1. まずは基本から|四谷大塚のSコースとは?

①クラス分けの基準と仕組み
四谷大塚では、5週に一度実施される「組分けテスト」の偏差値に基づいてクラスが決定されます。
四谷大塚のクラスは、大きく分けて成績上位から順にS、C、B、Aの4つのコースに分かれています。
各コースはさらにS1、S2、S3…、C1、C2、C3…、B1、B2、B3…、A1、A2、A3…のように細分化されています。
ただし、クラスの分け方やレベル設定は、校舎によって若干異なる場合があります。
②Sコースに入るための偏差値の目安
四谷大塚の組分けテストでは、算数、国語、理科、社会の4科目を受験し、その合計得点から偏差値が算出されます。
各コースの偏差値の目安は、以下の通りです。
| コース | 偏差値の目安 |
| S |
66以上 |
| C |
56~65 |
| B |
46~55 |
| A |
45以下 |
このように、Sコースに入るためには、組分けテストで偏差値66以上を取る必要があることがわかります。
※ただし、これはあくまで目安であり、実際のクラス分けは、各回のテストの難易度や受験者全体の成績分布によって変動します。また、先ほども触れたように、校舎ごとの事情によってもクラス分けの基準は多少異なります。
③SコースとC・B・Aコースの主な違い
四谷大塚では、どのコースも同じ「予習シリーズ」を使用しますが、教材の使い方や学習の深さには大きな違いがあります。
Sコースでは基本問題から応用・発展まで幅広く取り組み、授業の進度も速く、学習密度が高いのが特徴です。
一方、C・B・Aコースでは、まず基礎を確実に固めることを重視し、応用問題は必要に応じて段階的に扱います。
また、Sコースでは応用問題や自主学習も含めて取り組む範囲が広いため、実質的に家庭学習量が多くなります。つまり、同じ教材を使っていても、Sコースはスピードと難度の両面で負荷が高く、C・B・Aコースは理解を重視して無理のないペースで進むという違いがあります。
▼四谷大塚のクラス分けについては以下の記事もご覧ください
2. 四谷大塚Sコースに在籍しているのは「どんな子」?

四谷大塚のSコースで活躍する生徒様の共通点をいくつかご紹介します。
①高い学力と強い精神力を併せ持つ子
Sコースの生徒様は、単に成績が優秀なだけではありません。授業はスピードが速く、扱う問題も応用・発展レベルまで及ぶため、常に高い集中力と粘り強さが求められます。周囲には同じように優秀な生徒様が集まっているため、自分の順位が気になったり、劣等感を覚えたりすることも少なくありません。
そんな中でも前向きに学び続けられる 「自分を信じる力」や「失敗を恐れない姿勢」 を持つ生徒様が、Sコースで成果を出しています。
②成長マインドセットを持ち、挑戦を楽しめる子
Sコースで取り組む問題は難しいものばかりですが、Sコースには「難しい問題に挑戦し、解決すること」を楽しむ特有の雰囲気があります。
休憩時間でも授業で分からなかった問題を質問しあったり、応用問題の解き方について議論したりするなど、学びへの意欲と探究心にあふれた生徒様が、Sコースには多く在籍しています。
四谷大塚ではクラス変動が頻繁にあります。こうした環境では、「どうせ自分にはできない」と思い込む固定的な考え方では続きません。むしろ「努力すればもっと伸びる」「失敗も次へのステップ」と捉える成長マインドセットを持つ生徒様が、困難な課題に挑み続け、結果として大きく伸びていきます。
③共通して見られる資質
Sコースで活躍する生徒様には、さらにいくつかの共通点があります。
例えば、先生や仲間からの指摘を素直に受け止めて吸収できる「素直さ」、競争心をバネに努力を続ける「負けず嫌いな姿勢」、学習計画を立てて実行する「自己管理力」です。さらに、難問を一人で抱え込まず仲間と議論し合える「協調性」や、周囲を引っ張る「リーダーシップ」も、Sコースの学びを支える大切な資質です。
3. 四谷大塚Sコースに入る・維持するための具体的な学習法

①応用力を測る「組分けテスト」の難しさ
Sコースに入るには、組分けテストで偏差値66以上をとることが一つの目安となります。
この組み分けテストでは、「カリキュラムテスト」や一般的な塾内テストとは異なり、応用問題が多く出題されることが特徴です。これは、「知識を組み合わせて、応用問題などの難問を解決する力」を四谷大塚が重要視しているからです。
また、直近で学んだ範囲だけでなく、過去に学習した内容が出題されることも特徴の一つです。
