1.SAPIXの入室テストとは?概要と難易度を解説

ここでは、SAPIXの入室テストについて、その概要や難易度など基本的な情報をご紹介します。

※具体的な日程や試験時間については、SAPIXの公式Webサイトを必ずご確認ください。


SAPIX入室テストの概要

SAPIXの入室テストには、実際に通塾生が受けているテストが使用されます。
受験時期によってマンスリーテスト組分けテストサピックスオープンのいずれかが入室テストとして実施されるのが特徴です。

どのテストが使われるかは、SAPIXの公式Webサイトにあるカレンダーから確認できます。ただし、
・マンスリーなら入りやすい

・組分けは難しい

といった明確な難易度の差はありません。入室テストの種類に過度にこだわる必要はないでしょう。

マンスリーテストは、毎月の学習単元の理解度を測る目的で実施されるテストですが、出題範囲はSAPIX全体で統一されており、特定の校舎や学年に合わせた内容になるとは限りません。そのため、事前に範囲を絞った対策は難しく、日頃の学習の積み重ねが問われます。

一方、組分けテストは年に3回(1月・3月・7月)行われる大規模テストで、出題範囲が「それまでに学んだ全体の内容」と広いため、短期間での準備はやや難しくなります。基本的な問題から応用問題まで幅広く出題されるため、学力全体を確認するには適した試験と言えるでしょう。

また、サピックスオープンは、SAPIX生以外の中学受験生も受けられる公開模試です。「実力診断」「志望校診断」「合格力判定」など、学年や時期に応じて複数の種類があり、内容は本格的な実力テストに近い形式となっています。

このように、時期によってテストの形式が異なるものの、いずれも中学受験に向けた基礎力と応用力が求められる点は共通しています。SAPIXへの入室を希望する場合は、テストの種類よりも日々の学習習慣を大切にすることが最も重要です。

試験科目・配点・申し込みの流れ

SAPIXの入室テストを受験するには、次のような流れになります。

まず、希望校舎で実施される入室説明会に参加します。
※ただし、募集停止中の学年は説明会自体が開催されないため、事前に公式Webサイトでご確認ください。

説明会参加後、「マイページ」に登録して、Web上で入室テストの申し込み手続きを行います。
受験料は3300円(税込)です。

 

2.SAPIX入室テストの難易度・出題範囲 

SAPIXの入室テストの受験科目や配点は、学年や受験時期によって異なります。

難しい勉強をしているイメージを持たれやすいSAPIXですが、実は低学年のテストの難易度はそこまで高くはありません

 

新1年生~新4年生向け

1・2年生:算数・国語(各25分・各100点満点)
3年生:算数・国語(各30分・各100点満点)
4年生:算数・国語(各30分~40分・各150点満点)(+理科・社会(各30分・各100点満点)

※4年生は、新年度スタートの時期であれば算数と国語のみ受験します。年度途中での入室を希望する場合には理社も合わせた4教科のテストを受けることになります。

(1)国語の出題範囲・問題傾向

国語では、漢字の読み書きに加えて読解問題が出題されます。

文章が非常に長いため、長文に慣れておく必要はあるでしょう。

また、SAPIXは漢字の採点の厳しさでも有名です。

「とめ・はね・はらい」まで一画一画丁寧に書く習慣をつけておきましょう。

 

(2)算数の出題範囲・問題傾向

算数については、まず何より高い計算力を身に付けることが重要です。

正しく、それなりのスピードで計算ができるよう、しっかり練習しておきましょう。

また、文章題やパズル的な問題も出題されます。こちらもある程度事前に訓練しておいた方が安全です。

 

新5年生・新6年生の場合

5・6年生:算数・国語(各50分・各150点満点)+理科・社会(各30分・各100点満点)

 

3.SAPIX入室テストのおすすめ勉強法・対策法

新1年生~新4年生向けの学習法

低学年のSAPIX入室テスト対策のコツは、とにかく基本的な内容をしっかりとやり込むことです。

(1)国語の学習ポイント

国語については、長い文章をしっかりと自力で読む訓練と、漢字をはっきりと正確に書く練習をしておきましょう

特に漢字についてはSAPIX公式Webサイトでも採点基準が公表されています。

ていねいに楷書で書く
ハネ・トメに気を付ける

これらのことに気を付けて漢字の練習をおこないましょう。

 

