそこが狙われるからです。
そこまでやったらあとは淡々と問題を解いていきます。実際に「ここに気をつけないと!」と思ったところに引っ掛からないよう慎重にやっていきましょう。ここで個々人の注意力の差が出ます。こういうことが苦手でなかなか正解にならない、という人も多いかもしれませんが、回数を積むことによって克服できるので焦らず地道にやっていきましょう。
…とは言ったものの、「こんな高度なテクニックがこの程度のことだけで出来るようになるの?」と考えていらっしゃる方は多いかと思われます。出来るには出来るのですが、例えば「気を付けるべきことを炙り出す」ことが一人では難しい、自信が無い、という方も多いかと思いますし、また、一人だけで出題者の心が読めるようになるだけの問題演習を積めない、途中で力尽きてしまう、という方も実際多いです。
そこで頼れる助っ人の出番です。我々東大家庭教師友の会には数年前まで受験生だった現役学生家庭教師が多く在籍しており、その全てが難関大学在籍で、なおかつ採用率20%以下の審査を通過した教師です。彼らは受験生の目線に立って数学の勉強に励む生徒様をサポートできますし、「ここは狙われやすい」というポイントも熟知しています。
ここからは当会所属の家庭教師だからできることを紹介していきます。私達は、大学入試の数学を攻略したい、第一志望校に合格したいというあなたの背中を全力で押します。
大学入試の数学対策は
友の会の家庭教師で決まり!
友の会の3つのメリット
特に数学を頑張りたいあなたへ向けて我々友の会が提供できるメリットは大きく分けて以下の3つになります。まずは一度、お読みください。
①数学が大得意な先生が教えてくれる!
友の会には京大、東大、大阪大をはじめ40,000人以上の難関大生が在籍しています。それだけ多くの家庭教師がいますから、数学を大得意とし、その数学力で入試を勝ち上がった先生も多く紹介できます。
それだけではありません。友の会の家庭教師は全員採用率20%以下の厳しい審査を通過しています。そして、教師に希望する条件で細かく絞り込みができます。また、相性が悪いと感じられた際には教師を交代させていただくことも可能です。
②モチベーションを徹底管理!
東大家庭教師友の会の教師は、生徒様の学習が成果につなげられるように、授業以外にも充実した学習サポートを行なっております。
日頃の計算練習や苦手克服のための問題演習など、数学の勉強はとにかく時間のかかる地味な作業も多いです。そのような場面でもモチベーションを失ってしまわないよう、友の会の家庭教師が徹底的にサポート。お悩みにも親身になってお応えできます。
③かかる料金は5つだけ!
東大家庭教師友の会では、ご入会時に入会金が発生します。月々のお支払いは、コースに応じた授業料、交通費、学習サポート費の合算になります。
授業を受けた時間数に応じてご請求額は変わり、指導回数や時間を臨機応変に変更することが可能です。
他社の家庭教師とはどう違う?
次に、東大家庭教師友の会と他社の違いを紹介します。ここでは大きく分けて「①派遣する教師」と「②料金」の2つに分けて解説していきます。
①派遣する教師の違い
まず、派遣する教師の違いについてです。友の会は採用率20%以下の厳しい審査を通過した優秀な難関大在籍の家庭教師を派遣しています。一方、他社は友の会のような学生家庭教師のみの会社もあればプロ家庭教師しか派遣しない会社もあり、さらにはその両方を派遣する場合もあったりと様々です。結局どこを選べばいいの?と思うかと思いますが、ここで重視すべき点はやはり「生徒様との相性」でしょう。
その点、友の会は安心です。友の会は体験授業(初回無料)によって教師との相性をチェックでき、もし合わないと思った場合はいくらでもチェンジできます。教師は全員学生なので生徒様と歳が近く、相性がいいことが多いですし、何より友の会には多くの教師が在籍していますから、生徒様に合う先生が選べる可能性はとても高いです。
一方、同業他社はどうでしょう?プロ家庭教師は経験豊富ですが、歳は生徒様から離れており、委縮してしまうかもしれません。教師の在籍数が少ないところではそもそも生徒様に合う教師が見つからない可能性すらあります。そして、本来生徒様と教師の相性をチェックして頂く最もよい機会である体験授業にそれ専用の人材を派遣してくる業者まであるという状況です。この点には十分注意する必要があります。
②料金制度の違い
次に料金に関してです。友の会の授業は難関大所属の家庭教師による質の高いものでありながら、その料金は家庭教師の市場においてはかなり安価な部類に入ります。なぜなら、友の会では広告宣伝費などの諸費を極力安く抑えているからです。さらに、ご家庭様から頂く料金の大部分が教師の給与となるシステムも確立していますので、給料が安いことが原因で教師が積極的な指導をしてくれない、といったこともございません。
それでは同業他社はどうかというと、まず適正な価格で指導をしてくれないところがあります。また、友の会は先ほども見て頂いたように料金体系をあらかじめ明示していますが、一度問い合わせるまで料金を明示してくれない業者もあります。料金関係でもっと問題なのが高額な教材販売を目的とする悪徳業者です。友の会ではそうした販売は一切行わず生徒様が既にお持ちのテキストなどで指導しますが、このような業者の存在が家庭教師の利用検討自体を難しくしているのです。
以上の点から、東大家庭教師友の会は他社と比較してもなお信頼できる家庭教師サービスであることがご理解いただけたかと思います。
大学入試の数学対策におすすめの家庭教師
以下に紹介する家庭教師はすべて現役の大学生であり、合格経験をもとにした質の高い指導をすることができることを当会が認めた優秀教師です。もっと多くの家庭教師の情報を見たい方はこちらからどうぞ。
並木中等教育学校出身で、現在は東京工業大学に通っています。
問い合わせ番号 | 765644 |
---|---|
指導可能地域 | 品川区 |
受験経験 | 中学受験経験あり |
指導経験 | |
指導可能期間 | 2023年3月まで |
指導可能科目 | [小]国語,理科,算数,英語 [中]数学,理科,英語 [高]化学,文系数学,物理,理系数学,英語 |
指導への意気込み
自分の受験生時代に勉強について悩み抜いた経験を礎とし、生徒様の学力向上のために最善をつくすことを誓います。
>>この教師に指導を依頼する
(リンク先のページで、お気に入り教師に登録してお問い合わせください。)
開智高等学校出身で、現在は慶應義塾大学に通っています。
問い合わせ番号 | 792536 |
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指導可能地域 | 渋谷区 |
受験経験 | 中学受験経験あり |
指導経験 | 塾講師経験あり |
指導可能期間 | 2025年3月まで |
指導可能科目 | [中]数学,理科,英語 [高]化学,文系数学,物理,理系数学,英語 |
指導への意気込み
生徒様の成績向上やモチベーション向上のため、精一杯お手伝いさせて頂きます。
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横浜市立南高等学校出身で、現在は東京大学に通っています。
問い合わせ番号 | 746936 |
---|---|
指導可能地域 | 新宿区 |
受験経験 | 中学受験経験あり |
指導経験 | 塾講師経験あり |
指導可能期間 | 2023年4月まで |
指導可能科目 | [小]理科,算数,英語 [中]数学,理科,英語 [高]化学,物理,現代文,理系数学,英語 |
指導への意気込み
勉強の楽しさを伝えていきたいです。
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料金
東大家庭教師友の会では、ご入会時に入会金が発生します。月々のお支払いは、コースに応じた授業料、交通費、学習サポート費の合算になります。
授業を受けた時間数に応じてご請求額は変わり、指導回数や時間を臨機応変に変更することが可能です。
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