そのため、「習ったことを確実に定着させ、かつ、それを応用できるレベルにする」ことが、高得点獲得、ひいてはSコース入りのカギとなります。
普段のカリキュラムテストで高得点を取れていたとしても、組分けテストで点が取れないという事態は、十分に起こり得ます。「カリキュラムテストで高得点を取るための勉強」と「組分けテストで高得点を取るための勉強」は、本質的に異なるということを認識しておく必要があるでしょう。
②得意科目を伸ばし、苦手科目を克服する学習法
Sコース合格のためには、得意科目をさらに伸ばし、苦手科目を克服することが重要です。得意科目は自信をつけて揺るぎない得点源を確保することに、苦手科目の克服は全体の点数の底上げに役立ちます。
得意科目を伸ばすためには、応用問題や発展問題に積極的に取り組みましょう。また、過去問演習を通じて、出題傾向を把握し、時間配分などの戦略を立てることも有効です。
苦手科目を克服するためには、基礎を徹底的に固めることが重要です。「何が分からないのか」を明確にし、「なぜ分からないのか」を理解するまで、繰り返し学習しましょう。場合によっては、前の学年の教科書や参考書に戻って、基礎から学び直すことも必要です。
苦手科目の克服には、得意科目の学習以上に、「継続する力」が重要です。得意科目と苦手科目、それぞれの学習に対する適切な時間配分を決め、毎日コツコツと学習を続けましょう。
③暗記だけに頼らない、思考力を鍛える学習法
組分けテストをはじめとする、四谷大塚のテストでは、「思考力」や「判断力」、「表現力」が問われます。そのため、「ただ知識を暗記する」だけの学習法では、Sコース合格は難しいでしょう。「知識を活用して、応用問題を解く力」を身につけることが重要です。
思考力を鍛えるためには、「なぜそうなるのか」を常に考える習慣をつけましょう。公式や定理を丸暗記するのではなく、その成り立ちや背景を理解することが重要です。
また、「自分の言葉で説明する練習」をすることも効果的です。友達や家族に、「今日学んだことを説明する」というのも良い練習になります。
④過去問の効果的な活用法
過去問演習は、Sコース合格のために非常に重要です。過去問を解くことで、出題傾向やレベルを把握することができますし、自分自身の弱点を発見することもできます。また、時間配分の練習にもなります。
過去問演習は、「ただ解いて、答え合わせをする」だけでは効果が薄いです。「間違えた問題は、なぜ間違えたのか」を分析し、「同じような問題が出題されたら、次はどうすれば解けるのか」を考えることが重要です。
また、「時間内に解くためには、どのような時間配分をすれば良いのか」を、過去問演習を通じて、体に染み込ませていきましょう。過去問演習を通じて見つかった、苦手分野や弱点は、重点的に対策するようにしましょう。
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4.ご家庭でのサポートが鍵|保護者様ができること

Sコースで学ぶには、高度な学習法だけでなく、ご家庭での適切なサポートが欠かせません。ここでは、多くのご家庭が抱える悩みを整理しながら、その解決法をご提案します。
よくあるお悩み①:子どもへの過度な期待との向き合い方
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「Sコースに入って、難関中学に合格してほしい」「高い偏差値をとり続けてほしい」といった期待が過度なプレッシャーとなり、生徒様を苦しめてしまうことがあります。 |
もちろん、高い目標を持つことは大切です。しかし、それ以上に大切なのは生徒様の意思を尊重し、生徒様自身の目標を応援することです。「Sコースに入ること」「難関中学に合格すること」がゴールではなく、「生徒様が将来自分の力で人生を切り拓いていくための力を身につけること」が本来のゴールなのだということを、保護者様自身が理解しておく必要があります。
【解決策】
結果だけでなく努力のプロセスを認める声かけを行いましょう。
生徒様の「得意なこと」や「好きなこと」を伸ばすような声かけや、「あなたなら、きっとできる」といった、生徒様の可能性を信じる声かけも重要です。
例えば、テストの点数が悪かったとしても、「今回は、苦手な問題にも挑戦したね」「毎日、遅くまで頑張っていたね」など、生徒様の努力を具体的に認め、褒めるようにします。生徒様は、「自分の頑張りを認めてもらえている」と感じ、「次のテストも頑張ろう」という気持ちになるはずです。