SAPIXの入室テストにおける国語のポイントは大きく分けると「漢字」と「読解」です。

漢字はとにかく正しく、トメ・ハネを意識した練習をしておきましょう

毎回1~2問は小学生には難しい語句も出題されますが、基本的には一般的なレベルの問題です。

読解問題は、低学年であれば物語文1題、高学年になると説明文+物語文、説明文+随筆のように2題出題されます。

読解1題ごとに必ず記述の問題があるため、練習が必要です

説明文では「◯◯とはどういうことですか」と文章の内容を説明する問題や「◯◯なのはなぜですか」と因果関係を問う問題が出題されます。

傍線部付近のヒントを確実に見つけ、自分の言葉で説明できるようにしておきましょう。

物語文では必ず心情を説明する問題が出てきます。「こういうできごとがあったから+このような気持ちになった」というパターンで書けるようにしておけば、最低限の点数は取れるはずです。

気持ちを表す言葉は文中に書かれていないことが多いため、自分で考える必要があります。

あらかじめ訓練しておきましょう。

 

(2)算数の学習ポイント

算数のコツはとにかく計算力を身に付けることです

後半には非常に難しい応用問題も出てきますが、入室テストの時点でそこまで対応する必要はありません。

前半でしっかり得点すれば、合格点には到達します。

ドリルで毎日計算の練習をする
文章題への対応力(何を聞かれていて、どんな式を立てるべきか言葉で説明できるようにする)

こういった訓練をしておけば、入室テストを突破する力をつけられるでしょう。

 

SAPIXの入室テストの算数の問題は、問題の量が非常に多いのが特徴です

順番にすべてを処理しようとすると、多くの生徒様が時間不足に陥ります。

素早く冷静に問題を見極め、処理する練習をしておきましょう。

問題の構成としては前半に計算問題や文章題、後半に発想力を求められるようなパズル的な問題が出題されます。

 

計算問題・文章題の対策方法

計算問題では、該当の学年までの四則計算に加え、□を用いた逆算(還元算)や単位換算の問題も登場します。

高学年になると小数や分数の複雑な問題も出題するため、あらかじめ練習しておく必要があるでしょう。

大問2ではいわゆる一行問題が多数出てきます。

単元もバラバラなので、きちんと問題を読み、どのように式を立てるのか冷静に判断しましょう。

 

応用問題の対策方法

大問3以降は基本的に思考力を問われる応用的な問題になります。

ここから先は前から順に取り組むのではなく、できそうな問題から取り組むのがおすすめです

(1)や(2)だけを拾うように解いていくのも良いでしょう。


新5年生・新6年生向けの効果的な勉強法

高学年になると、中学受験に向けた勉強をひととおりしておく必要があります。

また、入室テストを受けるライバルも他塾からの転塾生である可能性が高くなり、油断はできません。

5年生、6年生での入塾を検討している場合には、中学受験用の教材を使って、SAPIXのカリキュラム相当の学習をしっかりと進めておきましょう

漢字や計算、理社の基本的な用語のマスターは必須です。

さらに、どの教科についても「なぜその答えになるのか」を言語化できるレベルまで訓練しておくことが望ましいです。

SAPIXのテスト問題は非常にレベルが高く「なぜそうなるのか」を説明させるような問題も少なくないからです。

高学年からSAPIXに入塾するには、基本的な問題を外せないのはもちろん、応用問題にもある程度対応する実力が必要です。

特に配点の大きい記述問題でバツにならないよう、自分の考えを口頭や記述で説明できるように練習しておきましょう

 

理科・社会の対策法(4年生以上)

新4年生の入室テストでは基本的に国語と算数のみが対象ですが、年度の途中から入室する場合は理科・社会の受験が必要となります。そのため、4年生以上での入室を考えている場合は、理科・社会の事前準備が重要になります。

 

理科のポイント

SAPIXの理科では、該当学年の「生命」「物質」「エネルギー」「地球」の4分野から、基礎知識を問う問題がバランスよく出題されます。問題数は回によって異なりますが、大問4~6題程度が一般的です。

理科は暗記科目とされがちですが、SAPIXでは知識の理解や活用を重視しており、実験や観察に関する記述問題も頻出します。現象の結果や用語を単に覚えるだけではなく、「なぜそうなるのか」「なぜその手順を取るのか」といった根本的な理解が求められます。