よくあるお悩み②:学習の進め方に関する迷い
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「どのように学習を進めれば良いのか分からない」という悩みを抱えるご家庭は少なくありません。 |
「塾の宿題だけで精一杯で、応用問題集や過去問に取り組む時間がない」「苦手科目を克服する方法が分からない」など、具体的な悩みを挙げればキリがありません。大切なのは、「生徒様一人ひとりに合った学習方法」を見つけ出すことです。
【解決策】
成績が伸び悩んだ時には、「学習計画は適切か」「学習時間は十分か」「学習の質はどうか」など、様々な角度から、普段の学習を見直してみることが重要です。
例えば、「計画通りに学習が進んでいない」のであれば、計画に無理があるのかもしれません。「学習時間は十分なのに、成績が上がらない」のであれば、学習の質に問題があるのかもしれません。「特定の科目が苦手」なのであれば、その科目の学習方法を見直す必要があります。
問題点を発見するためには、生徒様自身で振り返り、自己分析をすることが重要です。そのためにも、「学習記録表」などを記入する習慣をつけ、いつでも適切に振り返りができる体制を整えておきましょう。
よくあるお悩み③:親子関係がギクシャクしてしまう
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「もっと頑張りなさい」「なんでできないの?」といった言葉が、親子関係の摩擦を生んでしまうことも。 また、「どのように接すれば、生徒様のモチベーションを高めることができるのか分からない」と悩む保護者様も少なくありません。 |
最も大切なことは、保護者様が、生徒様の良き理解者であり、一番の味方であるということです。分からない問題は一緒に考え、努力する姿勢を尊重することで、信頼関係を築けます。
【解決策】
保護者様は、生徒様の学習状況や性格に合わせて、「コーチング」と「ティーチング」を使い分けることが重要です。
「コーチング」とは、生徒様自身に考えさせ、答えを導かせる関わり方です。問題で迷っている時に、「どこまで分かったか」「何が分からないか」を聞き出し、考えるプロセスをサポートします。
一方で、「ティーチング」とは、知識や解法を直接教える関わり方です。新しい概念や全く理解できない場合に有効です。
生徒様の状況に応じて「今はコーチングかティーチングか」を判断し、柔軟に対応することが保護者様の重要な役割です。
5. Sコースの成績が伸び悩んだ時の対処法

どんなに頑張っていても、時には成績が伸び悩むこともあるでしょう。そのような時にSコース合格・維持への「再起動」をかけるための、具体的な対処法について解説します。
①学習計画の見直し
成績が伸び悩んだ時は、闇雲に勉強時間を増減させるのではなく、学習計画を見直すことが大切です。現状と目標のギャップを把握し、具体的な学習内容や期限を設定しましょう。
四谷大塚のカリキュラムや次回の組分けテストの日程等を考慮しつつ、無理のない計画を立て、反省を活かして調整することが重要です。
また、学習計画はカレンダー等に「見える化」して親子で共有し、生徒様・保護者様が共に焦らず着実に学習を進められる環境を整えることが効果的です。
②信頼できる相談相手の重要性:先生や先輩、親に相談する
成績が伸び悩んだ時には、一人で悩みを抱え込まず、信頼できる人に相談することも重要です。塾や学校の先生、経験のある先輩からは新しい視点や具体的なアドバイスが得られます。特に先輩の体験談は大きなヒントになるでしょう。
他にも、家庭教師のように個別に寄り添って指導してくれる存在は、弱点や学習習慣を深く理解し、最適なアドバイスをしてくれる点で心強い味方です。
保護者以外にも安心して相談できる相手がいることは、生徒の精神的な支えにもつながります。生徒様が、安心して相談できる環境を整えることも、保護者様の重要な役割です。
③効果的なリフレッシュ方法と休息の取り方
成績が伸び悩んだ時には、思い切ってリフレッシュすることも効果的です。「ずっと勉強しているのに、成績が上がらない」という状況が続くと、精神的にも疲弊してしまいます。そのような時は、一度学習から離れ、心身ともにリフレッシュすることが重要です。
「友達と遊ぶ」「映画を見る」「スポーツをする」など、楽しむことで気分転換できます。十分な睡眠時間を確保することも大切です。
ただし、リフレッシュする際には、「メリハリをつける」ことが重要です。「リフレッシュする時間」と「学習する時間」を明確に分け、「遊ぶ時は思い切り遊び、勉強する時は集中して勉強する」という習慣をつけましょう。
6. 【実例紹介】Sコース合格を勝ち取った生徒様のストーリー

ここでは、四谷大塚のSコース合格、そしてSコース維持を勝ち取った生徒様と、その保護者様の実例を、3つのケーススタディで紹介します。
それぞれのストーリーから、Sコース合格・維持の秘訣を学び取っていただければと思います。(こちらの事例については、筆者が学習塾で講師として勤務する中で見聞きしたものです。)
①苦手克服でSコース合格を勝ち取ったAさんの事例
| Aさん(男子) |
小学5年生の秋の組分けテストで、算数の成績が伸び悩み、Cクラスに在籍。 |
| 保護者様の悩み |
算数の成績を向上させ、Sコースに上げたい。 |
| 実践した学習法・サポート |
保護者様が中心となり、Aさんと一緒に算数の基礎を徹底的に復習しました。「どこでつまずいているのか」を明確にするために、Aさんが解いた問題の途中式を細かく確認し、「何が原因で、間違えたのか」を分析しました。 保護者様は、Aさんが少しでも成長した時には、大げさなくらいに褒めるようにしました。「計算が速くなったね!」「難しい問題にも、諦めずに挑戦できるようになったね!」など、具体的な成長ポイントを指摘することで、Aさんの自信を高めるように努めました。 |
| 結果 |
苦手だった算数の成績が向上し、5年生の冬の組分けテストで、見事にSコース合格を果たしました。 |
| 成功のポイント |
生徒様の学習状況を正確に把握し、生徒様に合った学習法を実践した。 |
②スランプを乗り越え、Sコースを維持し続けたBさんの事例
| Bさん(女子) |
6年生に進級したばかりの頃は、Sコースに在籍していたが、夏の組分けテストでは成績が思うように伸びず、Cクラスに降格してしまった。 |
| 保護者様の悩み |
Bさんの成績を向上させ、Sコースに返り咲きたい。 |
| 実践した学習法・サポート |
保護者様は、Bさんが前向きな気持ちになれるような声かけを心がけました。「Sコースに戻りたい」というBさんの気持ちに共感し、「一緒に頑張ろう」という姿勢を示しました。また、Bさんの頑張りや努力を認め、褒めることを忘れずに、「あなたはSコースに戻れる力を持っている」と励まし続けました。 |
| 結果 |
6年生の秋の組分けテストで、見事にSコースに返り咲くことができました。 |
| 成功のポイント |
保護者様が、生徒様の気持ちに寄り添い、前向きな声かけを続けた。 |
③目標共有とサポートで合格を勝ち取ったCさん親子の事例
| Cさん(男子) |
5年生から四谷大塚に通い始めた。 |
| 保護者様の悩み |
どうすればCさんが、より高いレベルを目指せるのか |
| 実践した学習法・サポート |
Cさんの学習状況や目標を、保護者様が正確に把握するように努めました。Cさんとの会話を通じて、「将来の夢」や「目標とする学校」などを聞き出し、「Sコース合格」を、親子共通の目標として設定しました。 |
| 結果 |
5年生の冬の組分けテストで、見事にSコースに合格しました。 |
| 成功のポイント |
親子で目標を共有し、目標達成のために協力した。 |
7. まとめ:四谷大塚Sコースを目指し、最難関中学合格を掴むために
四谷大塚のSコースは、難関中学合格を目指す優秀な生徒が集まるハイレベルなクラスです。入ることも維持することも容易ではありませんが、適切な学習法と保護者のサポートがあれば、Sコース合格、さらには難関中学合格も十分可能です。
重要なのは、生徒自身が目標に向かって主体的に学ぶこと。そして保護者は、理解者として温かく見守りながら、必要なサポートを行うことです。
本記事で紹介した「学習成果の見える化」「自己肯定感を高める声かけ」「親自身の学びと成長」などが、Sコース合格への一助となれば幸いです。
「東大家庭教師友の会」は、難関中学合格を目指すすべての生徒と保護者を応援しています。本記事が、皆様の学びと未来への架け橋となることを願っています。
【参考文献】
四谷大塚Sコースを目指すなら東大家庭教師友の会
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