また、学校の理科とは出題範囲や難易度が大きく異なります。SAPIXの公式サイトには「その学年の学習範囲から出題」とありますが、これはあくまで中学受験カリキュラムに基づいた範囲です。中学受験向けの学習をしていない場合、内容についていくのは難しいため、必ず受験対応の教材を使って十分な準備をしておくことが大切です。

 

社会のポイント

社会についても、理科と同様に中学受験用の学習が必要です。SAPIXの社会は「生活」「地理」「歴史」「公民」の4分野から構成され、基本的にはこの順番に沿って授業が進んでいきます。入室を検討している場合は、SAPIX公式サイトなどで学年ごとの学習内容を確認しておくとよいでしょう。

社会の問題構成としては、前半に一問一答形式などの基礎知識を問う問題があり、後半にはより深い理解や因果関係を問う記述式の問題が出題されます。資料や写真、グラフなどの読み取りも頻繁に登場するため、普段から目に慣れておくことが重要です。

理科と同様に、単なる用語暗記では対応が難しく、「促成栽培にはどのような利点があるのか」「なぜ衆議院に優越の仕組みがあるのか」など、背景や理由を説明できる力が求められます。単なる知識の習得にとどまらず、論理的に考える力を養っておくことが、合格への近道となるでしょう。

 

新1年生~新4年生におすすめの問題集

各教科ごとのおすすめ問題集は以下になります。

【国語のおすすめ教材】
・SAPI×漢(サピかん)
・予習シリーズ(本体テキスト+漢字とことば)
・ジュニア新演習国語+ジュニアトレーニング漢字(※2年生・3年生)
・中学受験新演習+漢字日記(※4年生以上)
・トップクラス問題集国語
・最レベ国語問題集

漢字や語彙の定着を重視しながら、読解・記述の基礎力を段階的に育てられる教材がそろっています。国語が苦手なお子さまにも取り組みやすい構成のものが多く、家庭学習にも適しています。

【算数のおすすめ教材】
・きらめき算数脳(低学年)
・きらめき思考力パズル(低学年)
・ベイシックシリーズ
・小学基本トレーニング計算
・予習シリーズ(本体+計算)
・ジュニア新演習算数+ジュニアトレーニング計算(※2年生・3年生)
・中学受験新演習+計算日記(※4年生以上)
・ハイクラステストシリーズ

計算力、思考力、応用力をバランスよく養えるラインナップです。特に低学年では楽しみながら学べる教材を活用し、算数への興味を伸ばすことが大切です。

【理科のおすすめ教材】
・理科コアプラス
・「エコのとびら」シリーズ
・予習シリーズ+演習問題集

理科は基本用語の暗記に加え、因果関係や仕組みの理解が求められる教科です。中学受験に向けては、知識とともに読解・記述の力も意識して教材を選びましょう。

【社会のおすすめ教材】
・社会コアプラス
・「エコのとびら」シリーズ
・今解き教室
・予習シリーズ+演習問題集

社会は地理・歴史・公民と範囲が広く、図表や資料を使った読解力も問われます。基礎の暗記だけでなく、時事問題や背景理解まで踏み込める教材を取り入れると効果的です。

 

4. SAPIX入室テスト対策に役立つサポート方法

ここまでは、SAPIX入室テストの特徴や教科ごとの出題内容について詳しく解説してきました。

とはいえ、

「テストの内容はわかったけれど、実際にどうやって子どもに対策させればいいの?」

と悩まれる保護者の方も多いのではないでしょうか。

そこでここからは、ご家庭でのサポート方法を 2つのパターン に分けてご紹介します。


 家庭でできる学習サポート

生徒様がまだ低学年の場合は、中学受験の学習が本格化する前の段階であるため、家庭でのサポートもしやすい時期です。日々の学習習慣づけと基礎の強化を意識しましょう。


国語のサポート

まずは丁寧に漢字を書く習慣をつけましょう。字形を整えて覚えることで、記憶の定着がよくなります。
また、入室テストでは長めの物語文に対応する必要があるため、読んだ内容をきちんと理解する練習が必要です。

たとえば、次のような問いかけをしてみてください。

  • ・これはどういうお話だった?

  • ・どんな人物が出てきた?

  • ・このとき、主人公はどんな気持ちだったと思う?

こうしたやりとりを通じて、自分の言葉で説明する力が自然と養われていきます。

算数のサポート

算数は、毎日コツコツと計算練習を積み重ねることが大切です。正確かつスピーディに処理できる力を育てましょう。

「きらめき算数脳」などのパズル要素を含む教材は、初めのうちは一人で取り組むのが難しい場合もあります。
その際は、保護者様が一緒に考えてあげたり、あらかじめ解答を確認して適切なヒントを出すなどの工夫をすると効果的です。


他塾に通っている場合の対策方法

すでに他の塾で中学受験に向けた勉強をしている場合、SAPIXの入室テストへの対応は比較的しやすいと言えます。

これまで使っていた教材の「まとめ回」「総合回」の復習を中心に、学習スケジュールを組み立てましょう。
具体的には、以下のような教材・テストの見直しが効果的です。

  • ・四谷大塚系:週テスト・組分けテスト

  • ・エデュケーショナルネットワーク系(新演習):アタックテスト

  • ・日能研:学習力育成テスト(カリテ)・公開模試など

SAPIXのテストでは、これらに比べて記述問題の比重が高い傾向があります。
そのため、答えの根拠や因果関係について口頭で説明したり、80〜100字程度で記述する練習を取り入れておくとよいでしょう。

 

5. SAPIX入室テストのよくある質問(FAQ)

おすすめの受験時期

SAPIXの入室テストを受けるにあたって、ベストなタイミングは3年生の11月です。これは本格的に中学受験に向けたカリキュラムが新4年生(3年生の2月)からスタートするためです。11月からチャレンジしていれば、仮に落ちてしまっても数回リベンジすることができ、入塾できる可能性を高められます。もう1年早めて、2年生の11月から入室テストを受けて、新3年生からの通塾もおすすめです。SAPIXの低学年用の教材やカリキュラムはそこまで厳しい内容ではなく、むしろ「勉強を楽しむ」「頭を使う習慣を身につける」ことを目的として作られています。通塾日数も3年生であれば週1回です。生徒様の負担を抑えながら塾という場に慣れるという効果が期待できるため、校舎が通いやすい距離であれば検討してみるのも良いでしょう。


受験する校舎によって違いはある?

ときどき「人気のある大規模校舎では受かりにくいのでは?」と心配される保護者様がいらっしゃいますが、入室テストを受ける校舎と結果との間に関連性はありません。

SAPIXの入室テストにおける合格点は、全校舎共通で設定されているからです。

校舎の雰囲気に慣れるためにも、入室テストは生徒様が通う予定の校舎で申し込みましょう。

 

不合格だった場合の再挑戦方法

入室テストに落ちてしまっても、次のタイミングでの再チャレンジが可能です。

何回目の受験かによって結果が変わるということもありません。

実際、初めての通塾でSAPIXを選んだ生徒様が入室テストで不合格になってしまうのは珍しいことではありません。

何度も挑んでようやく合格できたという話もよく耳にします。

「入室テストで不合格だったことがある子は入塾してからも厳しいのではないか」という心配をされる保護者様もいらっしゃるかもしれませんが、これも心配無用です。

入室テストまでは、低学年であれば保護者様のサポートだけで対策するケースが多いでしょう。

一方、入塾後はSAPIXのカリキュラムに沿って、授業をしっかり受けられるのです。

SAPIXの学習内容は小学校とは大きく異なるため、SAPIXの入室テストの点数イコール生徒様の学力とは言えないということを覚えておいてください。

 

6.まとめ | SAPIX入室テスト対策は「基礎力の徹底」が合格のカギ 

SAPIXの入室テストは中学受験を想定したレベルの高い内容が出題されます。

しかし、複雑で難解な問題を解けないと合格できないかというと、そのようなことは決してありません。

合格のために必要なのはあくまで、基本的な学力をしっかりと丁寧に身につけておくことです。

各教科の基礎知識を確実に習得し、漢字や計算といった訓練に取り組んでいれば、合格できる可能性は十分にあります。

保護者様には、生徒様が基礎学習の重要性を理解し、丁寧に学習に向き合う習慣をつけられるよう支えてあげていただきたいです。

必要に応じて塾や家庭教師のサポートも活用しましょう。

生徒様が最高の環境で中学受験へ向けて学習できるよう、応援しております。

▼当会では、SAPIX生への指導に特化した家庭教師をご紹介しています。ぜひ併せてご覧ください。

SAPIX(サピックス)と家庭教師の併用なら東大家庭教師友の会

 

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